ハンドスタンド(Handstand)・ハンドスタンドプッシュアップ(Handstand Push-up/HSPU)の練習法

肩の安定、体幹、頭の位置を安全に習得する

カテゴリー:Gymnastics|Vol.27

執筆・編集:SA1NT JAPAN編集部

専門監修:板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

ハンドスタンドプッシュアップ(Handstand Push-up/HSPU)は、逆立ち姿勢から身体を下ろし、肩と腕で押し戻すCrossFit Gymnasticsの代表的なスキルです。

ただし初心者の場合、いきなり壁倒立から腕立て伏せを始める必要はありません。まずは手と頭の位置、肩で押す力、逆立ち姿勢への恐怖感を段階的に克服していくことが重要です。

HSPU習得は「逆立ちしてから」ではなく、「逆立ちする前」から始まります。
床上のプッシュアップ → ボックス → 壁倒立でネガティブ → HSPU。そして、そもそも逆立ちが怖い場合はウォールウォークから慣れていきます。

目次


ハンドスタンドプッシュアップとは?

HSPUは、逆立ちした状態で頭を床方向へ下ろし、肩と腕で身体を押し戻す動作です。

CrossFitでは、反動を使わないストリクトHSPUと、脚の反動を使うキッピングHSPUがあります。

ストリクトHSPU キッピングHSPU
脚の反動 使わない 使う
主な目的 肩・腕の押す筋力 高回数を効率よく行う
初心者 基礎として優先 基礎筋力を作ってから

TONYコーチ動画①|初心者向けHSPU練習法

TONYコーチは、初心者がいきなり逆立ちでHSPUを練習するのではなく、まず逆立ちをしない状態で手と頭の位置を覚えることを勧めています。

TONYコーチ POINT|頭は両手の真横ではなく少し前へ
手を肩幅より少し広めにつき、脇を締め、顎を軽く引きます。頭の頂点を両手より少し前へ下ろし、両手と頭で三角形を作ります。


手と頭の正しい位置

HSPUでは、両手と頭が一直線になるより、三点で安定する形を作ることが重要です。

  1. 手を肩幅より少し広めにつく
  2. 人差し指は前〜やや外向き
  3. 脇を大きく開かない
  4. 顎を軽く引く
  5. 頭の頂点を手より少し前へ下ろす
  6. 同じ軌道で押し戻す

イメージ
左手・右手・頭で三角形を作る。頭を両手と同じラインへ落とさない。


HSPUの段階練習

STEP 1|ダウンドッグ・プッシュアップ

まず逆立ちせず、腰を高くした姿勢から頭を手より少し前へ下ろします。

肩と腕で身体を押し戻す感覚と、頭を下ろす位置を覚えます。

STEP 2|ボックスHSPU

足または膝をボックスへ乗せ、腰を高くして上半身を垂直に近づけます。

身体をボックスへ近づけるほど、壁倒立に近い負荷になります。

TONYコーチ POINT|ボックスでしっかり可動域を作る
いきなり壁倒立へ行くより、ボックスで頭をしっかり下ろせる筋力を作ってから進みます。

STEP 3|壁倒立ネガティブ

壁倒立ができるようになったら、最初から押し上がれなくても問題ありません。

逆立ちした状態から、身体をゆっくりコントロールして下ろします。

TONYコーチ POINT|上がれなくてもOK
まずは下降局面をゆっくり耐えるだけでも、HSPUに必要な肩と腕の筋力を鍛えられます。

STEP 4|壁HSPU

ネガティブをコントロールできるようになったら、頭が床へ触れた位置から身体を押し上げます。


可動域を小さくしすぎない

初心者によくあるのが、頭の下へマットやプレートを何枚も積み、非常に浅い可動域だけでHSPUを繰り返す方法です。

負荷調整として可動域を少し狭くする方法は使えますが、極端に浅い可動域ばかり練習すると、フルレンジで必要な肩と腕の筋力が育ちにくくなります。

壁で「逆立ちできる」ことより、十分な可動域で「押せる」ことを優先。
ダウンドッグやボックスを使いながら、頭をしっかり下ろせる範囲で筋力を作っていきます。


逆立ちができない・怖い人へ

ここまでのHSPU練習以前に、そもそも「足を壁まで上げられない」「逆さになるのが怖い」という人もいます。

その場合は、無理にキックアップから始める必要はありません。

TONYコーチは、まず手で身体を支える感覚 → 斜めの逆立ち → ウォールウォーク → 壁倒立という順番で進めています。


TONYコーチ動画②|初めての逆立ち攻略法

この動画では、逆立ちの姿勢そのものから、手のつき方、指でバランスを取る感覚、体幹の締め方、壁を使った練習まで段階的に説明されています。

TONYコーチ POINT|逆立ちは指でもバランスを取る
手を床についたとき、指先を前へ向け、身体が前へ倒れそうになったときに指で床を押してバランスをコントロールします。

身体は一本の棒をイメージ

逆立ちでは、肩だけで身体を支えるのではありません。

腹部、臀部、脚、つま先まで緊張を作り、身体全体を一本の棒のようにします。

腰が反って身体がバラバラになると、逆立ちのバランスが難しくなります。

逆立ち姿勢
手で床を押す → 肩を伸ばす → お腹を締める → お尻を締める → 脚を伸ばす → つま先まで一本につなげる


ウォールウォークで恐怖感を減らす

壁へ向かってキックアップすることが怖い人は、ウォールウォークから始めます。

  1. 壁に背中を向けて四つん這いになる
  2. 足を壁へ乗せる
  3. 手で床を強く押す
  4. 足を少しずつ壁の上へ歩かせる
  5. 同時に手も壁方向へ移動する
  6. できる範囲まで身体を垂直に近づける
  7. 同じ道をゆっくり戻る

TONYコーチ POINT|少しずつ逆さの状態に慣れる
最初から壁の近くまで行く必要はありません。自分が怖くない範囲から始め、少しずつ身体を垂直に近づけていきます。

ウォールウォークに慣れてきたら、次に壁へ向かってキックアップする練習へ移ります。


よくある失敗と修正方法

失敗 原因 修正方法
頭を手と同じラインへ下ろす 三点支持を作れていない 頭を手より少し前へ下ろす
脇が大きく開く 肩が不安定 肘を外へ広げすぎない
壁で浅いHSPUだけ行う 可動域不足 ボックスでフルレンジを練習
逆立ちが怖くて足が上がらない 逆さ姿勢への慣れ不足 ウォールウォークから始める
逆立ちで腰が大きく反る 体幹・臀部の緊張不足 身体を一本の棒にする意識
壁に強く足をぶつける キックが強すぎる 後ろ脚を高く上げてから前脚で軽く蹴る

よくある質問

逆立ちができなくてもHSPUの練習はできますか?

できます。ダウンドッグ・プッシュアップやボックスHSPUで、頭の位置と肩の押す力を先に練習できます。

頭は両手の間に下ろせばいいですか?

両手と同じラインではなく、少し前へ下ろします。両手と頭で三角形を作るイメージです。

壁倒立はできるけどHSPUで上がれません。

まずネガティブをゆっくり行い、身体を支えながら下降する筋力を作ります。ボックスHSPUも並行して行います。

マットを何枚も敷いて練習してもいいですか?

負荷調整として使えますが、極端に浅い可動域だけを続けないようにします。徐々に高さを減らし、フルレンジへ近づけます。

逆立ちが怖いです。

ウォールウォークから始める方法があります。足を壁へ乗せ、少しずつ手と足を動かして逆さの姿勢に慣れていきます。

逆立ちでは指も使いますか?

使います。身体が前へ倒れそうなときに指で床を押し、前後のバランスを調整します。


まとめ|逆立ちとHSPUは別々に段階を踏む

  1. いきなり壁倒立HSPUから始めない
  2. まず手と頭の位置を覚える
  3. 両手と頭で三角形を作る
  4. ダウンドッグからボックスへ段階的に負荷を上げる
  5. 壁では最初にネガティブを練習する
  6. 浅い可動域だけに頼らない
  7. 逆立ちが怖い場合はウォールウォークから始める
  8. 腹部と臀部を締め、身体を一本の棒にする
  9. 指で床を押してバランスを調整する

HSPUができない場合、いきなり完成形を繰り返す必要はありません。

床 → ボックス → 壁倒立ネガティブ → HSPU。

そして逆立ち自体がまだ難しい場合は、

手で支える → ウォールウォーク → 壁倒立 → HSPU。

この2つの段階を組み合わせることで、初心者でも安全にHSPUへ近づいていけます。

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参考動画




参考資料


この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。

専門監修

板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Gamesに出場。2021年にはCrossFit GamesのMen 35–39部門で世界15位。さらに2026年には、40歳以上の世界トップ選手が競うMasters CrossFit GamesのMen 40–44部門に出場し、世界29位を記録しました。2026年、日本人として世界最高峰の舞台に立ったのは彼1人のみです。

また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、本格的なランニング競技経験がない中、HYROX大阪大会では総合3位・日本人選手2位に輝きました。

CrossFit Gamesという世界最高峰の舞台を選手として経験し、現在も現役アスリートとして挑戦を続けながら、世界レベルの競技経験と、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

本記事では、ハンドスタンドプッシュアップに必要な手と頭の位置、肩と腕の基礎筋力、ボックスHSPU、壁倒立ネガティブ、逆立ち姿勢、ウォールウォーク、初心者向けの段階的な練習方法について専門監修を受けています。

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