ローイング(Rowing)の漕ぎ方|クロスフィットで速くなるフォームとペース

脚、体幹、腕の順で力を伝え、戻りを急がない

カテゴリー:Conditioning|Vol.29

執筆・編集:SA1NT JAPAN編集部

専門監修:板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

ローイング(Rowing)は、CrossFitのWODで頻繁に登場する代表的なコンディショニング種目です。

一見すると「ハンドルを強く引けば速くなる」と思われがちですが、実際には脚 → 体幹 → 腕の順番で大きな筋肉から力を伝えることが重要です。

さらに、速く戻りすぎずリカバリー局面で休むこと、ストローク数、ダンパー、呼吸まで整えると、同じ体力でも効率よくカロリーや距離を稼げるようになります。

ローイングは「たくさん漕ぐ」より「1ストロークを強く、戻りは落ち着いて」。
TONYコーチの目安では、力の配分は脚7割・体幹2割・腕1割。まず脚のキックをフライホイールへ伝えることから始めます。

目次


ローイングとは?

ローイングは、ボートを漕ぐ動作をローイングマシンで再現した全身運動です。

脚だけでも腕だけでもなく、下半身から生み出した力を体幹、背中、腕へ伝えてハンドルを動かします。

基本の順番
脚で押す → 股関節を開く → 腕で引く → 腕を戻す → 体幹を前へ → 膝を曲げてキャッチへ


TONYコーチ動画|ローイング(Concept2)の上達テクニック

まずTONYコーチの初心者向け動画で、セットアップから漕ぎ方、初心者に多いミスまで確認します。

TONYコーチ POINT|ローイングの主役は脚
ハンドルを腕で強く引くのではなく、最初に脚でペダルを強く押します。そこから体幹を開き、最後に背中と腕でハンドルを引き込みます。


最初にセッティングを整える

足の位置

フットプレートは、母趾球付近でしっかり押せる高さに調整します。

ストラップが緩いと、ドライブで十分に足を使えません。左右とも適度に締めます。

ハンドル

肩幅程度で自然に握ります。必要以上に強く握り込まず、腕と肩はリラックスさせます。

キャッチ

スタート位置では、無理のない範囲で脛が床に対してほぼ垂直になるところまで前へ入ります。

前に入りすぎて身体がつぶれたり、かかとが極端に浮いたりする必要はありません。


基本フォーム|4つの局面

1. キャッチ(Catch)

膝を曲げ、身体を軽く前傾させ、腕を伸ばします。

2. ドライブ(Drive)

最初に脚でフットプレートを強く押します。

このとき腕で先に引かず、脚のキックでハンドルも一緒に動き始めることが重要です。

3. フィニッシュ(Finish)

脚が伸びてから股関節を開き、身体を軽く後方へ傾けます。

最後に肘を後ろへ引き、ハンドルをみぞおち付近へ引きつけます。

4. リカバリー(Recovery)

戻るときは逆の順番です。

Drive
脚 → 体幹 → 腕

Recovery
腕 → 体幹 → 脚

特に戻りで膝を早く曲げると、ハンドルと膝がぶつかり、リズムが崩れます。まず腕を伸ばしてから身体を前へ戻し、最後に膝を曲げます。


脚7割・体幹2割・腕1割

TONYコーチは、ローイングの力の配分を初心者に分かりやすく、脚7割・体幹2割・腕1割というイメージで説明しています。

TONYコーチ POINT|腕で頑張りすぎない
ローイングという名前から腕でハンドルを引きたくなりますが、大きなパワーを作るのは脚です。脚で強く押し、股関節を開き、その力を最後に腕へ伝えます。

腕から引き始めると、脚という大きな筋肉を十分使えず、1回のストロークも短くなります。


初心者に多いミス

ミス1|お尻だけ先に後ろへ動く

脚で蹴っているように見えても、お尻だけが後ろへ滑り、ハンドルが前に残っている場合があります。

この状態では脚の力がハンドルへ伝わりません。

修正|お尻とハンドルを一緒に動かす
ドライブ開始直後は、肩・体幹の角度を保ちながら脚で押します。お尻が後ろへ進むのと同時にハンドルも動いているか確認します。

ミス2|最後まで引き切る前に膝を曲げる

フィニッシュ前に膝が戻り始めると、ハンドルの移動距離が短くなります。

脚を伸ばし、体幹を開き、腕を最後まで引き切ってから戻ります。

ミス3|手首でハンドルを巻き込む

フィニッシュで手首を強く曲げる必要はありません。

手首は自然に保ち、背中と腕で肘を後方へ引きます。


戻りを急がない|ここが「休む時間」

ローイングでは、強く力を出すドライブと、次のストロークへ戻るリカバリーを区別します。

初心者は「たくさん漕いだ方が速い」と考え、引いた瞬間から自分の力で急いで前へ戻りがちです。

しかし、それではストローク数だけが増えて疲れやすくなります。

強く漕ぐ → 落ち着いて戻る。
リカバリーは次の強いドライブに備える時間です。

腕を伸ばし、身体を前へ戻してから膝を曲げ、スライドに合わせて自然にキャッチへ戻ります。


ストローク数の考え方

Concept2では、1分間あたりのストローク数(Stroke Rate/spm)を確認できます。

TONYコーチは、一般的な継続ローイングの一つの目安として25〜30spm前後を紹介しています。

30を大きく超えているのにペースが上がらない場合、1回のストロークが弱く、戻りを急いでいる可能性があります。

確認ポイント

  • ストローク数だけを上げていないか
  • 脚でしっかり押せているか
  • フィニッシュまでハンドルを動かせているか
  • 戻りで呼吸を整えられているか
  • 毎ストローク同じリズムになっているか

TONYコーチ動画|さらにローイングのスコアを上げる3つのテクニック

基本フォームが整ったら、次にダンパー、ストローク数、呼吸を見直します。

この動画でTONYコーチが挙げている3つは、次のポイントです。

TONYコーチ 3 TECHNIQUES
① ダンパー設定
② 1分間のストローク数
③ ワークアウト強度に合わせた呼吸


ダンパー設定|10が一番速いわけではない

Concept2には1〜10のダンパー設定があります。

数字を上げるほどフライホイールへ取り込む空気が増え、1ストロークごとに重い感覚になります。

しかし、10にすれば自動的に速くなるわけではありません。重すぎれば1回ごとに必要な筋力が大きくなり、長時間維持しにくくなります。

TONYコーチの目安|まず3〜5程度から
長時間安定してスピードを出したい場合、TONYコーチは3〜5程度を一つの目安として紹介しています。大会などでも自身は5前後を使用することが多いと説明しています。

ただし、最適設定は体格、種目、距離、マシンの状態などでも変わります。数字だけを固定せず、自分が継続してパワーを出せる設定を探してください。


ローイングの呼吸テクニック

呼吸は距離や強度によって変えます。

長めのローイング|1ストローク1呼吸

長時間を落ち着いて漕ぐ場合は、シンプルな呼吸を使います。

ドライブ:息を吐く
リカバリー:息を吸う

ストロークと呼吸を合わせることで、一定のリズムを保ちやすくなります。

高強度|1ストロークの中で呼吸回数を増やす

大会や短時間の高強度ローイングでは、1ストローク中により細かく呼吸する方法もあります。

TONYコーチは、強く力を出す瞬間には一時的に呼吸が止まりやすいため、その前後で呼吸を増やす方法を紹介しています。

TONYコーチ POINT|強度によって呼吸を変える
ゆっくり長く漕ぐときと、短時間で強いパワーを出すときでは呼吸方法を変えます。高強度では、ドライブ側とリカバリー側で細かく呼吸を入れ、必要な換気量を確保します。

最初から複雑な呼吸を使う必要はありません。まずはドライブで吐く、戻りで吸うというリズムを安定させてから、高強度用の呼吸へ進みます。


Concept2の波形でフォームを確認

Concept2には、自分の1ストロークの力の出方をグラフで確認できる表示があります。

TONYコーチはこの波形を使い、脚で早い段階からしっかりパワーを出せているか確認する方法を紹介しています。

脚で強く押し、体幹、腕へ滑らかに力をつなげると、毎回似た形の安定した波形を作りやすくなります。

感覚だけでなくモニターも使う。
「頑張って漕いでいる」だけではフォームの良し悪しは判断しにくいものです。ストローク数、ペース、波形を確認しながら、自分のフォームを客観的にチェックしてください。


よくある質問

ローイングは腕で強く引けば速くなりますか?

腕だけでは大きなパワーを作りにくくなります。まず脚でフットプレートを強く押し、体幹を開き、最後に腕と背中でハンドルを引きます。

ローイングの力はどこを一番使いますか?

TONYコーチは初心者向けのイメージとして、脚7割・体幹2割・腕1割と説明しています。数字を厳密な生理学的割合として捉えるのではなく、「脚が主役」という意識づけとして使ってください。

ストローク数は高いほど速いですか?

必ずしもそうではありません。1回のストロークが弱いまま回数だけ増えると疲れやすくなります。まずは1回を強く漕ぎ、戻りを落ち着かせます。

ダンパーは10にした方が速いですか?

いいえ。10は重い感覚になりますが、その分1ストロークごとの筋力負担も増えます。長時間維持しやすい設定を選んでください。

戻るときも力を入れた方が速いですか?

戻りでは必要以上に力を使いません。腕、体幹、脚の順で落ち着いてキャッチへ戻り、次のドライブへ備えます。

呼吸はいつすればいいですか?

初心者はドライブで吐き、リカバリーで吸うリズムから始めると分かりやすいです。より高強度では、1ストロークの中で呼吸を増やす方法もあります。


まとめ|強く漕いで、戻りで休む

  1. ローイングは脚・体幹・腕を使う全身運動
  2. 力を伝える順番は脚 → 体幹 → 腕
  3. TONYコーチの目安は脚7割・体幹2割・腕1割
  4. お尻だけ先に後ろへ逃がさない
  5. 最後まで引き切ってから戻る
  6. 戻りは腕 → 体幹 → 脚の順番
  7. リカバリーを急がず呼吸を整える
  8. 25〜30spm前後を一つの基準としてフォームを確認する
  9. ダンパー10が必ず速いわけではない
  10. 距離・強度に合わせて呼吸方法も変える

ローイングを速くするために、ストローク数をただ増やす必要はありません。

脚で強く押す → 体幹を開く → 腕で引く → 落ち着いて戻る。

この順番を毎回再現できるようになると、1ストロークあたりの出力が高まり、WOD全体でも余計な疲労を抑えやすくなります。

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参考動画




参考資料


この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。

専門監修

板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Gamesに出場。2021年にはCrossFit GamesのMen 35–39部門で世界15位。さらに2026年には、40歳以上の世界トップ選手が競うMasters CrossFit GamesのMen 40–44部門に出場し、世界29位を記録しました。2026年、日本人として世界最高峰の舞台に立ったのは彼1人のみです。

また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、本格的なランニング競技経験がない中、HYROX大阪大会では総合3位・日本人選手2位に輝きました。

CrossFit Gamesという世界最高峰の舞台を選手として経験し、現在も現役アスリートとして挑戦を続けながら、世界レベルの競技経験と、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

本記事では、Concept2ローイングのセットアップ、キャッチ、ドライブ、フィニッシュ、リカバリー、脚・体幹・腕の力の伝え方、ストローク数、ダンパー設定、呼吸、モニターを使ったフォーム確認について専門監修を受けています。

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