トーズ・トゥ・バー(Toes to Bar)のコツ|届かない・連続できない原因

脚を上げる前に、効率的なスイングと握りを整える

カテゴリー:Gymnastics|Vol.25

執筆・編集:SA1NT JAPAN編集部

専門監修:板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

トーズ・トゥ・バー(Toes to Bar)は、バーにぶら下がった状態から両足を持ち上げ、つま先をバーへタッチするCrossFit Gymnasticsの代表種目です。

「腹筋が強ければできる」と思われがちですが、キッピングで行う場合はそれだけではありません。ホロウとアーチ、肩から始まるスイング、背中でバーを押す力、股関節の動き、そして次の1回へ戻るタイミングが重要です。

足が届かない人ほど、最初に「足を上げる」ことを考えすぎない。
まずスイングを整え、身体をバーの後ろへ移動させてから脚を上げます。連続できない場合は、バーに触れた後の戻り方も確認します。

目次


トーズ・トゥ・バーとは?

トーズ・トゥ・バーには、反動を使わずに行うストリクトトーズ・トゥ・バー(Strict Toes to Bar)と、全身のキップを利用するキッピングトーズ・トゥ・バー(Kipping Toes to Bar)があります。

ストリクト キッピング
反動 使わない ホロウとアーチを使う
主な動き 体幹・股関節で脚を上げる 肩、背中、体幹、股関節を連動
用途 筋力・コントロール WODで高回数を効率よく行う

TONYコーチはキッピングについて、全身を「鞭のように」連動させる動きとして説明しています。


ホロウとアーチが土台

キッピングトーズ・トゥ・バーの土台になるのが、ホロウとアーチです。

アーチでは胸をバーより前へ送り、脚を後方へ。ホロウでは肩と体幹を使って身体をバーより後方へ移します。

基本の流れ
アーチ → ホロウ → バーを押す → 膝を上げる → つま先をバーへ → 足を戻す → 次のアーチ

ホロウとアーチそのものは、Vol.24「ホロウ・アーチとは?クロスフィット体操の基本姿勢」で詳しく解説しています。


TONYコーチ動画|初心者のためのToes to Bar攻略法

ここでTONYコーチの動画を見ながら、実際の動きを確認します。

TONYコーチ POINT 1|脚だけを振らない
初心者に多いのが、「スイング=脚を前後に振る」と考えてしまうこと。脚だけを振ると身体が一直線の振り子になり、自分でコントロールしにくくなります。肩と上半身からスイングを作ります。

TONYコーチ POINT 2|まず床でホロウとアーチを覚える
バーでスイングする前に、床でホロウとアーチを作り、「どこに力が入るのか」「どんな身体の形になるのか」を理解します。

TONYコーチ POINT 3|足を上げる瞬間も背中を抜かない
スイングまではきれいでも、足を上げ始めた瞬間に背中の力が抜ける人が多くいます。バーを押す力を残しながら脚を上げることが重要です。


脚ではなく肩からスイングする

トーズ・トゥ・バーを1回成功させるうえで、最初に整えたいのがキップスイングです。

  1. バーにぶら下がりアクティブハングを作る
  2. 肩をバーの前へ送りアーチ
  3. 肩をバーの後ろへ押してホロウ
  4. 肘は伸ばしたままにする
  5. 脚をそろえる
  6. 同じリズムで3〜5回繰り返す

大きく振る必要はありません。まず毎回同じホロウとアーチを作れることを優先します。

スイングの基礎は、Vol.23「キッピングプルアップのコツ|ホロウとアーチから連続回数へ」も参考にしてください。


足をバーまで届かせるコツ

キップが整ったら、バーを下方向へ押しながら身体を後方へ移します。

身体がバーの真下に残ったままだと、脚をほぼ垂直に高く持ち上げる必要があります。身体を後ろへ移すことで、足とバーの距離を縮めやすくなります。

TONYコーチ POINT 4|膝を先に上げ、最後につま先を伸ばす
脚を伸ばしたままバーまで持っていくのが難しい場合は、まず膝を胸・肘方向へ高く上げます。最後に膝を伸ばして、つま先をバーへ運びます。

届かせる順番
キップ → バーを押す → 身体が後ろへ → 膝を高く上げる → 最後につま先を伸ばす

足が届かない場合の確認ポイント

  • 脚だけを振っていないか
  • ホロウへ入るときにバーを押せているか
  • 足を上げる瞬間に背中の力が抜けていないか
  • 膝を十分高く上げているか
  • 最後につま先を伸ばしているか

連続できない原因

1回はできるのに2回目が続かない場合は、足をバーへ当てた後を確認します。

足をそのまま真下へ落とすと、次のキップが消えてしまいます。

バーへ触れたら、足を積極的に下方向・後方向へ戻しながら胸を前へ送り、次のアーチへ入ります。

TONYコーチ POINT 5|上げるだけで終わらない
バーに触れた後、足を戻して次のアーチを作るところまでが1レップ。連続回数では、この「戻り」が重要です。

連続の流れ
つま先をバーへ → 足を後方へ戻す → アーチ → ホロウ → 次のレップ


よくある失敗と修正方法

失敗 原因 修正
脚だけを振る 肩と体幹が使えていない 肩から小さなキップを作る
足が届かない 身体がバーの真下に残る 背中でバーを押して身体を後ろへ
足を上げると身体が前へ流れる 背中の力が抜ける 脚を上げている間もバーを押す
膝は上がるが届かない 最後の伸ばしがない 最後につま先をバーへ伸ばす
1回しか続かない 足を真下へ落としている 足を後方へ戻してアーチへ
握力がすぐなくなる 大セット・過度な握力 限界前にセットを区切る

段階的な練習方法

STEP 1|床上ホロウ・アーチ

2つの身体の形と、どこに力が入るかを覚えます。

STEP 2|キップスイング

バーで足を上げず、ホロウとアーチだけを繰り返します。

STEP 3|キッピングニーアップ

ホロウへ入るタイミングで膝を胸方向へ上げます。

STEP 4|膝をさらに高く

バーを押しながら膝を肘方向へ近づけます。

STEP 5|最後につま先を伸ばす

膝が十分高くなったところで足を伸ばしてバーへタッチします。

STEP 6|1回+正しい戻り

回数を増やす前に、バーへ触れた後に足を戻し、次のアーチへ入れるか練習します。

STEP 7|2〜5回連続

同じテンポで繰り返せる範囲だけ行います。


よくある質問

トーズ・トゥ・バーで足が届かないのは腹筋が弱いからですか?

腹部の筋力も関係しますが、それだけではありません。キップ、バーを押す力、背中の緊張、膝を上げるタイミングなども確認してください。

脚は伸ばしたまま上げる必要がありますか?

ありません。膝を先に高く上げ、最後につま先をバーへ伸ばす方法も使えます。

1回はできるのに連続できません。

足をバーへ当てた後、真下へ落としている可能性があります。足を後方へ戻しながら胸を前へ送り、次のアーチへ入ります。

脚だけを振ってはいけませんか?

脚だけを大きく振るとスイングをコントロールしにくくなります。肩から動き始め、ホロウとアーチを使って全身を連動させます。

足を上げると急に動きが崩れます。

足を上げる瞬間に背中や広背筋の力が抜いている可能性があります。バーを押す力を維持しながら脚を上げてください。

握力が先になくなります。

セットを大きくしすぎないことが重要です。限界になる前にバーから降り、最後まで同じ回数を再現できるセットへ分けます。


まとめ|足を上げる前にスイングを整える

  1. トーズ・トゥ・バーは腹筋だけで行う種目ではない
  2. ホロウとアーチがキップの土台
  3. 脚だけを振らず、肩からスイングを作る
  4. 足を上げる瞬間も背中でバーを押す
  5. 身体をバーの後ろへ移してから膝を上げる
  6. 届かない場合は膝を先に上げ、最後につま先を伸ばす
  7. 連続するには足を真下へ落とさず次のアーチへ戻す

トーズ・トゥ・バーができないときは、腹筋だけを鍛える前にスイング、背中、身体の位置を確認してください。

アーチ → ホロウ → バーを押す → 膝を上げる → つま先をバーへ → 足を戻す。

この流れが整うと、1回の成功から連続回数へ発展させやすくなります。

次に読む記事

▶ クロスフィット完全ガイド・全51記事を見る

参考動画・参考資料



この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。

専門監修

板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Gamesに出場。2021年にはCrossFit GamesのMen 35–39部門で世界15位。さらに2026年には、40歳以上の世界トップ選手が競うMasters CrossFit GamesのMen 40–44部門に出場し、世界29位を記録しました。2026年、日本人として世界最高峰の舞台に立ったのは彼1人のみです。

また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、本格的なランニング競技経験がない中、HYROX大阪大会では総合3位・日本人選手2位に輝きました。

CrossFit Gamesという世界最高峰の舞台を選手として経験し、現在も現役アスリートとして挑戦を続けながら、世界レベルの競技経験と、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

本記事では、トーズ・トゥ・バーに必要なホロウとアーチ、キップスイング、背中と肩の使い方、足をバーへ運ぶ方法、初心者に多いミス、連続回数へのつなげ方について専門監修を受けています。

🌐 CrossFit Uninterrupted

Instagramトニーコーチ Instagram YouTubeトニーコーチ YouTube

← メディア一覧に戻る