SA1NTコーチ【マイク】が教える長期的ランニングトレーニング計画②|80/20と心拍管理で持久力を伸ばす方法【科学】
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長期的に速くなりたいなら、まず「頑張りすぎ」をやめるべき
速くなりたいと思うランナーほど、毎回の練習を頑張りすぎる傾向があります。
しかし、長期的に見れば、それは必ずしも良い方法ではありません。
私は、ランニングの成長は単発の追い込みではなく、継続できる設計によって決まると考えています。
その中心にあるのが、80/20、心拍管理、回復、そして過負荷管理です。
多くのランナーが伸び悩む理由は、トレーニング量が少ないからではなく、
強度の配分が悪いことにあります。
- easyに走るべき日が速すぎる
- hardに走るべき日が中途半端
- 疲労が抜けない
- その結果、また質の低い練習になる
この流れに入ると、走っているのに伸びません。
だからこそ、まず必要なのは「どれだけやるか」よりも、どう配分するかです。
80/20ルールとは何か
私が繰り返し大事だと考えているのが、いわゆる80/20の考え方です。
これは、トレーニング全体のうち
- 約80〜90%を低強度の有酸素トレーニング
- 約10〜20%を高強度のスピードトレーニング
で構成するという考え方です。
言い換えれば、ほとんどの練習は“楽であるべき”で、
本当にきつい練習は週に1回か2回で十分です。
その代わり、その1回か2回は目的を持ってしっかり行う。
私は添付の中でも、
“Over 80% of your training should be easy aerobic running”
“virtually nothing in the middle”
という形でこの考え方を何度も示しています。
ここで重要なのは、「ゆっくり走る日が無駄ではない」ということです。
むしろ、長期的に速くなる土台は、その低強度トレーニングの中で作られます。

なぜ80/20が有効なのか
80/20が有効な理由は、感覚論ではなく生理学で説明できます。
低強度の有酸素トレーニングは、
- ミトコンドリア機能の向上
- 毛細血管の発達
- 脂質代謝能力の改善
- 心肺機能の基礎づくり
に役立ちます。
つまり、長く動き続けられる身体を作ります。
一方で、高強度トレーニングは、
- VO2maxの向上
- 乳酸耐性の向上
- レースペースへの適応
- 神経系へのスピード刺激
に役立ちます。
つまり、速く走る能力を伸ばします。
この2つをバランスよく組み合わせるのが80/20です。
毎回中強度で走ると、どちらの効果も中途半端になりやすい。
疲労だけが残り、伸びにくくなります。
なぜ「中途半端なきつさ」が一番危ないのか
私は、トレーニングで最も避けたいのは、
いつも少しきつい状態で走ることだと考えています。
これは一見頑張っているように見えて、実は非常に効率が悪い。
なぜなら、
- easy runとしては強すぎて回復にならない
- speed workとしては弱すぎて刺激が足りない
からです。
結果として、
- 疲労は蓄積する
- 走りは重くなる
- ハードセッションの質が落ちる
- 長期的には停滞する
この状態を避けるために、
私はeasyはeasy、hardはhardという配分を大切にしています。
心拍管理が必要な理由
80/20を実行するうえで非常に役立つのが、心拍管理(HR management)です。
私は添付の中で、
base training や easy run は heart rate を使って管理することを勧めています。
理由はシンプルです。
easy run は、感覚だけに頼ると速くなりすぎるからです。
「今日は楽に走っているつもり」でも、
実際には心拍が高くなっていることは珍しくありません。
特に、調子が良い日や仲間と走る日は、知らないうちに強度が上がります。
しかし心拍数を見れば、
- 今は有酸素ゾーンにいるか
- もう上がりすぎているか
- 本来の目的から外れていないか
を客観的に確認できます。
添付の中では、
180−年齢という目安を使った有酸素ランの考え方も出ており、
少なくとも“低強度を低強度のまま保つ”という意図が明確です。
ただし、ペースで管理すべき日もある
ここで誤解してはいけないのは、
すべてを心拍で管理すればいいわけではないということです。
私は添付の最後で、かなり明確にこう整理しています。
-
Race pace and speed work: Train by pace
- Easy runs and base training: Train by heart rate
つまり、
- レースペース練習やインターバルでは「何分何秒で走るか」が重要
- easy run や base training では「強度を上げすぎないこと」が重要
ということです。
これは非常に合理的です。
レースで目標タイムを狙うなら、そのペースに身体を慣らす必要がある。
一方で、土台づくりでは速さではなく、適切な生理学的強度が重要です。
心拍とペースは対立するものではなく、
使う場面が違うだけです。
回復は「休むこと」ではなく「適応を起こすこと」
多くのランナーは、回復を「休み」とだけ捉えます。
しかし私は、回復は単なる休息ではなく、トレーニング効果を身体に定着させる過程だと考えています。
どれだけ良い練習をしても、回復できなければ意味がありません。
疲労が抜けない状態では、
- 次の練習の質が落ちる
- 心拍が高止まりする
- フォームが崩れる
- ケガや病気のリスクが上がる
この流れになります。
添付の中でも、私は何度も
心拍がどれだけ下がったかを見ています。
1分後にどれだけ落ちるか、レスト中にどこまで戻るか。
これは単なる数値遊びではなく、そのセッションに身体がどう反応しているかを見るためです。
心拍の回復が悪いときは、
- 強度が高すぎた
- 累積疲労がある
- 回復が追いついていない
可能性があります。
つまり、回復は感覚だけでなく、指標で確認できるものでもあります。
過負荷管理が長期計画の鍵になる
トレーニングの基本原則のひとつは過負荷です。
少しずつ身体に高い要求を与えることで、適応が起こります。
ただし重要なのは、
過負荷には“適切な量”があるということです。
負荷が低すぎれば変化は起こらない。
逆に高すぎれば、回復できず壊れてしまう。
だから私は、
- speed work は6〜10週間程度のブロックで行う
- hard session は週1〜2回に抑える
- 30% hard rule のように、ハードワークの割合を管理する
といった形で、負荷に上限を設ける考え方を示しています。
これはとても大事です。
頑張ること自体は悪くありません。
問題なのは、毎週、毎月、毎シーズン、それを継続できる設計になっているかです。
長期計画とは、気合いではなく設計です。
どんなランナーでも必要なのは「足し算」ではなく「配分」
ランナーはよく「何を追加すればいいですか」と聞きます。
でも、本当に大切なのは足し算ではなく、配分の最適化です。
- インターバルを入れる
- サーキットを入れる
- ドリルを入れる
- 距離も増やす
これを全部やろうとすると、多くの場合うまくいきません。
必要なのは、それぞれをどこに置くかです。
80/20は、その配分を考えるための軸になります。
心拍管理は、easyの日をeasyのまま保つためのツールになります。
回復の確認は、やりすぎを防ぐブレーキになります。
つまり、長期的に伸びるランナーは、
特別な練習をしているのではなく、配分を間違えないのです。
HYROXや実戦パフォーマンスにもそのままつながる
この考え方は、ロードレースだけのものではありません。
HYROXのように、
- 高心拍を維持しながら
- ランとワークアウトを繰り返し
- 疲労の中で動き続ける
競技においても、80/20、心拍管理、回復の考え方は非常に重要です。
高強度セッションだけを増やしても、
土台がなければ後半に失速します。
逆に、有酸素ベースと回復がしっかりしていれば、
高心拍の中でもパフォーマンスを維持しやすくなります。
つまり、長期的なトレーニング設計は、
最終的に実戦で崩れない身体を作ることにつながります。
SA1NTの考え方ともつながるポイント
さらに、こうした長期設計の中では、
- 疲労の中でも動きを安定させること
- 筋肉の無駄な振動を抑えること
- セッションの質と回復を高めること
が重要になります。
この観点は、コンプレッションウェアの役割ともつながります。
特に、高強度セッションやHYROXのような複合的な負荷の中では、
安定性・効率・回復の観点から何を身につけるかが、積み重ねの質を左右します。
まとめ
長期的に速くなりたいなら、
必要なのは「もっと頑張ること」ではなく、もっと正確に設計することです。
80/20の考え方は、
- 有酸素ベースを育てる
- 高強度セッションの質を高める
- 疲労を管理しながら継続する
ための非常に合理的な方法です。
そしてその実行には、
- easy run を心拍で管理すること
- speed work をペースで管理すること
- 心拍回復や疲労状態を見ながら負荷を調整すること
が役立ちます。
トレーニングは、気分で積み重ねるものではありません。
データ、回復、配分を見ながら、長く伸びる形で積み重ねるものです。
速くなるための近道は、
毎回限界まで追い込むことではなく、
必要な強度を、必要な量だけ、適切なタイミングで行うことです。
SA1NT HYBRID RUN CLUBで実践できること
SA1NT HYBRID RUN CLUBでは、こうした考え方を実際のトレーニングに落とし込み、ランナーが無理なく継続できる形で実践しています。
特に毎月第1週と第3週は、サーキットトレーニングを中心に行っています。
- 第1週:サーキットトレーニングA
- 第3週:サーキットトレーニングB
ひとりで行うときついトレーニングも、仲間と一緒なら続けやすくなります。初心者から経験者まで、それぞれのレベルに応じて参加できるプログラムです。
詳細・参加はこちら:
https://saintlayers.jp/pages/conceptofrunclub
この記事を書いたコーチ
Mike Trees(7×マスターズ世界チャンピオン)
長年にわたりコーチ、トレーナー、そしてアスリートとして活躍。スポーツ科学の知見と実戦経験を融合させ、ランニングパフォーマンス向上に取り組んできた。
アジアの高温多湿な環境に適した、高機能なコンプレッションウェアとランニングギアの必要性を感じ、SA1NTと共にプロダクト開発を行っている。
Mike Treesからのメッセージ
「私はアスリートとして、コーチとして、そしてスポーツ科学者として、常にスポーツに対するホリスティックなアプローチを取り入れてきました。
トレーニング、レース、リカバリー、そして栄養に至るまで、すべてがパフォーマンスを構成する重要な要素です。
最高のパフォーマンスを発揮するためには、身体の動きだけでなく、それを支える環境と装備も重要になります。
その考えのもとで開発されたのが、Project ONE コンプレッションです。
ぜひ一度、その違いを体感してみてください。
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着圧や疲労軽減といった機能面は非常に優れているものの、1度の洗濯で縫い目の糸がほつれが生じるなど、耐久性には不安が残る。
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