クロスフィット(CrossFit)の1時間クラスは何をする?初心者向けに流れを解説

ウォームアップ、スキル(Skill)、ストレングス(Strength)、メトコン(Metcon)、クールダウンの順で理解する

カテゴリー:入門|Vol.05

執筆・編集:SA1NT JAPAN編集部

専門監修:板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

クロスフィットのクラスへ初めて参加するとき、「いきなり重いバーベルを持つの?」「1時間ずっと全力で動くの?」「動作を知らなくても大丈夫?」と不安になる方は少なくありません。

一般的なクロスフィットクラスは、開始直後からWODを行うわけではありません。コーチによる説明、ウォームアップ、動作練習、個別のスケーリングを行ったうえで、その日のワークアウトへ進みます。

先に結論:
一般的な1時間クラスは、ホワイトボード説明、ウォームアップ、スキルまたはストレングス、WODの動作確認とスケーリング、WOD、クールダウンという流れです。ただし、毎回すべての項目を同じ時間配分で行うわけではなく、その日のワークアウトに合わせて構成が変わります。

この記事では、初回クラスで何をするのか、各パートの目的、初心者が確認すべきこと、クラス前後の準備までを時系列で解説します。


目次


クロスフィットの1時間クラスの流れ

クロスフィット公式は、一般的なクラスについて、ホワイトボードでの説明、ウォームアップ、スキル練習、ワークアウト準備、WODという流れを案内しています。また、公式のレッスンプランニング教材では、ウォームアップ、スキル、ワークアウト、クールダウンを1時間へ効率的に収めることが重視されています。

時間の目安 パート 主な目的
0〜5分 ホワイトボード説明 その日の目的、ルール、動作、スコアを理解する
5〜15分 ウォームアップ 体温を上げ、必要な関節と動作を準備する
15〜30分 スキル/ストレングス 技術を学ぶ、または筋力トレーニングを行う
30〜40分 WOD準備 動作確認、重量選択、器具配置、スケーリングを決める
40〜55分 WOD その日の狙った刺激でワークアウトを行う
55〜60分 クールダウン/記録 呼吸を整え、結果と変更内容を記録する

時間は一例です。
重いスクワットを中心にする日はストレングスが長くなり、長時間WODの日は技術練習が短くなることがあります。施設やプログラムによっても構成は異なります。


クラス開始前にすること

初回は、クラス開始の10〜15分前を目安に到着すると安心です。受付、施設案内、既往歴や運動経験の確認に時間がかかる場合があります。

コーチへ伝えること

  • クロスフィットが初めてであること
  • 現在の運動習慣
  • 過去または現在の怪我や痛み
  • 医師から運動制限を受けている場合
  • 妊娠中、産後、手術後など、特別な配慮が必要な状態

コーチはこの情報をもとに、動作、重量、可動域、運動量を調整します。隠して無理に周囲と同じ内容を行う必要はありません。

自分だけで先に疲れる運動をしない

不安だからといって、クラス前に長いランニングや高回数のバーピーを行う必要はありません。その日のメニューに合わせたウォームアップがクラス内で行われます。


1.ホワイトボード説明

目安:3〜5分

その日の全体像を理解する時間

クラスは、ホワイトボードブリーフ(Whiteboard Brief)から始まることが一般的です。コーチがメニューを読み上げ、目的、ルール、動作基準、スコア、スケーリングを説明します。

ホワイトボードでは、次の内容を確認します。

  • 今日はどの動作を行うか
  • 何分または何ラウンドのWODか
  • スコアはタイム、回数、重量のどれか
  • 狙っている時間領域や運動強度
  • 初心者向けの変更方法
  • 器具の準備方法と安全上の注意

ホワイトボードの例

ストレングス
バックスクワット 5回×5セット

WOD
10分AMRAP

  • ウォールボール 10回
  • リングロー 8回
  • 200mラン

スコア:ラウンド+追加レップ

分からない用語があれば、この段階で質問します。開始後に推測して動くより、安全で効率的です。

関連記事:WODとは?クロスフィット初心者向け用語集


2.ウォームアップ

目安:5〜10分

汗をかくだけでなく、その日の動作を準備する

ウォームアップ(Warm-up)では、体温を上げ、関節を動かし、その日のWODや筋力種目に必要な姿勢と動作を練習します。

内容は日によって異なります。

一般的なウォームアップ

  • 軽いローイング、バイク、ランニング
  • スクワット、ランジ、プッシュアップ
  • 肩、股関節、足首などの動的モビリティ

動作に特化したウォームアップ

  • スナッチの日:PVCパイプを使った頭上姿勢とバー軌道
  • デッドリフトの日:ヒンジ、体幹、軽いバーベル練習
  • プルアップの日:肩甲骨、ホロウ、アーチ、握りの準備
  • ランニングの日:足首、ふくらはぎ、ドリル、短い加速

クロスフィット公式のクラス構成でも、一般的なウォームアップと、ワークアウトへ直接つながる特異的なウォームアップが区別されています。

初心者が意識すること

他の参加者より速く動く必要はありません。痛みがある動作や、やり方が分からない動作は、コーチへ伝えてください。


3.スキルまたはストレングス

目安:10〜20分

技術を学ぶ日と、筋力を伸ばす日がある

このパートでは、スキル練習、ストレングストレーニング、または両方を組み合わせます。

スキルとは?

スキルは、動作技術を学び、反復する時間です。

  • クリーンやスナッチのバー軌道
  • ダブルアンダーのリズム
  • キッピングプルアップのホロウとアーチ
  • ハンドスタンドの姿勢
  • ローイングのストローク

初心者はPVCパイプ、空のバーベル、低い器具などから始めます。難しい動作を完成させることより、基本姿勢を理解することが目的です。

ストレングスとは?

ストレングスでは、スクワット、デッドリフト、プレスなどを使い、筋力を高めます。

例:バックスクワット

  • 5回×5セット
  • セット間は2〜3分休憩
  • フォームを維持できる重量を使用

毎回最大重量へ挑戦するわけではありません。

スキルとストレングスは毎回ある?

必ずしも毎回、独立した両方のパートがあるわけではありません。WOD自体に技術や筋力の要素が強く含まれる場合、ウォームアップとWOD準備へ時間を使うこともあります。

関連記事:ストレングスとメトコンの違い


4.WOD準備とスケーリング

目安:5〜10分

全員が自分に合う内容を決める

WODの直前に、実際に使う重量、動作、回数、器具の高さなどを確認します。

ここでコーチは、参加者の技術と体力を見ながら、次のような調整を行います。

元の動作 調整例 確認すること
プルアップ リングロー、バンド補助 肩を安定させて反復できるか
ボックスジャンプ 低いボックス、ステップアップ 安全に着地できるか
重いバーベル 軽いバーベル、ダンベル フォームを保って複数回できるか
400mラン 短い距離、ローイング、バイク 想定時間内に戻れるか
トーズ・トゥ・バー ニーアップ、シットアップ 握力と体幹を安全に保てるか

スケーリングは、初心者だけの簡単版ではありません。その日の体調、怪我、得意不得意、ワークアウトの目的に合わせ、経験者も調整します。

RXに固執しない

掲示されたRXの重量を1回持てても、WOD内で安全かつ反復可能とは限りません。長時間止まる設定より、想定された時間内で動ける設定の方が適切な場合があります。

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5.WOD

目安:5〜25分程度

その日の目的に合わせて行うメインワークアウト

準備が終わると、全員でWODを開始します。

WODの形式には、次のようなものがあります。

  • AMRAP:制限時間内に可能な限り多く行う
  • EMOM:毎分の開始時に指定された仕事を行う
  • For Time:決められた仕事量を完了する時間を記録する
  • Chipper:複数の種目を順番に完了する

コーチはワークアウト中も、次の点を確認します。

  • フォームとムーブメントスタンダード
  • 重量や動作が適切か
  • ペースが速すぎないか、遅すぎないか
  • 器具の安全と周囲のスペース
  • 体調の急な変化がないか

初心者は競争しなければならない?

同じクラスでスコアを記録しても、初日から他人に勝つことが目的ではありません。自分に合う動作を覚え、最後まで適切なフォームで動くことを優先します。

途中で違和感が出た場合:
鋭い痛み、めまい、胸部症状、通常と異なる強い息苦しさなどがあれば、すぐに止まり、コーチへ伝えてください。無理にスコアを完成させる必要はありません。

関連記事:アムラップAMRAP・イーモムEMOM・フォータイムFor Time・チッパーの違い


6.クールダウンと記録

目安:3〜10分

ワークアウトを終え、次回へつなげる

WOD後は呼吸を整え、必要に応じて軽い移動、ストレッチ、モビリティなどを行います。

クールダウンは、毎回同じ内容ではありません。ワークアウトの種類や施設の方針によって異なります。

記録する内容

  • WODのタイム、ラウンド、レップ
  • ストレングスで使用した重量
  • スケーリングした動作
  • 器具の高さや補助バンド
  • 体感した難度やペース

記録例

10分アムラップ:6ラウンド+12レップ

  • ウォールボール:6kg
  • プルアップ:リングローへ変更
  • ラン:200m

次回、同じ条件または少し進歩した条件で比較できます。

クラスの最後に再びホワイトボードへ集まり、スコアや今日の学びを共有する施設もあります。CrossFit公式の記事でも、開始時と終了時のホワイトボードをコミュニケーションとコミュニティ形成に使う実例が紹介されています。


毎回同じ流れではない理由

クロスフィットでは、日によってワークアウトの目的が違います。

その日の中心 時間配分の例 主な狙い
重いバックスクワット ストレングスを長く、WODを短くする 筋力と正しい高重量動作
スナッチ技術 スキル練習と段階的ウォームアップを長くする 技術とバー軌道
20分以上のWOD 説明と準備を簡潔にし、WOD時間を確保する 持久力とペーシング
複雑な体操動作 進行ドリルとスケーリング確認を長くする 安全な技術習得

「スキルがなかった」「ストレングスがなかった」から不完全なクラスというわけではありません。コーチは、その日のWODを分析し、必要な指導と練習へ時間を配分します。


初心者が初回に確認すること

開始前のチェックリスト

  1. 今日のWOD形式と制限時間
  2. 自分が使用する重量
  3. 自分が行う動作と回数
  4. スコアの記録方法
  5. 痛みや不安が出たときの変更方法

分からない用語は質問する

経験者が理解しているように見えても、遠慮する必要はありません。初めてであることをコーチへ伝えれば、必要な用語と動作を説明してもらえます。

周囲の重量を基準にしない

同じクラスでも、年齢、経験、体重、目標は異なります。隣の人が使う重量は、自分の適切な重量を示すものではありません。

すべてを一度で覚えようとしない

初日は、クラスの流れと基本姿勢を理解できれば十分です。複雑な用語や動作は、継続する中で少しずつ覚えます。


初回クラスの持ち物と服装

CrossFit公式は、初回クラスの基本的な持ち物として、水、動きやすい運動着、比較的フラットなシューズを案内しています。

基本的な持ち物

  • 水または水分補給用ボトル
  • 汗を拭くタオル
  • 動きやすいウェア
  • 屋内用シューズが必要な施設では専用シューズ

服装

スクワット、ランニング、頭上動作を妨げない服装を選びます。袖や裾が器具へ引っかかるもの、ずれやすいものは避けます。

最初から必要ではないもの

  • リフティングベルト
  • ニースリーブ
  • リストラップ
  • 鉄棒用グリップ
  • 専用のウェイトリフティングシューズ

必要性が分かる前に一式を購入する必要はありません。クラスを経験し、コーチへ相談してから選びます。


初回クラスで避けたいこと

開始時間ぎりぎりに到着する

受付や説明が必要なため、初回は余裕を持って到着します。

怪我や痛みを伝えない

コーチが知らなければ、適切なスケーリングを提案できません。

すぐにRXを選ぶ

初日は動作とクラスの流れを理解することが優先です。RXに固執する必要はありません。

ウォームアップから競争する

ウォームアップはスコアを競う時間ではありません。身体と技術を準備します。

終わった直後に記録せず帰る

使用重量やスケール内容を忘れる前に記録すると、次回の判断に役立ちます。


よくある質問

1時間ずっと運動し続けますか?

いいえ。説明、練習、器具準備、セット間休憩などが含まれます。

動作を一つも知らなくても参加できますか?

初心者向け体験クラスやファウンデーションクラス、オンランプ(On-ramp)がある施設では、基本から学べます。予約時に未経験であることを伝えてください。

クラスについていけなかったらどうなりますか?

動作、重量、回数、距離を調整できます。全員が同じ内容を同じ速度で行う必要はありません。

筋肉痛があっても参加できますか?

軽い筋肉痛と、鋭い痛みや関節痛は区別が必要です。強い疲労や痛みがある場合はコーチへ伝え、内容変更または休養を検討してください。

クラス中に休んでもいいですか?

必要に応じて休めます。ただし、その日の目的に合う休憩方法やペースをコーチと確認します。

毎回同じコーチですか?

施設の運営方法によります。複数のコーチが担当する場合もありますが、会員の情報やプログラム方針を共有していることが重要です。


まとめ|初回は「説明を聞き、自分の内容を確認する」

一般的なクロスフィットの1時間クラスは、次の流れで進みます。

  1. ホワイトボード説明
  2. ウォームアップ
  3. スキルまたはストレングス
  4. WOD準備とスケーリング
  5. WOD
  6. クールダウンと記録

初回から重い重量や難しい動作を行う必要はありません。

大切なのは、次の3点です。

  • 初めてであることと身体の状態をコーチへ伝える
  • 自分が行う動作、重量、回数を開始前に確認する
  • 周囲と比較せず、フォームと継続を優先する

クラスの流れを理解しておけば、初回の緊張が減り、コーチの説明と動作練習へ集中しやすくなります。


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参考資料



本記事はSA1NT JAPAN編集部が企画・調査・執筆し、CrossFit Uninterruptedのオーナー兼ヘッドコーチである板谷友弘氏の専門監修を受けて作成しています。

この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。

専門監修

板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Gamesに出場。2021年にはCrossFit GamesのMen 35–39部門で世界15位。さらに2026年には、40歳以上の世界トップ選手が競うMasters CrossFit GamesのMen 40–44部門に出場し、世界29位を記録しました。2026年、日本人として世界最高峰の舞台に立ったのは彼1人のみです。

また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、本格的なランニング競技経験がない中、HYROX大阪大会では総合3位・日本人選手2位に輝きました。

CrossFit Gamesという世界最高峰の舞台を選手として経験し、現在も現役アスリートとして挑戦を続けながら、世界レベルの競技経験と、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、クロスフィット・ゲームズへの出場経験を持つ日本人クロスフィットアスリートです。

現在はCrossFit Uninterruptedのオーナー兼ヘッドコーチとして、競技者から運動初心者まで幅広く指導しています。また、近年はハイロックスにも挑戦し、クロスフィットで培った筋力、持久力、動作技術、競技戦略を実践しています。

選手として世界大会を経験し、コーチとして多くの会員や競技者を指導してきた知識をもとに、本記事のクラス構成、初心者指導、スケーリング、安全上の注意を監修しています。

TONYコーチ監修ポイント:

初回クラスでは、周りと同じ重量を使うことより、コーチの説明を聞き、自分が行う動作を理解することが大切です。分からないことや痛みがあれば、WODが始まる前に必ず伝えてください。

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