アールエックス(RX)・スケール(Scaled)・ファウンデーション(Foundations)とは?違いと選び方
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表示どおりに行うことより、狙った刺激を守ることを優先する
カテゴリー:入門|Vol.04
執筆・編集:SA1NT JAPAN編集部
専門監修:板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)
クロスフィット(CrossFit)のクラスや大会では、RX(アールエックス)、SCALED(スケール)、Foundation(ファウンデーション)という言葉が使われます。
初心者の中には、「RXでできないと本当のクロスフィットではない」「スケールを選ぶのは負け」と感じる方もいます。しかし、これは正しい理解ではありません。
クロスフィットでは、全員が同じ重量や難しい動作を行うことより、その日のワークアウトで狙っている時間、動作の質、強度を守ることが重要です。
先に結論:
RXは指定された内容を変更せずに行う区分、スケールは重量や動作を調整した公式区分、ファウンデーションはより基本的な動作を中心とした公式区分です。ただし、通常のクラスでは、この3区分だけでなく、一人ひとりに合わせた個別スケーリングを行います。
この記事では、3つのレベルの違い、クロスフィット・オープン(CrossFit Open)での順位の扱い、通常クラスでの選び方、自分に合うレベルを判断する基準を解説します。
目次
- 3つのレベルを一覧で比較
- アールエックスとは?
- スケールドとは?
- ファウンデーションズとは?
- 通常クラスとオープンで意味は違う?
- オープンでは順位がどう決まる?
- 自分に合うレベルの選び方
- 動作と重量の具体例
- よくある誤解
- よくある質問
- まとめ
アールエックス・スケールド・ファウンデーションズの違い
| 区分 | 基本的な意味 | 動作・重量 | 向いている人 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| RX(アールエックス) | 発表された内容を変更せずに行う | 最も高度な動作や重い重量が設定されることが多い | 必要な技術と体力を持つ経験者 | できることと、ワークアウトとして適切であることは別 |
| Scaled(スケール) | 動作や重量を調整した公式バージョン | 難度や重量は下がるが、競技として明確な基準がある | アールエックスの一部動作・重量が難しい人 | 大会では自由な変更ではなく、指定内容を守る |
| Foundation(ファウンデーション) | 基本動作を中心に参加しやすくした公式バージョン | より基本的な動作と軽い負荷が使われる | 初心者、復帰者、複雑な動作が難しい人 | 内容は大会年度やワークアウトごとに確認する |
この3区分は、特にクロスフィット・オープンで明確に使われます。通常クラスでは、掲示されたアールエックス内容を基準にしながら、コーチが個人ごとに調整することも多くあります。
RX(アールエックス)とは?
アールエックス(Rx'd/Rx)は、As Prescribed、つまり「指定されたとおり」という意味です。
掲示された重量、動作、回数、距離、可動域を変更せず、定められた基準を満たして行った場合に使います。
アールエックスの例
- スラスター 43kg
- チェスト・トゥ・バープルアップ
- ダブルアンダー
重量や動作を変更せず、すべてのムーブメントスタンダードを満たして行います。
RXでできることと、選ぶべきことは同じではない
例えば、43kgのスラスターを1回できても、20回以上を含む長いWODで適切に扱えるとは限りません。
次のような状態なら、重量を下げた方がワークアウトの目的に合う可能性があります。
- 毎回1回ずつしかできず、長時間止まる
- 疲労でフォームが崩れる
- 想定タイムを大幅に超える
- 動作基準を満たせなくなる
RXは称号ではなく、そのワークアウトを指定どおり行ったという記録です。
スケールドとは?
スケール(Scaled)は、アールエックスよりも取り組みやすい動作や重量へ調整されたバージョンです。
クロスフィット・オープンでは、スケールドにも正式なワークアウト内容、重量、動作基準があります。自由に好きな動作へ変更するわけではありません。
| RXの例 | スケールの例 | 調整される能力 |
|---|---|---|
| プルアップ | ジャンピングプルアップ | 引く力と体重支持の難度 |
| ダブルアンダー | シングルアンダー | 縄跳びの技術とリズム |
| 重いスラスター | 軽いスラスター | 筋力と反復可能な重量 |
| バーマッスルアップ | チェスト・トゥ・バープルアップなど | 体操動作の技術難度 |
2026年のオープン概要でも、RX、スケール、ファウンデーションズの例が示され、同じワークアウトの目的を保ちながら動作と重量が段階的に調整されています。
スケールを選ぶ利点
- ワークアウト全体を経験できる
- 想定時間内で動き続けやすい
- フォームと動作基準を守りやすい
- 同じ区分の参加者とスコアを比較できる
ファウンデーションとは?
ファウンデーション(Foundations)は、より基本的な動作を使い、幅広い参加者がワークアウトへ挑戦できるようにした公式バージョンです。
例えば、高度な鉄棒動作の代わりにベントオーバーローやリングロー、ダブルアンダーの代わりにジャンピングジャックなどが使われる場合があります。
ファウンデーションの考え方
- 複雑な体操動作を、基本的な引く動作へ変更する
- 重いバーベルを、扱いやすい重量へ調整する
- 高度な縄跳びを、基本的な全身運動へ変更する
- ワークアウトの流れと競技体験を維持する
2026年のルールでは、ファウンデーションの参加者は、すべてのワークアウトでファウンデーションズを行った場合、専用リーダーボードに残る仕組みがあります。
重要:
ファウンデーションの動作、重量、カテゴリー、順位方法は、年度や部門によって変わる可能性があります。オープンへ参加するときは、必ずその年の公式ルールブックと各ワークアウトのスコアカードを確認してください。
通常クラスとオープンで意味は違う?
通常クラスと公式大会では、スケーリングの自由度が違います。
| 場面 | 調整方法 | 目的 |
|---|---|---|
| 通常クラス | 重量、回数、動作、距離、可動域などを個別に調整できる | その日の狙った刺激を、安全に得る |
| クロスフィット・オープン | 発表されたRX、スケール、ファウンデーションの中から選ぶ | 公式基準に従ってスコアを提出する |
| その他の大会 | 大会ごとに決められた部門・動作・重量へ従う | 同じ条件で順位を比較する |
通常クラスで「今日はスケール」と言う場合、その日のRX内容から何らかの変更をしたという広い意味で使われることがあります。
一方、オープンでは「スケール」という正式な競技区分があり、指定された動作や重量を守る必要があります。
オープンでは順位がどう決まる?
2026年のクロスフィット・ゲームズ(CrossFit Games)ルールでは、ワークアウトごとの順位は次の順で扱われます。
- RXを行った選手
- スケールを行った選手
- ファウンデーションを行った選手
- スコアを提出しなかった選手
スケールドを行った選手は、同じスケールド版を行った選手の中で比較されますが、そのワークアウトでRXを行った選手より下に順位付けされます。
ファウンデーションも同様に、同じ区分内で比較されますが、RXとスケールの選手より下に順位付けされます。
ワークアウトごとに区分を変えられる?
2026年のルールでは、ワークアウトごとにRX、スケール、ファウンデーションを組み合わせてオープンを完了できます。
例えば、1週目はRX、2週目はスケール、3週目はファウンデーションという選択も可能です。
ただし、スケール専用リーダーボードやファウンデーション専用リーダーボードへ残るための条件は別にあります。
競技者向け注意:
次のステージへの進出や正式な順位を重視する場合は、単に「できる区分」を選ぶだけでなく、最新ルールと自分のシーズン目標を確認してください。
自分に合うレベルの選び方
次の5項目で判断します。
1.動作基準を満たせるか
1回偶然できるのではなく、疲れた状態でも開始位置と終了位置を満たせるかを確認します。
2.必要な重量を反復できるか
1RMに対して何%かだけでなく、WOD内の総回数を考えます。
3.想定時間内に終えられるか
15分想定のWODを30分かけて行うなら、重量や動作が目的に合っていない可能性があります。
4.長時間止まらず動けるか
難しい動作に固執し、毎回数分止まる場合は、より基本的な動作へ変更します。
5.安全にフォームを維持できるか
疲労で腰、肩、膝などの姿勢が大きく崩れる設定は避けます。
迷ったときの質問
- この重量を5〜10回ずつ繰り返せるか
- 最初のラウンドだけでなく最後まで維持できるか
- 動作基準を毎回満たせるか
- ワークアウトの想定時間に収まるか
- コーチはどの区分を勧めているか
一つでも大きな不安がある場合は、コーチと相談し、スケールまたはファウンデーションを検討します。
動作と重量の具体例
| RX例 | スケール例 | ファウンデーション例 |
|---|---|---|
| プルアップ | ジャンピングプルアップ | ベントオーバーロー/リングロー |
| ダブルアンダー | シングルアンダー | ジャンピングジャック |
| トーズ・トゥ・バー | ハンギングニーアップ | シットアップなどの基本動作 |
| 重いスラスター | 軽いスラスター | さらに軽いスラスターまたは基本プレス |
| バーマッスルアップ | チェスト・トゥ・バープルアップ | 基本的な引く動作 |
これは考え方を示す例です。実際のオープンや大会では、必ずその年、そのワークアウトの正式な内容に従ってください。
よくある誤解
スケールは初心者だけのもの?
経験者でも、特定の体操動作ができない、怪我から復帰中、重量設定が高すぎるなどの理由でスケールを選ぶことがあります。
RXで始め、途中で自由に変更できる?
通常クラスではコーチの判断で変更できますが、大会の公式スコアでは、途中変更が認められない場合があります。開始前に区分とルールを確認します。
RXで遅くても必ず良いトレーニングになる?
競技順位ではRXが上位に置かれますが、日常トレーニングではワークアウトの目的を外すほど止まり続けることが最善とは限りません。
ファウンデーションは簡単?
動作は基本的でも、回数、時間、ペースによって十分に高い運動強度になります。
毎回同じ区分を選ばなければならない?
通常クラスでは、その日の動作、重量、体調に応じて毎回変えて構いません。オープンでも2026年ルールでは、ワークアウトごとに区分を組み合わせられます。
よくある質問
RXを1回でもできれば選んでいいですか?
1回できるだけでなく、総回数、制限時間、疲労時のフォームを考えます。コーチにワークアウト全体を通して可能か確認してください。
スケールで参加すると記録になりませんか?
記録になります。オープンではスケールド用の順位があり、同じ区分を行った参加者と比較できます。
ファウンデーションは誰でも選べますか?
オープンの対象部門では選択できますが、年度や部門の詳細は最新ルールを確認してください。
途中でRXからスケールへ変更できますか?
通常クラスでは安全のため変更することがあります。公式大会ではスコアの扱いが変わるため、開始前にルールを確認します。
どのレベルを選ぶかは自分で決めますか?
最終的な選択は本人ですが、通常クラスではコーチの助言を受けるのが適切です。動作技術、重量、想定時間を客観的に判断してもらえます。
まとめ|レベル選択もワークアウト戦略の一部
- RX:発表された内容を変更せず行う
- スケール:動作や重量を調整した公式バージョン
- ファウンデーション:基本動作を中心にした公式バージョン
通常クラスでは、これらの名称にかかわらず、重量、回数、動作、距離などを個人に合わせて調整できます。
選択基準は、プライドや周囲のレベルではありません。
- 動作基準を満たせる
- 安全に反復できる
- 想定時間内で動ける
- その日の狙った刺激を得られる
この4点を満たすレベルが、その日の自分にとって適切な選択です。
次に読む記事
参考資料
- CrossFit Games公式:2026 CrossFit Open Overview
- CrossFit Games公式:2026 Rulebook
- CrossFit公式:CrossFit Terms Explained
本記事はSA1NT JAPAN編集部が企画・調査・執筆し、CrossFit Uninterruptedのオーナー兼ヘッドコーチである板谷友弘氏の専門監修を受けて作成しています。
この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。
専門監修
板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)
板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Gamesに出場。2021年にはCrossFit GamesのMen 35–39部門で世界15位。さらに2026年には、40歳以上の世界トップ選手が競うMasters CrossFit GamesのMen 40–44部門に出場し、世界29位を記録しました。2026年、日本人として世界最高峰の舞台に立ったのは彼1人のみです。
また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、本格的なランニング競技経験がない中、HYROX大阪大会では総合3位・日本人選手2位に輝きました。
CrossFit Gamesという世界最高峰の舞台を選手として経験し、現在も現役アスリートとして挑戦を続けながら、世界レベルの競技経験と、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、クロスフィット・ゲームズへの出場経験を持つ日本人クロスフィットアスリートです。
現在はCrossFit Uninterruptedのオーナー兼ヘッドコーチとして、競技者から運動初心者まで幅広く指導しています。また、近年はハイロックスにも挑戦し、クロスフィットで培った筋力、持久力、動作技術、競技戦略を実践しています。
選手として世界大会を経験し、コーチとして多くの会員や競技者を指導してきた知識をもとに、本記事のレベル選択、スケーリング、競技区分、初心者向けの判断基準を監修しています。
TONYコーチ監修ポイント:
アールエックスでできるかどうかだけでなく、最後まで動き続けられるかを見てください。重量や動作を調整して、ワークアウトの狙いを守ることもクロスフィットの大切な技術です。
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