スキーエルゴ(SkiErg)の漕ぎ方|腕だけに頼らないフォームとペース

広背筋、体幹、股関節を使い、ストロークを安定させる

カテゴリー:Conditioning|Vol.31

執筆・編集:SA1NT JAPAN編集部

専門監修:板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

スキーエルゴ(SkiErg)は、CrossFitのWODやHYROXでも使われる全身型のコンディショニングマシンです。

見た目は「ハンドルを上から下へ引くだけ」に見えますが、効率よく漕ぐためには腕だけではなく、広背筋、体幹、股関節、脚まで連動させることが重要です。

腕だけで引くと、肩や前腕が先に疲れます。全身を使ってストロークを作ることで、長めの距離や高回数のWODでも出力を維持しやすくなります。

スキーエルゴは「腕で引く」より「身体を上から下へ使う」。
高い位置から身体全体で力を作り、体幹と股関節を使ってハンドルを下へ加速させ、最後に腕で引き切ります。

目次


スキーエルゴとは?

スキーエルゴは、クロスカントリースキーのダブルポール動作をベースにしたコンディショニングマシンです。

左右のハンドルを上から下へ引き、その力でフライホイールを回します。

CrossFitでは、距離やカロリー、一定時間のインターバルなど、さまざまなWODで使われます。

基本の流れ
高く構える → 体幹を使って下へ → 股関節を曲げる → ハンドルを引き切る → リラックスして戻る

HYROXでの1,000m SkiErgについては、こちらでも詳しく解説しています。

▶ HYROX|SkiErgのフォームと1,000m攻略法を見る


TONYコーチ動画|Concept2 SkiErgの使い方・フォーム・攻略法

スキーエルゴ(SkiErg)は、腕だけでハンドルを引くのではなく、体幹や股関節を含めて全身を連動させることが重要です。

TONYコーチの動画では、Concept2 SkiErgの基本的な使い方から、効率よく出力するためのフォーム、トレーニングでの活用方法まで実際の動きを見ながら確認できます。

TONYコーチの動画と一緒に確認
文章だけでは分かりにくいSkiErgの身体の使い方は、実際の動きを見ると理解しやすくなります。特に、腕だけで引くのではなく、体幹・股関節を使って身体全体でストロークを作る流れを確認してみてください。


基本のスタート姿勢

最初は身体を高く構えます。

  • 足は自然な幅にする
  • 膝は軽く曲げる
  • 腕を頭上付近まで伸ばす
  • 肩をすくめすぎない
  • 体幹に軽く緊張を入れる

完全に直立して力を抜くのではなく、次のプルへすぐ移れる準備姿勢を作ります。

ハンドルを必要以上に強く握り込まないことも重要です。握力を使いすぎると、前腕が先に疲れやすくなります。


腕だけで引かないフォーム

初心者に多いのが、最初から肘を曲げて腕だけでハンドルを引く動きです。

これでは肩、上腕、前腕へ負担が集中します。

最初は腕を比較的長く保ち、広背筋と体幹を使ってハンドルを下方向へ加速させます。

イメージ
腕だけで「引き下ろす」のではなく、身体全体でハンドルを「下へ運ぶ」。

身体が下へ入るにつれて肘を曲げ、最後にハンドルを腿付近まで引き切ります。


力を伝える順番

1|広背筋・肩周り

高い位置からハンドルを下へ動かし始めます。

2|体幹

腹部を締めながら、身体全体を前・下方向へ動かします。

3|股関節

股関節を曲げながら身体を下へ運びます。

4|腕

最後に肘を曲げ、ハンドルを引き切ります。

フォームのポイント
ストローク数をただ増やすのではなく、1回のストロークで全身の力をフライホイールへ伝えることを意識します。


戻りを急がない

スキーエルゴでも、力を出すプルと、次のストロークへ戻るリカバリーを分けて考えます。

引き切ったら腕を上へ戻しながら身体を起こし、次のストロークへ準備します。

戻りを急ぎすぎると、ストローク数だけが増え、呼吸を整える時間がなくなります。

Pullは強く、Recoveryは落ち着いて。
戻りの時間を使って呼吸を整え、次の強いストロークへ準備します。


ストロークと呼吸

フォームと呼吸を同じリズムにすると、長い距離でもペースを安定させやすくなります。

初心者は、まず強く引く局面で息を吐き、身体を起こして戻る局面で吸う方法から試すと分かりやすいです。

Pull:吐く
Recovery:吸う

高強度になるほど呼吸回数は増えますが、息を止めたまま連続して引かないようにします。


CrossFit WODでのペース

CrossFitでは、SkiErgだけでワークアウトが終わるとは限りません。

バーベル、バーピー、プルアップ、ランニングなどと組み合わされるため、SkiErg単体の最大速度ではなく、WOD全体で維持できるペースを考えます。

短いスプリント

短時間で終わる場合は、高いストロークレートと高出力を使いやすくなります。

複数ラウンド

1ラウンド目だけ速くならないよう、毎回再現できるペースを選びます。

長めの距離

呼吸とフォームを崩さない出力を優先します。

WOD前に確認

  • 何m/何calを行う?
  • 何ラウンドある?
  • 次の種目は何?
  • 次に肩や握力を使う?
  • 最後まで同じペースを再現できる?

カロリーと距離で考え方を変える

形式 考え方 ポイント
短いCalories 高出力 1ストロークを強くして短時間で終える
長いCalories 維持できる出力 前半に飛ばしすぎない
250〜500m フォーム+高めのペース 最後までストロークを崩さない
1,000m以上 呼吸・リズム重視 腕の消耗を抑えて全身で引く

距離やラウンド数が増えるほど、「最大でどれだけ出せるか」ではなく、どれだけ高い出力を維持できるかが重要になります。


よくある失敗と修正方法

失敗 原因 修正方法
腕がすぐ疲れる 腕だけで引いている 広背筋・体幹・股関節を先に使う
前腕がパンパンになる ハンドルを握りすぎ 必要以上に握り込まない
ストローク数だけ多い 1回の出力が弱い 1ストロークを強くする
腰だけ曲がる 体幹が抜けている 腹部を締め、股関節から動く
後半に大きく失速する 前半のオーバーペース 最初から再現できるペースを選ぶ
次の種目で握力が残らない SkiErgで腕を使いすぎ 全身で引き、次種目まで考えて出力を調整する

よくある質問

スキーエルゴは腕のトレーニングですか?

腕も使いますが、効率よく漕ぐには広背筋、体幹、股関節、脚まで含めた全身運動として行います。腕だけで引くと肩や前腕が先に疲れやすくなります。

腕はいつ曲げればいいですか?

最初から強く肘を曲げるのではなく、体幹と股関節を使ってハンドルを下へ動かし、最後に腕で引き切るイメージです。

戻るときは速い方がいいですか?

必ずしもそうではありません。戻りを急ぎすぎるとストローク数だけ増え、呼吸を整える時間がなくなります。強く引き、落ち着いて戻ります。

CrossFitではどのくらいのペースで漕げばいいですか?

距離、カロリー、ラウンド数、次の種目によって変わります。短いスプリントなら高出力、複数ラウンドや長距離なら最後まで再現できるペースを選びます。

HYROXのSkiErgと漕ぎ方は違いますか?

基本フォームは共通です。HYROXでは1,000mを行うため、その後のランや種目まで考えたペース管理が重要です。CrossFitでは短いカロリーやインターバルなど、より高強度で使われる場合もあります。

握力がすぐ疲れます。どうすればいいですか?

必要以上にハンドルを強く握っていないか、腕だけで引いていないかを確認してください。体幹と股関節を使い、全身でストロークを作ります。


まとめ|SkiErgは腕だけでなく全身で引く

  1. スキーエルゴは全身を使うコンディショニング種目
  2. 腕だけでハンドルを引かない
  3. 高い姿勢から体幹と股関節を使って下へ動く
  4. 腕は最後に使ってハンドルを引き切る
  5. 戻りを急がず呼吸を整える
  6. 短時間では高出力、長時間では維持できる出力を選ぶ
  7. 複数ラウンドでは1ラウンド目から飛ばしすぎない
  8. 次の種目まで考えて腕・握力を残す

スキーエルゴが苦手な場合、まず「もっと速く腕を動かそう」と考える必要はありません。

身体を高く構える → 体幹と股関節で下へ → 最後に腕で引く → 落ち着いて戻る。

この流れが整うと、1ストロークあたりの出力を高めながら、腕や前腕の無駄な疲労を減らしやすくなります。

CrossFitではSkiErgだけの記録ではなく、その後の種目まで含めてWOD全体を速く終えることが重要です。

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参考動画



本記事はSA1NT JAPAN編集部が企画・調査・執筆し、CrossFit Uninterruptedのオーナー兼ヘッドコーチである板谷友弘氏の専門監修を受けて作成しています。


参考資料


この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。

専門監修

板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Gamesに出場。2021年にはCrossFit GamesのMen 35–39部門で世界15位。さらに2026年には、40歳以上の世界トップ選手が競うMasters CrossFit GamesのMen 40–44部門に出場し、世界29位を記録しました。2026年、日本人として世界最高峰の舞台に立ったのは彼1人のみです。

また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、本格的なランニング競技経験がない中、HYROX大阪大会では総合3位・日本人選手2位に輝きました。

CrossFit Gamesという世界最高峰の舞台を選手として経験し、現在も現役アスリートとして挑戦を続けながら、世界レベルの競技経験と、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

TONYコーチ監修ポイント:

SkiErgは腕だけで引こうとすると、肩や前腕が先に疲れてしまいます。高い位置から体幹と股関節を使って身体全体でハンドルを下へ動かし、最後に腕を使う意識を持ってください。CrossFitのWODではSkiErgだけで出し切らず、次の種目へ移れるペースを選ぶことも大切です。

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