ハイロックス種目①スキーエルゴ徹底解説
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カテゴリー:8種目攻略|Vol.10
HYROXの最初のファンクショナル種目が、スキーエルゴです。
1kmランを終えた直後に行う、1,000mのマシン種目。
見た目はシンプルです。上から下にハンドルを引くだけに見えるかもしれません。
しかし、HYROXでスキーエルゴを雑に入ると、その後のスレッドプッシュ、スレッドプル、バーピーブロードジャンプ、そしてランに大きく響きます。
スキーエルゴは、最初の種目だからこそ大切です。
ここで頑張りすぎると、レース序盤なのに心拍が上がりすぎます。
逆に、丁寧に入ることができれば、レース全体を落ち着いて進めやすくなります。
この記事では、HYROX種目①スキーエルゴの基本、よくある失敗、効率の良い引き方、ペース配分、ランとのつなぎ方を、トニーコーチの視点を交えて解説します。
目次
- HYROXのスキーエルゴとは?
- スキーエルゴは「腕だけで引く種目」ではない
- 最初の種目だからこそ飛ばしすぎない
- スキーエルゴでよくある失敗
- 効率の良いスキーエルゴのフォーム
- 呼吸とリズムを整える
- HYROXでのスキーエルゴのペース配分
- ランナーが注意すべきポイント
- CrossFit経験者が注意すべきポイント
- ダブルスでのスキーエルゴ戦略
- スキーエルゴ練習メニュー
- スキーエルゴから次のランへどうつなぐか
- ウェアと補給の準備
- まとめ
HYROXのスキーエルゴとは?
HYROXでは、最初の1kmランを終えた後に、スキーエルゴ1,000mを行います。
スキーエルゴは、Concept2のマシンを使って、クロスカントリースキーのような動作でハンドルを引く種目です。
上半身だけの種目に見えますが、実際には全身を使います。
脚、体幹、背中、腕を連動させて、1ストロークごとに効率よく力を伝えることが重要です。
HYROXの中では、スキーエルゴはまだ序盤の種目です。
そのため、ここで大きく失速する人は少ないかもしれません。
しかし、本当に怖いのは、ここで無駄に消耗してしまうことです。
スキーエルゴの後には、まだスレッドプッシュ、スレッドプル、バーピーブロードジャンプ、ローイング、ファーマーズキャリー、サンドバッグランジ、ウォールボールが残っています。
さらに、ランも7本残っています。
つまり、スキーエルゴは「ここで勝つ種目」というより、レース全体を崩さずに入るための種目です。
関連記事:HYROXとはどんなスポーツ?
スキーエルゴは「腕だけで引く種目」ではない
スキーエルゴで最も多い失敗は、腕だけで引いてしまうことです。
ハンドルを手で持つため、どうしても腕で引きたくなります。
しかし、腕だけで1,000mを引くと、肩、上腕、前腕が早い段階で疲れてしまいます。
HYROXでは、スキーエルゴの後にスレッドプッシュ、スレッドプル、ファーマーズキャリー、ウォールボールがあります。
前腕や肩を序盤で使いすぎると、後半の種目にも影響します。
効率の良いスキーエルゴでは、腕は最後に使います。
最初に体を高く構え、そこから体重を下へ落とすようにして、体幹と背中を使います。
脚を軽く使いながら、腹部を固め、最後に腕で引き切る。
この順番が大切です。
トニーコーチも、スキーエルゴは1回1回のストロークを雑にしないこと、そして呼吸を乱しすぎないことを重視しています。
最初の種目だからこそ飛ばしすぎない
HYROXのスキーエルゴは、最初のファンクショナル種目です。
スタート直後は、会場の雰囲気もあり、気持ちが上がっています。
最初の1kmランで周りに引っ張られ、そのままスキーエルゴに入ると、つい速く引きすぎてしまいます。
しかし、スキーエルゴで飛ばしすぎると、その代償はすぐに来ます。
次に待っているのは、スレッドプッシュです。
脚と心肺がすでに上がりすぎた状態でスレッドに入ると、思った以上に重く感じます。
トニーコーチも、レース序盤のスキーエルゴでは「息を上げないこと」を意識して、落ち着いたストロークで入る戦略を取っています。
HYROXは、最初の10分で勝つ競技ではありません。
最後のウォールボールまで崩れずに進めるかが重要です。
スキーエルゴでは、速さ以上に、全体を見た冷静さが必要です。
スキーエルゴでよくある失敗
失敗① 腕だけで引く
腕だけで引くと、最初は速く感じます。
しかし、1,000mを通して見ると、肩や前腕が先に疲れて、後半のストロークが弱くなります。
HYROXでは、その疲労を次の種目にも持ち越してしまいます。
失敗② ストロークが速すぎる
細かく速く引きすぎると、心拍が上がりやすくなります。
周りの選手が速いリズムで引いていると、自分も合わせたくなります。
しかし、速く動いているように見えても、必ずしも効率が良いとは限りません。
トニーコーチも、周りよりゆっくりしたストロークでも、同じくらいのペースが出ることがあると話しています。
大事なのは、見た目の速さではなく、1ストロークあたりの効率です。
失敗③ 上体だけで倒れ込む
体を前に倒すだけで引こうとすると、腰や背中に負担がかかります。
体幹を固めずに動くと、力が逃げてしまいます。
スキーエルゴでは、ただ上半身を折るのではなく、体全体を連動させることが必要です。
失敗④ ダンパー設定を確認しない
スキーエルゴは、ダンパー設定によって引いた感覚が変わります。
重く感じる設定で無理に引くと、筋力を使いすぎます。
軽すぎる設定では、ストローク数が増えすぎて心拍が上がることもあります。
本番で慌てないためにも、練習の段階で自分に合う感覚を確認しておきましょう。
効率の良いスキーエルゴのフォーム
スキーエルゴは、上から下に引くだけではありません。
効率よく進めるためには、体の使う順番が重要です。
① 高い位置からスタートする
ハンドルを高い位置で持ち、背筋を伸ばして構えます。
肩に力を入れすぎず、リラックスした状態でスタートします。
② 体幹を固めて下へ力を伝える
腕だけで引くのではなく、体重を下へ落とすようにして力を伝えます。
腹部を軽く固め、背中と体幹を使って動きます。
③ 脚も少し使う
完全に腕だけで動くのではなく、膝を軽く使いながら全身で引きます。
ただし、スクワットのように大きくしゃがむ必要はありません。
小さく脚を使い、リズムを作るイメージです。
④ 最後に腕で引き切る
体幹と背中で力を作り、最後に腕でハンドルを引き切ります。
腕は最初から頑張るのではなく、最後の仕上げとして使います。
⑤ 戻りで呼吸を整える
引いた後、ハンドルが戻るタイミングで呼吸を整えます。
トニーコーチも、1回引いたら1回休むようなリズムを大切にしています。
スキーエルゴは、ずっと力を入れ続ける種目ではありません。
引く、戻る、呼吸する。
このリズムを作ることで、無駄な消耗を減らせます。
呼吸とリズムを整える
スキーエルゴで大切なのは、パワーだけではありません。
呼吸とリズムです。
HYROXでは、最初の1kmランを終えた直後にスキーエルゴへ入ります。
この時点で、すでに心拍は上がっています。
そこでさらに焦ってストロークを速くすると、心拍が一気に上がりすぎます。
スキーエルゴでは、呼吸を整えながら進む意識が必要です。
おすすめは、一定のストロークで、無理に回転数を上げすぎないことです。
1回引く。
戻る。
呼吸する。
また引く。
このリズムを保つことで、1,000mを安定して進めやすくなります。
速く終わらせたい気持ちは分かります。
しかし、スキーエルゴはまだレース序盤です。
ここで呼吸を乱しすぎないことが、その後のスレッドプッシュにつながります。
HYROXでのスキーエルゴのペース配分
HYROXのスキーエルゴでは、自分の実力に合ったペース設定が重要です。
普段のトレーニングで1,000mを全力で漕ぐ時と、HYROX本番での1,000mは違います。
本番では、前に1kmランがあり、後ろに長いレースが続きます。
そのため、スキーエルゴ単体のベストタイムを狙う必要はありません。
むしろ、次のスレッドプッシュに入れる状態で終えることが大切です。
初心者
初心者は、まず呼吸が乱れすぎないペースを選びましょう。
周りに抜かれても焦らなくて大丈夫です。
スキーエルゴで少し遅くても、後半に大きく崩れない方が結果的に良いレースになりやすいです。
中級者
中級者は、自分が維持できるストロークレートとペースを事前に確認しておきましょう。
1,000mを終えた後に、すぐ次のランやスレッドへ入れる余裕を残すことが大切です。
上級者
上級者は、ここで極端に抑えすぎる必要はありません。
ただし、スキーエルゴで数秒を取りに行くより、スレッドや後半のランで失わない方が重要な場合もあります。
全体のタイムから逆算して、どこまで攻めるかを決めましょう。
ランナーが注意すべきポイント
ランナータイプの人は、最初の1kmランを気持ちよく走れることが多いです。
しかし、そのままスキーエルゴに入ると、上半身の使い方に慣れていない場合があります。
ランニングでは、腕はリズムを作る役割が中心です。
スキーエルゴでは、背中、体幹、腕を使って実際に力を出す必要があります。
そのため、ランナーは腕だけで頑張ろうとして、肩や前腕が疲れやすいことがあります。
ランナーが意識したいのは、次の3つです。
- 腕だけで引かない
- 体幹と背中を使う
- 呼吸を乱しすぎない
ランで作ったリズムを、スキーエルゴで壊さないことが大切です。
スキーエルゴを終えた後に、また走れる状態でいること。
これがランナータイプの重要なポイントです。
CrossFit経験者が注意すべきポイント
CrossFit経験者は、スキーエルゴに慣れている人も多いと思います。
そのため、HYROXでは有利な種目になりやすいです。
しかし、得意だからこそ注意が必要です。
CrossFitのワークアウトでは、短い時間で高い出力を出す場面があります。
その感覚でHYROXのスキーエルゴに入ると、序盤で攻めすぎてしまうことがあります。
HYROXでは、スキーエルゴ単体で勝つ必要はありません。
レース全体の中で、どれだけ無駄なく進めるかが重要です。
トニーコーチも、スキーエルゴでは周りに飲まれず、自分たちのペースで落ち着いて進めることを意識しています。
CrossFit経験者は、次のポイントを意識しましょう。
- 得意だからといって飛ばしすぎない
- ストローク数を増やしすぎない
- 次のスレッドプッシュに脚と心肺を残す
- 全体のレースペースの中で考える
強い人ほど、序盤に冷静でいることが大切です。
関連記事:HYROX向けラントレーニング|CrossFit経験者が走力を上げる方法
ダブルスでのスキーエルゴ戦略
ダブルスでは、スキーエルゴを2人で分担できます。
トニーコーチは、ダブルスの戦略として、スキーエルゴを細かく分ける方法を紹介しています。
たとえば、1,000mを250mずつ交代する方法です。
- 1人目:250m
- 2人目:250m
- 1人目:250m
- 2人目:250m
この方法のメリットは、1回あたりの負担が大きくなりすぎないことです。
スキーエルゴは交代が比較的しやすい種目です。
ローイングのようにストラップを外したり、座り替えたりする必要がないため、交代ロスが少なく済みます。
ただし、細かく交代しすぎると、タイミングが合わなかったり、リズムが崩れたりすることもあります。
ペアで出る場合は、本番前に必ず交代の練習をしておきましょう。
大切なのは、どちらか一人が頑張りすぎないことです。
ダブルスでは、スキーエルゴだけでなく、その後のランを一緒に走る必要があります。
ファンクショナルで片方が消耗しすぎると、次のランでチーム全体のペースが落ちます。
関連記事:HYROXのカテゴリー(シングル/ダブルス/リレー)の違いと選び方
スキーエルゴ練習メニュー
スキーエルゴを上達させるには、ただ1,000mを何度も全力で行うだけでは不十分です。
目的に合わせて練習を分けることが大切です。
メニュー① フォーム確認
- 250m × 4本
- レスト:60〜90秒
- 目的:腕だけで引かず、体幹と背中を使う感覚を作る
このメニューでは、速さよりフォームを優先します。
1本ごとに、ストロークのリズム、呼吸、体の使い方を確認します。
メニュー② HYROXペース練習
- 500m × 3本
- レスト:2分
- 目的:本番で使うペースを確認する
1本目だけ速くならないように、3本とも同じくらいのペースで行います。
終わった後に立てないほど追い込む必要はありません。
次のランへ行ける余裕を残す感覚を作ります。
メニュー③ ランとの組み合わせ
- 1kmラン
- スキーエルゴ500m
- 1kmラン
- スキーエルゴ500m
これは、HYROXに近い練習です。
最初から1,000mを全て入れる必要はありません。
ラン後にスキーエルゴへ入り、そこからまた走る感覚を作ることが目的です。
メニュー④ ダブルス交代練習
- 250m交代 × 4回
- 合計1,000m
- 目的:交代のタイミングを確認する
ダブルスでは、交代のスムーズさもタイムに影響します。
どちらが先に入るか、どのタイミングで交代するか、ハンドルの受け渡しをどうするかを確認しておきましょう。
スキーエルゴから次のランへどうつなぐか
HYROXでは、スキーエルゴが終わったら、すぐに次の1kmランへ向かいます。
ここで大切なのは、スキーエルゴを終えた瞬間に完全に出し切らないことです。
1,000mを終えた時点で、呼吸が乱れすぎていると、次のランに入りにくくなります。
スキーエルゴの最後の100mで無理に上げすぎる必要はありません。
むしろ、最後まで同じリズムで終え、マシンを離れたらすぐ走り出せる状態を作る方が大切です。
次のランの入りは、最初の100〜200mを落ち着いて入りましょう。
ここで焦ってペースを戻そうとすると、スレッドプッシュの前にさらに心拍が上がってしまいます。
HYROXでは、各種目を単体で終わらせるのではなく、次の動きにつなげる意識が必要です。
スキーエルゴも、次のランとスレッドプッシュまで含めて考えましょう。
ウェアと補給の準備
スキーエルゴは上半身を大きく使う種目ですが、HYROX全体ではランニングと下半身への負担が続きます。
ウェアは、走りやすく、動きやすく、汗を含んでも重くなりにくいものを選ぶことが大切です。
トニーコーチもおすすめしているSA1NTのP1 Elite Compression Shortsは、HYROXのようにランとファンクショナル種目が混ざる競技と相性が良いアイテムです。
適度なコンプレッションで脚をサポートしながら、ラン、スレッド、バーピー、ランジ、ウォールボールのような動きにも対応しやすい設計です。
また、P1 Eliteにはポケットがあるため、補給ジェルを1〜2個入れておくのにも便利です。
HYROXは1時間以上かかる選手も多いため、レース中盤でジェルを取れるようにしておくと、後半のランやウォールボールに向けたエネルギー補給として使いやすくなります。
本番で使うウェアや補給は、必ず練習で試しておきましょう。
▶ トニーコーチおすすめ:SA1NT P1 Elite Compression Shortsを見る
関連記事:HYROXレース向けシューズ・ウェア・ギアの選び方
まとめ|スキーエルゴは序盤を落ち着かせる種目
HYROXのスキーエルゴは、最初のファンクショナル種目です。
ここで速く終わらせたい気持ちは自然です。
しかし、スキーエルゴはレース序盤にあります。
ここで飛ばしすぎると、次のスレッドプッシュ、スレッドプル、そしてその後のランに響きます。
大切なのは、腕だけで引かないこと。
体幹、背中、脚を使って、全身で効率よく引くこと。
呼吸を乱しすぎず、一定のリズムで進めること。
そして、終わった後に次のランへスムーズにつなげることです。
HYROXで結果を出すためには、一つ一つの種目を単体で考えるだけでは足りません。
スキーエルゴも、次のラン、次のスレッドまで含めて考えることで、レース全体が安定します。
最初の種目を落ち着いて進めることが、最後のウォールボールまで崩れないレースにつながります。
HYROX関連記事一覧
HYROXの入門記事、8種目攻略、トレーニング方法、大会戦略をまとめて読みたい方は、こちらのHYROX特集ページをご覧ください。
- これを読めばバッチリ。HYROX完全版Q&A:種目・カテゴリー・攻略・ギア選び
- HYROXとはどんなスポーツ?
- HYROXとCrossFitの違い8つ&どっちが痩せる?体型の変化を徹底比較
- HYROXのカテゴリー(シングル/ダブルス/リレー)の違いと選び方
- HYROXレース向けシューズ・ウェア・ギアの選び方
- HYROXタイプ別:これからやるべきトレーニング方法
- HYROX向けラントレーニング|CrossFit経験者が走力を上げる方法
- HYROXで結果を出せる人の特徴
- HYROXクラス満員御礼!トレーニングの課題と攻略法
- HYROX種目②スレッドプッシュ攻略法
- HYROX種目⑤ローイング攻略法
この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。
監修
板谷友弘(UFIT Tony Coach / CrossFit Uninterrupted Head Coach)

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Games Finalsの出場経験を持つ世界レベルの競技者です。
CrossFitはランニング、持久力、筋力、体操競技、ウェイトリフティングなど、あらゆる身体能力が求められる競技であり、その中で世界トップレベルに到達した日本人選手の一人です。
現在は、自身がオーナー兼ヘッドコーチを務めるCrossFit Uninterrupted(UFIT)を運営し、競技者から一般の方まで幅広く指導しています。また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして活動しています。HYROXはランニングの経験がない中も大阪大会で3位、日本人選手2位に輝きました。
選手として世界レベルを経験し、コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。
トニーコーチから一言:
「スキーエルゴはHYROXの最初のファンクショナル種目なので、ここで焦りすぎないことが大事です。得意な人ほど飛ばしたくなりますが、HYROXはまだそこから長いレースが続きます。腕だけで引かず、全身を使って、呼吸を乱しすぎず、次のランとスレッドに入れる状態で終える。そういう意識がレース全体を安定させると思います。」
トニーコーチの情報はこちらから↓
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