SA1NTコーチ【マイク】が教える|ランナーの習慣作り② ストレッチ嫌いのランナーへ

COACH MIKE — ランナーの習慣作り|②/04

ストレッチは本当に必要なのか。走る前に伸ばすべきなのか、走った後にやるべきなのか。ランナーの間でも意見が分かれやすいテーマですが、Coachマイクは、柔軟性と可動域を保つことは長く走り続けるために欠かせない習慣だと考えています。

ストレッチは「やるか、やらないか」だけで考えない

ランナーの中には、ストレッチが好きな人もいれば、できれば避けたいという人もいます。

実際には、後者の方が多いかもしれません。走る時間は確保するのに、走った後の数分のケアはつい後回しにしてしまう。トレーニングメニューにはこだわるのに、身体を整える時間は「今日はいいか」と省いてしまう。

Coachマイクも、ランナーから何度も同じ質問を受けてきました。

「ストレッチは本当に必要ですか?」

この質問に対して、Coachマイクの答えはシンプルです。必要です。ただし、それは昔ながらの「走る前に座ってじっくり伸ばす」という意味ではありません。

ストレッチは、やるかやらないかだけで考えると分かりにくくなります。大切なのは、いつ、何のために行うのかです。

走る前に必要なのは、身体を走れる状態へ近づけることです。つまり、筋肉を長く伸ばしてリラックスさせるより、実際のランニングに近い動きで関節を動かし、可動域を出し、神経系を目覚めさせることが重要になります。

一方で、走った後は役割が変わります。身体が温まっている状態で、使った筋肉をゆっくり整え、柔軟性を保つ時間になります。

つまり、ストレッチは一つの作業ではありません。

走る前の動的な準備と、走った後の静的なケア。この2つを分けて考えると、ランナーにとってかなり実践しやすくなります。

走る前は、身体を伸ばすより動かす

走る前に大切なのは、身体を「伸ばす」ことよりも「動かす」ことです。

昔は、運動前に座ってハムストリングを伸ばしたり、ふくらはぎをじっくり伸ばしたりするのが一般的でした。しかし、ランニング前の準備としては、止まったまま長く伸ばすより、実際に走る動きに近い形で身体を起こしていく方が自然です。

Coachマイクが好んで使うのは、ランジ、スキップ、ハイニー、バットキック、レッグスイングのような動的な動きです。

これらの動きは、ただ筋肉を伸ばすためではありません。股関節、膝、足首を走る時に近いリズムで動かし、必要な可動域を引き出すために行います。

特にランジは、Coachマイクがよく取り入れる動きです。股関節を大きく使い、脚だけでなく体幹の安定も必要になるため、走る前の準備として非常に使いやすいからです。

ここで大切なのは、強くやりすぎないことです。

ウォームアップや動的ストレッチは、トレーニング本番ではありません。身体に「これから走る」と知らせるための準備です。無理に深く沈み込んだり、勢いをつけすぎたりする必要はありません。

最初は小さく、徐々に動きを大きくする。呼吸を止めず、リラックスして行う。

そうすることで、身体は少しずつランニングの動きに入りやすくなります。

走った後のストレッチは、身体を整える時間になる

走った後は、走る前とは目的が変わります。

トレーニングやレースが終わった後の身体は、すでに温まっています。筋肉も関節も動きやすくなっているため、静的ストレッチを行うには良いタイミングです。

Coachマイクは、走った後に音楽を聴いたり、テレビを見たりしながら、リラックスしてストレッチをすることがあります。

これは、特別に難しいことをするというより、身体を落ち着かせる時間です。

走った直後は、心拍も呼吸もまだ高く、筋肉にも緊張が残っています。そこで数分でもゆっくり伸ばすことで、トレーニングの終わりを身体に知らせることができます。

ただし、痛みに耐えて無理に伸ばす必要はありません。

ストレッチは我慢大会ではありません。気持ちよく伸びている範囲で行い、反動をつけずに、呼吸をしながら続けることが大切です。

目安としては、1つの部位を20秒ほど、余裕があれば数セット行うくらいで十分です。毎回完璧に全身をやろうとすると続きません。

まずは、ふくらはぎ、ハムストリング、臀部、股関節まわりなど、自分が張りやすい場所から始めるだけでも良いです。

大切なのは、ゼロにしないことです。

柔軟性が落ちると、フォームにも怪我にも影響する

柔軟性の低下は、単に「身体が硬い」という問題ではありません。

ランニングでは、股関節、膝、足首が連動して動きます。どこか一つの動きが悪くなると、別の場所が代わりに頑張ることになります。

例えば、股関節の動きが小さくなると、脚が後ろへ流れにくくなり、ストライドも自然に小さくなります。その結果、以前よりも同じペースで走るのに力が必要になったり、腰や膝に余計な負担がかかったりします。

足首の可動域が少ない場合も同じです。着地や蹴り出しがスムーズに行えず、ふくらはぎやアキレス腱に負担が集まることがあります。

Coachマイクが重視しているのは、単に柔らかい身体を作ることではありません。

走るために必要な可動域を保ち、その範囲でしっかり身体をコントロールできることです。

この考え方は、特に年齢を重ねたランナーにとって重要です。

若い頃は、多少身体が硬くても勢いで走れるかもしれません。しかし、年齢を重ねると、柔軟性や可動域の小さな低下が、フォームの乱れや怪我につながりやすくなります。

だからこそ、ストレッチやモビリティは「余裕がある時にやるもの」ではなく、長く走るための習慣として考える必要があります。

ストレッチ嫌いのランナーほど、習慣化の工夫が必要

ストレッチが大切だと分かっていても、続かない人は多いです。

その理由は簡単で、走ることに比べると達成感が少ないからです。距離も出ませんし、ペースも出ません。頑張った感じも少ない。

だからこそ、ストレッチ嫌いのランナーほど、気合いではなく仕組みで続ける必要があります。

Coachマイクのやり方は、とても現実的です。

走った後に、音楽をかける。テレビを見る。リラックスしながら数分だけ伸ばす。

このくらいで良いのです。

最初から毎日30分やろうとすると、多くの人は続きません。むしろ、3分でも5分でもいいので、走った後に必ず少しだけ行う方が、長期的には大きな差になります。

また、毎回全身を完璧に伸ばす必要もありません。

今日はふくらはぎだけ。今日は股関節だけ。今日はハムストリングだけ。

それでも、何もしないよりはずっと良いです。

大事なのは、ストレッチを特別なイベントにしないことです。

歯を磨くように、走った後に少し身体を整える。そのくらい自然な習慣にできると、負担感はかなり減ります。

長く走るために、身体の可動域を守る

ストレッチは、速く走るためだけのものではありません。

もちろん、可動域が保たれればフォームは安定しやすくなりますし、効率良く走れる可能性も高くなります。

しかし、Coachマイクがより大切にしているのは、長く走り続けるための身体づくりです。

怪我を減らすこと。身体の違和感に早く気づくこと。年齢を重ねても、必要な動きを失わないこと。

これらは、すべて日々の小さなケアと関係しています。

Coachマイク自身も、過去に大きな怪我や手術を経験してきました。その経験があるからこそ、走ることだけでなく、身体を整えることの重要性を強く伝えています。

ランナーは、どうしても「走る練習」だけに意識が向きます。

でも、走れる身体を維持するためには、準備、回復、柔軟性、可動域もトレーニングの一部として考える必要があります。

ストレッチは派手ではありません。

すぐにタイムが縮まるようなものでもありません。

それでも、数ヶ月、数年と続けた時に、身体の使いやすさや怪我の少なさに差が出てきます。

Coachマイクの考え方をまとめるなら、こうです。

ストレッチは、面倒な作業ではなく、長く走るためのメンテナンスです。

完璧でなくて良いので、ゼロにしない。

その小さな習慣が、未来の走りを守ってくれます。

COACH MIKE’S NOTE

僕は昔、ストレッチを軽視していた時期もありました。でも年齢を重ね、怪我や手術を経験して、身体を整えることの大切さを強く感じています。

今は、走る前には動的な動き、走った後にはリラックスした静的ストレッチを取り入れています。完璧でなくて良いので、まずは数分から始めてみてください。

この記事を書いたコーチ

Mike Trees(7 x マスターズ世界チャンピオン)

Mike Trees

マイクは、長年コーチとして、またトレーナーとして、また選手として活躍してきました。

インスタグラム @run.nrg にて、難しいスポーツ科学を誰にでも分かりやすいように毎日配信しています。分かりやすい解説が好評で、フォロワー数は45万人以上。

アジアの暑い気候に適した、非常に機能的なコンプレッションウェアとランニングギアを作りたいという想いから、SA1NTと共同開発を行いました。

MIKE TREES から一言;
「私はアスリートとして、コーチとして、そしてスポーツ科学者として、常にスポーツに対するホリスティックなアプローチを取り入れてきました。
トレーニングからレース、リカバリー、そして体への燃料補給に至るまで、手を抜かずに取り組んできました。
卓越性を追求する中で、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、フィット感の高い機能的なスポーツウェアは必須です。
そうして完成した プロジェクトONEのコンプレッション。皆さんも試してください!」

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