SA1NTコーチ【マイク】が教える|テクノロジーはランナーを速くするのか?①
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COACH MIKE — スポーツテクノロジーと走る感覚の科学|①/05
スポーツテクノロジーはランナーをどう変えたのか。データ、シューズ、HR、リカバリー機器と「走る感覚」の関係を、Coach Mikeの視点から解説します。
現代のランニングは、10年前、20年前とは大きく変わりました。
GPSウォッチ、心拍計、HRV、厚底カーボンシューズ、リカバリーブーツ、睡眠トラッキング、パワーメーター。かつてはトップアスリートや研究機関の中だけで使われていたような情報やテクノロジーが、今では市民ランナーにも届く時代になっています。
これは非常に大きな進歩です。ランナーは、自分のペース、心拍、疲労、睡眠、回復状態、トレーニング負荷をより細かく確認できるようになりました。感覚だけに頼っていた時代と比べると、トレーニングを客観的に見直す材料が格段に増えています。
Coach Mikeは、こうしたスポーツテクノロジーを否定していません。むしろ、パフォーマンスを高めたいなら、最新のスポーツ科学やテクノロジーには常に目を向けるべきだと考えています。
ただし、同時に大切なことがあります。
テクノロジーはランナーを助けてくれる。
でも、最後に走るのはデータではなく、自分の身体です。
このシリーズでは、スポーツテクノロジーを最大限に活用しながらも、数字やギアだけにとらわれず、「走る感覚」を失わないための考え方を紹介していきます。
目次
テクノロジーは現代ランニングを変えた
現代のランナーは、以前では考えられないほど多くの情報を持って走っています。
たとえば、GPSウォッチを使えば、リアルタイムでペースを確認できます。心拍計を使えば、その日の運動強度を数値として見ることができます。厚底カーボンシューズは、レース時のランニングエコノミーを考える上で欠かせない存在になりました。
さらに、最近ではHRV、睡眠スコア、リカバリー時間、トレーニングレディネスなど、身体の状態を数値化するツールも増えています。
これらは、正しく使えば非常に有効です。オーバートレーニングを避ける手助けにもなり、練習の目的を明確にし、レースでのペース戦略にも役立ちます。
つまり、テクノロジーは「楽をするための道具」ではありません。より正確に、より効率的に、自分の身体を理解するための道具です。
トップ選手ほど科学を使っている
本当に強い選手ほど、感覚だけで走っているわけではありません。
エリートランナーやトップアスリートは、トレーニングの中で多くのデータを活用しています。
- ペース
- 心拍数
- 乳酸閾値に近い強度
- 睡眠
- 回復状態
- 走行距離
- シューズの使い分け
- レース当日の補給
これらを管理することで、ただ頑張るのではなく、「いつ、どの強度で、何を目的に走るか」をより正確に決めることができます。
Coach Mikeも、スポーツ科学やデータを活用することは、現代ランナーにとって大きな武器になると考えています。
特にパフォーマンスを高めたいランナーにとって、テクノロジーを避ける必要はありません。むしろ、使えるものは積極的に使うべきです。
市民ランナーにも広がったスポーツテクノロジー
かつては、細かいデータ管理はトップアスリートのものという印象がありました。しかし今では、市民ランナーでも多くの情報を簡単に確認できます。
Garmin、COROS、Polar、Apple Watchなどのウォッチを使えば、ランニング中のペースや心拍をリアルタイムで見ることができます。WHOOPやOuraのようなツールでは、睡眠や回復状態を見ることもできます。
シューズの世界でも、厚底カーボンシューズ、軽量レーシングシューズ、安定性を重視したトレーニングシューズなど、目的に応じた選択肢が増えました。
コンプレッションウェア、リカバリーサンダル、フォームローラー、レジスタンスバンドなども、日々のトレーニングやケアに取り入れやすくなっています。
つまり今は、トップアスリートだけでなく、一般ランナーもスポーツ科学を日常的に使える時代です。
データが教えてくれること
データの良いところは、自分の感覚だけでは気づきにくい変化を教えてくれることです。
たとえば、同じペースで走っているのに心拍がいつもより高い場合、疲労、暑さ、睡眠不足、体調不良などが関係しているかもしれません。
逆に、以前と同じ心拍でより速く走れるようになっていれば、有酸素能力が高まっている可能性があります。
また、レースでは、ペースだけでなく心拍やパワーを見ながら走ることで、序盤のオーバーペースを防ぎやすくなります。
特にマラソンやハーフマラソンでは、序盤に気持ちよく飛ばしすぎると、後半に大きく失速することがあります。データは、その危険を早めに知らせてくれることがあります。
この意味で、テクノロジーはランナーの「冷静なコーチ」のような役割を果たします。
ただし、数字だけで走ってはいけない
一方で、Coach Mikeが注意しているのは、数字だけに支配されることです。
たとえば、時計が示すペースが少し遅いからといって、毎回無理に上げる必要はありません。心拍が数拍高いからといって、必ずしも悪い練習とは限りません。
暑さ、湿度、睡眠、ストレス、前日の練習、仕事の疲れ。これらによって、同じペースでも身体への負担は変わります。
また、ウォッチのデータには誤差もあります。GPSの距離、手首式心拍、推定VO2 Max、リカバリー時間などは、あくまで参考値です。
数字は便利です。しかし、数字だけが真実ではありません。
もし時計の数字ばかり見て、呼吸、脚の重さ、フォーム、着地音、リズムを感じなくなっているなら、それはテクノロジーを使っているのではなく、テクノロジーに使われている状態かもしれません。
Coach Mikeが大切にする「走る感覚」
Coach Mikeが大切にしているのは、データと身体感覚の両方を見ることです。
ランニングでは、自分の身体から多くの情報が出ています。
- 呼吸は楽か
- 肩に力が入っていないか
- 脚が重くなっていないか
- 着地音が大きくなっていないか
- フォームが崩れていないか
- 今日のペースは自然に感じるか
これらは、ウォッチの画面だけでは分かりません。
特にイージーランでは、時計を見すぎるよりも、自分の呼吸やリズムに集中することが大切です。会話ができるか。鼻呼吸ができるか。走り終わった後に気持ちよく終われるか。
こうした感覚は、レース本番でも役に立ちます。
レースでは、天候、コース、集団、緊張などによって、予定通りにいかないことがあります。その時に最後に判断するのは、時計ではなく自分自身です。
テクノロジーを味方にする考え方
大切なのは、テクノロジーを否定することではありません。
むしろ、パフォーマンスを高めたいなら、最新のスポーツ科学やギアには常に目を向けるべきです。
厚底シューズはレースで大きな武器になる可能性があります。心拍計は練習強度を管理する上で非常に役立ちます。コンプレッションウェアは、フィット感や快適性を重視するランナーにとって有力な選択肢の一つです。バンドや補助ツールは、ウォームアップや身体づくりに役立ちます。
しかし、それらはすべて「道具」です。
道具を使うことで、自分の身体をよりよく理解できる。より良い練習ができる。より良い準備ができる。これが理想です。
逆に、道具に頼りすぎて、自分の身体の声を聞かなくなると、テクノロジーの価値は下がってしまいます。
Coach Mikeの考え方はシンプルです。
科学を使う。
テクノロジーを使う。
でも、身体感覚を失わない。
まとめ
スポーツテクノロジーは、現代ランナーにとって大きな武器です。
GPSウォッチ、HRモニター、厚底シューズ、コンプレッションウェア、リカバリーツール。これらは、ランナーがより効率的にトレーニングし、より良いパフォーマンスを目指すために役立ちます。
しかし、最終的に走るのはデータではなく、自分の身体です。
数字を確認すること。ギアを使うこと。科学を学ぶこと。それらはすべて重要です。
その上で、呼吸、フォーム、疲労感、接地、リズムといった「走る感覚」を磨き続けること。
これが、テクノロジー時代のランナーに必要なバランスです。
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この記事を書いたコーチ
Mike Trees(7 x マスターズ世界チャンピオン)
マイクは、長年コーチとして、またトレーナーとして、また選手として活躍してきました。
インスタグラム @run.nrg にて、難しいスポーツ科学を誰にでも分かりやすいように毎日配信しています。
SA1NTとともに、アジアの暑い環境でも快適に使える高機能コンプレッションウェア開発にも携わっています。
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