走り方の科学 — Vol.01 / 05|イージーラン・LSDの科学【なぜゆっくり走ることが最強のトレーニングなのか】
シェアする
イージーラン・LSDの科学
なぜゆっくり走ることが
最強のトレーニングなのか
「頑張っていない気がする」「もっと速く走らないと意味がない」——この思い込みがほとんどのランナーの成長を止めている。Coach Mikeが荒川河川敷の15kmランから解説する、イージーランとLSDの本質的な目的と正しい使い方。
イージーランは「手を抜く練習」ではない
Coach Mikeのお気に入りのコース、東京・荒川河川敷を15kmステディランで走るトミーの姿がある。ペースは会話ができるくらいゆっくり。心拍は低い。傍から見れば「流しているだけ」に映るかもしれない。
しかしこれは違う。これは有酸素基盤を構築するための、科学的に裏付けられた最も重要なトレーニングだ。ゆっくり走ることは妥協ではない——戦略だ。
「持久系スポーツで強い有酸素基盤を作るには、ステディマイルを着実に積み上げることが不可欠だ。」
— Coach Mike, run.nrg
イージーラン・LSDとは何か——目的を理解する
LSD(Long Slow Distance)とは、長い距離を低強度で走るトレーニングだ。「スロー」という言葉に抵抗を感じるランナーは多い。しかし「スロー」の目的は「怠ける」ことではなく、体の内部に特定の生理学的変化を引き起こすことだ。
体の中で何が起きているか——科学的根拠
心拍数を低く保ちながら長時間運動することで、体は次の変化を起こす。これがLSDが「最強のトレーニング」である理由だ。
-
①ミトコンドリアが増えるミトコンドリアは細胞内のエネルギー工場だ。低強度・長時間の有酸素運動がこの工場を増やし、同じペースでより少ないエネルギーを使える体になる。これが「有酸素能力の向上」の正体だ。
-
②脂肪をエネルギー源として使う能力が高まる速いペースで走ると体は炭水化物(グリコーゲン)を主に使う。低強度では脂肪を優先的に燃やすようになる。マラソンの後半で「壁」にぶつからないための体質改善がここで起きる。
-
③毛細血管が発達する筋肉への酸素・栄養の供給ネットワークが拡大する。これにより同じ心拍数でより多くの酸素を筋肉に届けられるようになる。長期的に「安静時心拍数が下がる」のはこのためだ。
-
④怪我のリスクが劇的に下がる低強度では筋肉・腱・関節へのダメージが最小化される。Coach Mikeは1980年代に膝を痛めて以来、オフロード走と低強度トレーニングを組み合わせることで45年以上世界水準で戦い続けている。
「正しいイージーペース」を確認する4つの方法
オフロードを走る——なぜ芝・土・砂浜なのか
Coach Mikeは自分のすべての選手に「できる限りオフロードで走れ」と指導する。コンクリートは避けろ。芝・土・砂・トレイル——なんでもいい、とにかくアスファルト以外を選べ。インターバルのお気に入りの場所はゴルフ場——芝は柔らかく、足元は完璧だ。早朝、ゴルファーが来る前に走る。
🌿 衝撃吸収:コンクリートに比べて関節・腱への衝撃が大幅に減る
🌿 小筋群の強化:不整地が足首・膝周辺の安定筋を自然に鍛える
🌿 精神的リフレッシュ:自然環境でのランは心理的ストレスを大幅に軽減する
🌿 速度への執着から解放:GPSペースが見えにくい環境で「感覚で走る」習慣がつく
ゴルフ場・河川敷・公園の芝・トレイル・砂浜——Coach Mikeが勧めるオフロードを積極的に探せ。
ネガティブスプリット:イージーランで磨くペース感覚
前半をやや抑えて、後半を徐々に上げるペース配分がネガティブスプリットだ。LSDでもテンポ走でもレースでも、この原則は変わらない。最初の1kmを抑えること。気持ちよく走れる。そして後半にかけて少しずつペースを上げていく。最後の1kmは「ほぼ全力」でも、序盤に乳酸を溜めていないから脚が動く。
「もし最初の1kmを3:20で入っていたら、20分切りはかなり苦しくなっていた。それほど序盤の突っ込みは後半に影響する。今日はいいネガティブスプリットができ、1kmごとにペースを上げていけた。最後の1kmはほぼ全力だったが、前半に余力を残していたから脚が動いた。」
— Coach Mike, run.nrg
「ゆっくり走ってもたまにはサクッとペースを上げる」——これがイージーランを台無しにする。ほんの数秒の無意識なペースアップが心拍を有酸素ゾーン外に連れ出し、その練習の有酸素的価値を損なう。データを見ながら走るよりも、感覚を信じて走れ。終わってからデータを確認すればいい。
SA1NT HYBRID RUN CLUB
荒川沿いのイージーランから、トレイル、インターバルまで——Coach Mikeの理論を実践するグループセッション。一人では「遅すぎる」と感じるペースも、仲間と走れば正しいペースになる。
クラブの詳細を見るまとめ:「遅く走る勇気」が速さを作る
イージーランとLSDは弱い人のためのトレーニングではない。世界中のトップランナーが練習の大部分をこの強度で行っている。ゆっくり走ることへの恐れを手放したとき、本当の意味での有酸素エンジンが育ち始める。
次回 Vol.02|テンポ走・ファルトレクの科学 では、この有酸素基盤の上に乗せる乳酸閾値トレーニングを解説する。
着圧や疲労軽減といった機能面は非常に優れているものの、1度の洗濯で縫い目の糸がほつれが生じるなど、耐久性には不安が残る。
ランニングの動きを邪魔せず、とても快適な着心地でした。シンプルな見た目で、普段着にも使えて重宝しています!
足首がしっかりホールドされている感覚があり、足裏のアーチも保持されている気がして走りやすい!