ショルダープレス(Shoulder Press)・プッシュプレス(Push Press)・プッシュジャーク(Push Jerk)の違い

脚の使い方とキャッチ位置で頭上動作を理解する

カテゴリー:プレス・ジャーク|Vol.16

執筆・編集:SA1NT JAPAN編集部

専門監修:板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

ショルダープレス(Shoulder Press)、プッシュプレス(Push Press)、プッシュジャーク(Push Jerk)は、いずれも肩の前にあるバーベルを頭上へ運ぶ動作です。

違いは、脚を使うか、バーの下へ入り直すかにあります。

3種目の違い:
ショルダープレスは脚を使わず上半身だけで押す。プッシュプレスは脚の力を使って押し切る。プッシュジャークは脚でバーを浮かせた後、もう一度しゃがんでバーの下へ入ります。

さらにスプリットジャーク(Split Jerk)では、バーの下へ入るときに足を前後へ開きます。より重い重量を安定して受けやすい一方で、足の位置と戻し方に技術が必要です。

目次


ショルダープレス・プッシュプレス・プッシュジャークの違い

種目 脚の使用 バーの下へ入る 特徴
ショルダープレス 使わない 入らない 上半身の純粋な押す力を鍛える
プッシュプレス 使う 入らない 脚の力をバーへ伝え、最後まで押し切る
プッシュジャーク 使う 入る バーを浮かせた後、膝を曲げて低い位置で受ける
スプリットジャーク 使う 足を前後に開いて入る 重い重量を前後の足で安定して受ける

一般的には、同じ人であればショルダープレスよりプッシュプレス、プッシュプレスよりジャークの方が重い重量を扱いやすくなります。


フロントラックと開始姿勢

3種目とも、肩の前でバーを支える位置から始めます。

  • 足幅は腰幅程度
  • バーは肩と上胸部で支える
  • 手は肩幅より少し広め
  • 肘はバーの少し前
  • 胸を起こす
  • 腹部と臀部を固める
  • バーは足の中央上に置く

手だけでバーを持ち続けると、ディップやドライブの力をバーへ伝えにくくなります。肩と体幹でバーを安定させます。


ショルダープレスのやり方

脚を使わず、肩と腕でバーを頭上へ押します。

  1. フロントラックで立つ
  2. 膝と股関節を伸ばしたまま固定する
  3. 顎を少し引いてバーの通り道を作る
  4. バーを顔の前から真上へ押す
  5. バーが額を越えたら頭を腕の間へ戻す
  6. 肘を伸ばし、バーを足の中央上で安定させる

主な目的

  • 肩と腕の押す力
  • 体幹を固めたまま力を伝える能力
  • 頭上でバーを安定させる力

プッシュプレスのやり方

膝と股関節を少し曲げるディップを使い、脚の力でバーを浮かせ、最後は腕で押し切ります。

  1. フロントラックを作る
  2. 上半身を垂直に保って浅くしゃがむ
  3. 床を強く押して膝と股関節を伸ばす
  4. 脚が伸びた後に腕で押す
  5. 頭を腕の間へ入れる
  6. 膝と股関節を伸ばした立位で終える

腕だけで早く押し始めると、脚の力がバーへ十分に伝わりません。脚でバーを浮かせてから押します。


プッシュジャークのやり方

ディップとドライブでバーを浮かせた後、膝をもう一度曲げてバーの下へ入り、低い位置で受けます。

  1. フロントラックを作る
  2. 垂直にディップする
  3. 床を押して伸び上がる
  4. バーが上がったら足をスクワット幅へ動かす
  5. 膝を曲げてバーの下へ入る
  6. 肘を伸ばして頭上で受ける
  7. バーを安定させてから立ち上がる

プッシュプレスとの最大の違いは、バーを押し切るだけでなく、自分がバーの下へ入ることです。


TONYコーチの完全教科書動画|プッシュプレス/プッシュジャーク

ここで、TONYコーチによるプッシュプレス/プッシュジャークの基本解説を見て、開始姿勢、ディップ、ドライブ、脚の力の伝え方、バーの下へ入る流れを確認します。

動画で確認したいポイント

  • クリーン後に足幅を腰幅へ戻す
  • バーを肩と身体で支える
  • ディップで上半身を前後へ倒さない
  • 膝をつま先と同じ方向へ動かす
  • ディップから止まらずに伸び上がる
  • プッシュジャークではバーの下へ素早く入る
  • 受けた後に安定して立ち上がる

ディップとドライブ

ディップ

上半身を垂直に保ったまま、膝と股関節を小さく曲げます。

  • かかとを床に保つ
  • 膝をつま先方向へ動かす
  • 胸を落とさない
  • お尻を後ろへ引きすぎない
  • バーを肩から離さない

ドライブ

ディップの底から床を強く押し、膝と股関節を素早く伸ばします。

TONYコーチの説明では、ディップの底で止まらず、自然に切り返して上へ伸びることが重要です。

ディップとドライブの要点
身体は上下に動かす。前へ倒れない。脚の力を使い切ってから、腕またはバーの下へ入る動作へつなげます。


頭上でバーを安定させる

  • 肘を完全に伸ばす
  • バーを足の中央上に置く
  • 肩を能動的に安定させる
  • 頭を腕の間へ入れる
  • 肋骨を開きすぎない
  • 腰を反りすぎない

バーが顔の前に残ると、肩や腰への負担が増えます。耳の横に腕が来る位置まで、頭を自然に前へ戻します。


よくある間違いと修正方法

間違い 起きていること 修正方法
ディップで前へ倒れる バーが前へ流れる 壁の近くで垂直なディップを練習する
お尻を後ろへ引く スクワットのようなディップになる 真下へ浅く沈む
腕を早く使う 脚の力がバーへ伝わらない 脚が伸びるまで腕を待たせる
かかとが早く浮く バランスと力の伝達が崩れる ディップ中は足裏全体を保つ
バーが前に残る 頭上で不安定になる バーが額を越えたら頭を腕の間へ入れる
プッシュジャークで立ったまま受ける バーの下へ入れていない 軽量でジャンプ・ランドの足運びを練習する
受ける前に足幅が広がりすぎる 立ち上がりにくい スクワット幅程度で受ける

スプリットジャークとは?

スプリットジャークは、ディップとドライブの後に足を前後へ開き、バーの下へ入るジャークです。

前後に広い支持面を作れるため、高重量を安定して受けやすい一方、足の位置、重心、膝の角度、戻し方に技術が必要です。

前に出す足を決める

左右どちらでも構いません。自然に前へ出しやすい足を選びます。軽く前へ倒れたときに無意識に出る足を目安にする方法もあります。

正しいスプリット姿勢

  • 前足は足裏全体で床を踏む
  • 前のすねはおおむね垂直
  • 後ろ足は母趾球で床を押す
  • 後ろ膝を少し曲げる
  • 左右の足幅は元の腰幅を保つ
  • 前後の足へ重心を分ける
  • 胴体とバーは中央で安定させる

足を一直線上に置くと左右へ不安定になります。元の腰幅を保ったまま、足を前後へ移動させます。


TONYコーチのスプリットジャーク完全教科書

スプリットジャークの足の決め方、前後の距離、後ろ膝、足幅、足の移動、戻し方を動画で確認します。

TONYコーチのスプリットジャーク要点

  • 自然に前へ出しやすい足を前足にする
  • 前足と後ろ足の両方で床を押せる距離を探す
  • 後ろ膝を伸ばし切らない
  • 前のすねをおおむね垂直にする
  • 腰幅を保ったまま足を前後へ動かす
  • 高くジャンプせず、足を地面すれすれに素早く滑らせる
  • 戻すときは前足を少し戻し、次に後ろ足を戻す
  • バーを安定させてから足をそろえる

足の戻し方

  1. 前足を半歩戻す
  2. 後ろ足を半歩前へ出す
  3. 必要に応じて交互に調整する
  4. バーが安定した状態で足をそろえる

後ろ足から大きく戻すと、身体が後方へ流れやすくなります。前足を最初に少し戻すことで、バーの下へ身体を戻しやすくなります。


どの種目を選ぶ?

目的・状況 向いている種目
上半身の押す力を鍛える ショルダープレス
脚から腕へ力を伝える プッシュプレス
中〜高重量を素早く頭上へ上げる プッシュジャーク
より高重量を安定して受ける スプリットジャーク
初心者が頭上動作を学ぶ ショルダープレス→プッシュプレス→プッシュジャークの順

重量と回数の考え方

  • 技術練習:3〜5回、軽い重量
  • 筋力:1〜5回、フォームを保てる重量
  • WOD:疲労下でも安全に反復できる重量
  • ジャーク練習:足運びとキャッチを崩さない重量

プッシュプレスやジャークで扱える重量が増えても、ショルダープレスの重量と同じ基準で比較する必要はありません。脚とキャッチを使うため、種目の目的が異なります。


安全上の注意

  • 頭上に十分な空間があることを確認する
  • 周囲に人や器具がないことを確認する
  • バンパープレートと適切な床を使う
  • 失敗時にバーを前後へ安全に離せるようにする
  • 肩、肘、手首、腰に鋭い痛みがある場合は中止する

ジャークは重量より足運びを優先してください。
バーの下へ入るタイミングや足の位置が不安定な状態で重量を増やすと、肩、腰、膝への負担が増えます。


よくある質問

プッシュプレスとプッシュジャークの違いは何ですか?

プッシュプレスは脚でバーを浮かせた後、立ったまま腕で押し切ります。プッシュジャークは、バーを浮かせた後にもう一度膝を曲げ、バーの下へ入ります。

ショルダープレスで膝を使ってよいですか?

使いません。膝と股関節を固定し、上半身だけで押します。

ジャークでかかと重心にするのですか?

TONYコーチの説明では、バーが身体へ密着するフロントラックで、足裏全体を保ちながら、かかと側へ安定させる意識を使っています。つま先だけへ重心を移さないことが重要です。

スプリットジャークで前に出す足は利き足ですか?

必ずしも利き足ではありません。自然に前へ出しやすく、安定する側を選びます。

スプリット姿勢で後ろ膝は伸ばしますか?

伸ばし切りません。軽く曲げ、後ろ足の母趾球で床を押します。

どの順番で練習すればよいですか?

ショルダープレス、プッシュプレス、プッシュジャーク、スプリットジャークの順に進むと、脚の使い方とキャッチを段階的に学べます。


まとめ|脚を使うか、バーの下へ入るかで区別する

  1. ショルダープレスは脚を使わない
  2. プッシュプレスは脚で浮かせて腕で押し切る
  3. プッシュジャークはバーの下へ入り直す
  4. スプリットジャークは足を前後へ開いて受ける
  5. ディップは上半身を垂直に保つ
  6. ドライブは床を強く押す
  7. 脚が伸びる前に腕を使いすぎない
  8. 頭上ではバーを足の中央上に保つ
  9. スプリットでは腰幅を保つ
  10. バーを安定させてから足を戻す

種目名だけを覚えるのではなく、脚の使用、バーの下へ入る動作、足のキャッチ位置を見れば、それぞれの違いを判断できます。

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参考動画・参考資料



この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。

専門監修

板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Gamesに出場。2021年にはCrossFit GamesのMen 35–39部門で世界15位。さらに2026年には、40歳以上の世界トップ選手が競うMasters CrossFit GamesのMen 40–44部門に出場し、世界29位を記録しました。2026年、日本人として世界最高峰の舞台に立ったのは彼1人のみです。

また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、本格的なランニング競技経験がない中、HYROX大阪大会では総合3位・日本人選手2位に輝きました。

CrossFit Gamesという世界最高峰の舞台を選手として経験し、現在も現役アスリートとして挑戦を続けながら、世界レベルの競技経験と、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

本記事では、フロントラック、ディップ、ドライブ、プッシュプレス、プッシュジャーク、スプリットジャーク、足運び、頭上での安定について専門監修を受けています。

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