クロスフィット用ウェイトリフティングベルトの選び方|必要な人・使う重量・種目

ベルトは体幹を作る道具ではない。自分で作った腹圧を外側から支える

カテゴリー:CrossFit Gear Guide|Vol.7

執筆・編集:SA1NT JAPAN編集部

専門監修:板谷友弘(CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ、2026日本人唯一クロスフィットゲームズ出場)

CrossFitで重量が上がってくると、使っている人が増えてくるのがウェイトリフティングベルトです。

Squat、Deadlift、Clean、Snatch。

大会での高重量種目などで使用する人をよく見かけます。

トップ選手がベルトを使っているのを見ると、初心者でも「自分も使った方がいいのでは?」と思うかもしれません。

でも、ベルトはいつから必要?

何kgから使う?

ベルトを使うと本当に重量が上がる?

お腹はどのくらい締める?

革製とナイロン製は何が違う?

WODではどちらが使いやすい?

といった疑問もあります。

ウェイトリフティングベルトは、体幹を「作ってくれる」道具ではありません。
まず自分で腹圧を作り、体幹を安定させる。その状態を外側から補助するのがベルトです。初心者ほど、ベルトに頼る前に正しい呼吸とブレーシングを身につけることが重要です。

この記事では、CrossFitでウェイトリフティングベルトを使う意味、何kgから使うのか、向いている種目、正しい締め方、革製とナイロン製の違いまで解説します。

目次


ウェイトリフティングベルトとは?

ウェイトリフティングベルトは、腰から腹部の周囲へ巻いて使用するトレーニング用ベルトです。

「腰を守るベルト」と思われがちですが、重要な役割はそれだけではありません。

ベルトを腹部の周囲へ巻くことで、自分のお腹をベルトへ押し返す感覚を作りやすくなります。

これによって体幹を固め、重い重量に対して姿勢を保つための補助として使用します。

ベルトの基本的な役割は、体幹を外側から補助し、体幹の固定を作りやすくすること。


CrossFit初心者にベルトは必要?

CrossFitを始めたばかりなら、必須ではありません。

まず身につけたいのは、

  • 正しい呼吸
  • 腹圧の作り方
  • 体幹の固定
  • Squatの姿勢
  • Deadliftの姿勢
  • CleanやSnatchの基本技術

です。

軽い重量から常にベルトを使っていると、自分で体幹を固める感覚を学ぶ機会が少なくなる可能性があります。

TONYコーチPOINT|ベルトは体幹を外側からサポートする
TONYコーチは、ベルトの一番大きな役割を「自分のお腹だけで体幹を固めることに加えて、外側から圧をかけることで、さらに体幹周りをしっかり固めるサポートをすること」と説明しています。

つまり、ベルトを締めれば自動的に正しい姿勢になるわけではありません。


ベルトは何をしてくれる?

重いバーベルを持ち上げるときには、体幹が大きな力に耐える必要があります。

そこで重要になるのが腹圧です。

研究では、ウェイトリフティングベルトを着用してリフティングを行うと、ベルトなしの場合より腹腔内圧が高くなることが報告されています。

つまりベルトは、腹部の周囲に押し返す「壁」を作ることで、より強く腹圧を作るための補助になります。

自分のお腹で内側から押す + ベルトが外側から支える。
この組み合わせで体幹を安定させます。


重要なのは腹圧とブレーシング(体幹の固定)

ベルトを使う前に理解しておきたいのが「ブレーシング」です。

簡単にいえば、重いものを持つ前に体幹全体を固めることです。

お腹の前側だけではなく、横、背中側まで含めて胴体全体を膨らませるように圧を作ります。

その状態でベルトを使うと、腹部がベルトを押し返します。

「ベルトを締める → 体幹が固まる」ではなく、
「自分で体幹を固める → ベルトへ押し返す」が基本。


ベルトをすると重量は上がる?

ベルトを使用することで、高重量のSquatなどのパフォーマンスが向上する可能性があります。

過去の研究では、ベルト着用時にSquat動作の速度が高くなったり、反復動作にかかる時間が短くなったりする結果が報告されています。

また、ベルトによって腹腔内圧が高くなることも確認されています。

ただし、ベルトを着ければ誰でも必ず数kg重量が上がるわけではありません。

効果は、

  • トレーニング経験
  • ベルトの使い方
  • 種目
  • 重量
  • ブレーシング技術

などによって変わります。

TONYコーチPOINT|高重量ではパフォーマンスを助ける
TONYコーチ自身も、ベルトなしで扱える重量に対して、ベルトを使うことでより重い重量を扱えることがあると説明しています。理由は、ベルトそのものが力を生み出すからではなく、外側からのサポートによって体幹をより強く固めやすくなり、バーベルの重さに負けにくくなるためです。

「ベルトをすれば自分の限界を超えられる」と単純に考えないこと。
ベルトは筋力そのものを増やす道具ではありません。自分が持っている力を高重量で発揮しやすくする補助として考えます。


何kgからベルトを使う?

これは非常によくある質問ですが、「100kgから」「体重の1.5倍から」といった共通の基準はありません。

同じ100kgでも、

1RMが120kgの人。

1RMが220kgの人。

では意味がまったく違います。

そのため絶対重量ではなく、自分にとってどの程度重いかで判断します。

一つの考え方として、

  • ウォームアップや軽い重量 → 基本的にベルトなし
  • 技術練習 → 基本的にベルトなし
  • 中程度の重量 → 必要に応じて
  • 高重量のSquat・Deadlift → 使用を検討
  • 1RMに近い重量 → ベルトを使う選手が多い

という使い分けができます。

「何kgになったら?」ではなく、「ベルトなしで正しく体幹を固める技術を身につけたうえで、高重量を扱う必要が出てきたか?」で考える。


どの種目で使う?

ベルトが使われやすいのは、重い重量に対して体幹を強く安定させる必要がある種目です。

種目 使用の目安 考え方
Back Squat 高重量でよく使用される
Front Squat 体幹を立てたまま高重量を支える
Deadlift 高重量で強いブレーシングが必要
Clean 高重量で使用する選手が多い
Clean & Jerk 高重量で体幹の安定を補助
Snatch 好みや重量によって使用
Thruster △〜○ 重い場合は有効だが高回数では呼吸との兼ね合いもある
軽い高回数WOD 着脱や呼吸を邪魔する場合もある

Deadlift・Squatで使う

ベルトを使う代表的な種目がSquatとDeadliftです。

どちらも高重量になるほど、Barbellの負荷に対して胴体の姿勢を保つ必要があります。

そのため、自分で強い腹圧を作ったうえでベルトを使用することで、体幹を安定させやすくなります。

TONYコーチPOINT|重くなるほど体幹の安定が重要
TONYコーチは、DeadliftやSquatのように重い重量を扱う種目では、体幹がしっかり安定していないと力を伝えにくくなるため、ベルトが有効な場面の一つだと説明しています。


Clean・Snatchで使う

オリンピックウェイトリフティング系のMovementでもベルトを使用する選手がいます。

特に高重量のCleanやClean & Jerkでは、床からバーベルを引き上げ、さらにスクワットになって下で受けるため、強い体幹の安定が求められます。

Snatchでもベルトを使用する選手はいますが、ベルトの厚さや位置によってはバーベルの軌道や身体の動きを邪魔する場合があります。

そのためウェイトリフティングでは、固定力だけではなく、薄さや動きやすさも重要です。


WODでベルトを使う場合

CrossFitでベルトを選ぶとき、パワーリフティングや純粋なウェイトリフティングとは違うポイントがあります。

CrossFitでは、

重い Clean → Burpee → Pull-up → 重い Clean

のように、まったく違う種目へ次々に移ることがあります。

その場合、ベルトを締めたままBurpeeやPull-upをすると邪魔になることがあります。

だからCrossFitでは、ベルトの固定力だけでなく「どれだけ素早く緩められるか」も重要です。

TONYコーチPOINT|CrossFitでは着脱の速さも性能の一つ
TONYコーチは、革製ベルトは固定力が高い一方、バックル式では着脱に時間がかかるものがあると説明しています。CrossFitではWOD中にベルトを締めたり外したりすることがあるため、ナイロン製の素早く調整できるタイプが使いやすい場面があります。

CrossFitでは「一番硬いベルト=一番良いベルト」ではない。
WODで使うなら、動きやすさと着脱速度まで考える。


ベルトの正しい使い方

基本的な流れは次のとおりです。

  1. ベルトを腹部周囲へセットする
  2. 大きく息を吸う
  3. 腹部を前だけでなく360度に広げるイメージで腹圧を作る
  4. 体幹を固める
  5. その状態をベルトで外側から支える
  6. ベルトへ腹部を押し返すようにブレーシングする
  7. その状態でリフトを行う

ベルトの位置は体型や種目によって多少変わります。

肋骨や骨盤へ強く当たって痛む位置ではなく、しっかり腹圧をかけられる位置を探します。

動画|TONYコーチがウェイトリフティングベルトを解説

動画では、ベルトの役割、腹圧の作り方、使う種目、初心者の使い方、革製とナイロン製の違いまでTONYコーチが解説しています。


お腹をへこませて締めるのは間違い?

TONYコーチが動画で特に注意しているのが、この使い方です。

お腹を思い切りへこませる。

その状態でベルトを限界まで締める。

これでは、強いブレーシングを作るための使い方になりません。

TONYコーチPOINT|お腹をへこませて締めるのではない
TONYコーチは、お腹を強くへこませた状態でベルトを締める人をよく見かけると話しています。しかし、それでは呼吸もしにくくなり、自分で腹圧を作れていません。まず自分で体幹へ力を入れ、腹圧を作る。その上からベルトを巻くのが基本です。

ベルトでお腹を締めつぶすのではなく、お腹でベルトを押す。


革製とナイロン製の違い

CrossFitで使われるベルトは、大きく分けると革製とナイロン製があります。

革製 ナイロン製
固定感 強いものが多い 比較的柔らかい
動きやすさ 低め 高め
着脱 バックル式では時間がかかる場合がある 素早く調整しやすい
高重量1回
CrossFit WOD △〜○
初心者 必要性を見て検討 比較的試しやすい

革製|高重量を狙う場合

革製ベルトは硬く、強い固定感を得やすいタイプです。

特に、

  • 1RM Back Squat
  • 1RM Deadlift
  • 高重量のStrength Training

など、一回のLiftに集中する場面で使いやすくなります。

一方で硬さや厚みがあるため、CrossFitのようにすぐ次のMovementへ移る場合には邪魔になることがあります。


ナイロン製|CrossFitのWODで使いやすい

ナイロン製は比較的柔らかく、面ファスナーなどで素早く締めたり緩めたりできるタイプが多くあります。

例えば、

Deadlift → Box Jump → Pull-up

のようなWODなら、Deadlift前に締め、次のMovementへ移るときにすぐ緩められます。

TONYコーチPOINT|初めてならナイロン製からでもいい
TONYコーチは、ベルトを使ったことがない初心者なら、価格も比較的抑えられ、着脱も簡単なナイロン製から試す方法を勧めています。その後、1RMなどでさらに強い固定感が欲しくなったら革製を検討するという考え方です。


大会でベルトは使える?

CrossFitの大会では、ウェイトリフティングベルトを使用できる種目があります。

実際に高重量のSquat、Deadlift、Cleanなどでベルトを使う競技者は多くいます。

ただし、すべての大会・すべての種目で同じルールとは限りません。

大会独自の器具規定が設定される可能性があるため、出場時には最新のルールを確認してください。

大会で使用する場合は、その大会・その年の最新ルールを確認してください。


ベルトに頼りすぎない

ベルトが高重量を助ける可能性があるからといって、すべてのトレーニングで使用する必要はありません。

CrossFit公式でも、ベルトなしで適切な体幹固定を身につける重要性が強調されています。

軽い重量やウォームアップではベルトなし。

高重量になったらベルトを追加。

という使い分けもできます。

ベルトを使えることと、ベルトがなくても体幹を固められること。
両方を身につける。

ベルトを「弱い体幹を隠す道具」にするのではなく、高重量を扱う際の補助Gearとして使います。


初心者はいつ買う?

CrossFitを始めた初日には必要ありません。

まず、

  • Squat
  • Deadlift
  • Clean
  • Snatch

の基本動作を覚えます。

そして、ベルトなしでも正しく腹圧を作れるようになることが先です。

その後、

  • SquatやDeadliftの重量が上がってきた
  • 高重量のCleanを行うようになった
  • 1RMに挑戦する
  • 大会へ出場する
  • 高重量WODで体幹のSupportが欲しい

ようになったら購入を検討できます。

初心者が最初に買うGearではない。
正しく持ち上げられるようになり、「より重いものを安全にコントロールするための補助」が必要になってから考える。


よくある質問

CrossFit初心者にウェイトリフティングベルトは必要ですか?

必須ではありません。まずベルトなしで正しい呼吸、腹圧、ブレーシング、SquatやDeadliftの基本技術を身につけることを優先します。

何kgからベルトを使えばいいですか?

「100kgから」などの共通基準はありません。絶対重量ではなく、自分にとってどの程度重いか、正しくブレーシングできるかで判断します。高重量や1RMに近いLiftで使用する選手が多くいます。

ベルトをすると重量は上がりますか?

高重量のSquatなどでパフォーマンスを助ける可能性があります。研究でも腹腔内圧の増加やSquat動作へのプラスの影響が報告されています。ただし、誰でも必ず重量が上がるわけではありません。

ベルトは腰を守るためのものですか?

単純な「腰の保護具」と考えるより、腹圧を高め、体幹を安定させるための補助Gearと考える方が適切です。ベルトを着用すれば怪我を防げると断定することはできません。

ベルトはどの種目で使いますか?

高重量のBack Squat、Front Squat、Deadlift、Clean、Clean & Jerkなどでよく使用されます。Snatchで使う選手もいます。

お腹をへこませてベルトを締めるのですか?

基本的には違います。まず息を吸って腹部全体へ圧を作り、体幹を固めます。その状態でベルトへ腹部を押し返すように使用します。

ベルトはきついほどいいですか?

いいえ。腹圧を作れないほど締める必要はありません。しっかりSupportされながら、自分のお腹をベルトへ押し返せる程度に調整します。

革製とナイロン製ならどちらがCrossFit向きですか?

WODで幅広く使うなら、素早く締めたり緩めたりできるナイロン製が使いやすいでしょう。1RMなど高重量を1回持ち上げる場面では、強い固定感を得やすい革製を好む選手もいます。

毎回ベルトを使ってもいいですか?

必ずしも毎回使う必要はありません。軽い重量や技術練習ではベルトなし、高重量ではベルトありという使い分けができます。ベルトなしでも正しくブレーシングできる能力を維持することが重要です。

CrossFitの大会でベルトは使えますか?

使用できる種目は多くありますが、大会や種目ごとに器具規定が異なる可能性があります。必ず最新の大会ルールを確認してください。


まとめ|まず自分で体幹を作る。その力をベルトで支える

  1. ウェイトリフティングベルトはCrossFit初心者の必須Gearではない
  2. ベルトは腹圧と体幹の安定を外側から補助する
  3. まずベルトなしでブレーシングを覚える
  4. ベルト着用で腹腔内圧が高くなることが研究で報告されている
  5. 高重量のパフォーマンスを助ける可能性がある
  6. 何kgからという共通基準はない
  7. Squat・Deadlift・Cleanなど高重量種目で使われる
  8. お腹をへこませて強く締めるのではない
  9. 自分で腹圧を作ってベルトへ押し返す
  10. 革製は高重量で強い固定感を得やすい
  11. ナイロン製は着脱が速くCrossFitのWODで使いやすい
  12. ベルトに頼りすぎず、ベルトなしでも体幹を安定させる能力を身につける

ベルトを締める。

それだけで強くなるわけではありません。

まず呼吸する。

腹圧を作る。

体幹を固める。

そして、その力をベルトへ押し返す。

ベルトはそのとき初めて役割を果たします。

CrossFitでウェイトリフティングベルトを使うなら、「ベルトに体幹を作ってもらう」のではなく、「自分で作った強い体幹をベルトで支える」。これが基本です。

CrossFit Gearを詳しく見る

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参考資料

※ ウェイトリフティングベルトは高重量トレーニングを補助するGearです。ベルトの着用だけで怪我を予防できるものではありません。また、大会での使用ルールは変更される場合があるため、出場時は最新のルールを確認してください。


本記事はSA1NT JAPAN編集部が企画・調査・執筆し、CrossFit Uninterruptedのオーナー兼ヘッドコーチである板谷友弘氏の専門監修を受けて作成しています。

専門監修

板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Gamesに2度出場しています。

2021年にはCrossFit Games Men 35–39部門で世界15位。2026年にはMasters CrossFit Games Men 40–44部門へ出場し、世界29位を記録しました。

2026年、日本人としてCrossFit Gamesへ出場したのは板谷氏ただ一人です。

世界トップレベルの大会を選手として経験する一方、CrossFit Uninterruptedのオーナー兼ヘッドコーチとして、初心者から競技者まで幅広く指導しています。

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

TONYコーチポイント:

ベルトの役割は、体幹を外側からサポートすることです。まず自分でお腹にしっかり力を入れて体幹を固めて、その上からベルトを使います。お腹をへこませて、そこをギュッと締めるだけではありません。CrossFitで使うならDeadliftやSquat、重いCleanなどで使いやすいです。ベルトには革製とナイロン製があります。1回の高重量を狙うなら固定感の強い革製もいいですが、CrossFitのWODではベルトを締めたり外したりすることがあるので、ナイロン製は使いやすいと思います。初めてベルトを使う人なら、まずナイロン製から試して、さらに高重量で固定感が欲しくなったら革製を検討するという方法でもいいと思います。

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