クロスフィット用グリップの選び方|鉄棒種目で手を守る正しい使い方

グリップは手を守るだけではない。バーにどうかけて、どう握るかまで理解する

カテゴリー:CrossFit Gear Guide|Vol.3

執筆・編集:SA1NT JAPAN編集部

専門監修:板谷友弘(CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ、2026日本人唯一クロスフィットゲームズ出場)

CrossFitでPull-upやToes to Barを始めると、グリップを使っている人が多いことに気づきます。

でも、

普通のトレーニング用グリップでもいい?

指あり・指なしはどっちがいい?

どう握れば疲れにくい?

グリップをつけているのに前腕がすぐ疲れる。

大会でも使える?

と疑問が出てきます。

CrossFit用グリップは、単に「手の皮を守る道具」ではありません。
鉄棒との接点を作り、バーを保持しやすくし、WOD中のGrip Fatigueを抑えるためにも使われます。

この記事では、CrossFit用グリップの役割、一般的なトレーニング用グリップとの違い、指あり・指なしの選び方、正しい握り方、WOD中の使い分け、大会ルールまで解説します。

目次


CrossFitでグリップを使う理由

CrossFitでグリップを使う主な理由は2つあります。

  1. 手のひらを保護する
  2. 鉄棒を保持しやすくする

Pull-up、Chest-to-Bar、Toes to Bar、Bar Muscle-upなどでは、手とバーの間に大きな摩擦が発生します。

特にKippingやButterflyでは、手の位置がわずかに動き続けるため、高レップになるほど手の皮に負担がかかります。

CrossFit公式も2026年のHand Care解説で、Gymnastics GripsやAthletic Tapeは、手とバーの間に直接バリアを作るため、高VolumeのWorkoutで特に有効だと説明しています。

グリップは「皮が破れてから使う」のではなく、Volumeが増える前から手を守るために使う。


一般的なグリップとCrossFit用グリップの違い

Amazonなどで売られている一般的なトレーニング用グリップと、CrossFit向けに作られた鉄棒用グリップでは、役割が少し違います。

一般的なトレーニング用グリップは、DeadliftやLat Pulldownなどで手のひらを保護する目的で作られているものがあります。

一方、CrossFitでは長時間バーへぶら下がり、KippingやButterflyのように身体を大きく動かします。

そのため、単に手のひらを覆うだけでなく、

  • バーとの摩擦
  • 滑りにくさ
  • 手首との固定
  • バーへのかかり方
  • 素早い着脱

まで考える必要があります。

TONYコーチPOINT|まずCrossFit専用か確認する
TONYコーチは、一般的なトレーニング用グリップとCrossFit向けグリップでは目的が異なると説明しています。一般的なグリップはバーベルを握る際の手の保護には使えても、Pull-upやToes to Barなど鉄棒Movementではバーとの保持力が十分でない場合があります。鉄棒にぶら下がった状態でバーを保持しやすい素材・構造かを見ることが重要です。


グリップを選ぶときの5つのポイント

CrossFit用グリップを選ぶときは、ブランド名だけではなく次の5つを確認します。

  1. バーとの相性・素材
  2. サイズ・手首のフィット
  3. 指なし・指あり
  4. バーにどうかけるか
  5. WOD中の切り替えやすさ

① バーとの相性・素材

グリップ素材は製品によってかなり違います。

柔らかいもの。

硬いもの。

ラバーのような滑り止め感が強いもの。

革に近いもの。

そして重要なのが、BoxのPull-up Barとの相性です。

同じグリップでも、バーの塗装や表面加工によって滑りやすさが変わります。

TONYコーチPOINT|グリップ力は素材で変わる
TONYコーチは、自身が使用してきたCrossFit専用グリップについて、バーに接する部分の特殊素材による保持力を高く評価しています。グリップの性能は「厚いか薄いか」だけではなく、実際に使う鉄棒との摩擦がどうなるかを見ることが重要です。

可能なら所属Boxで使っている人のグリップを見たり、サンプルを試したりしてから選ぶと失敗を減らせます。


② サイズ・手首のフィット

グリップは大きすぎても小さすぎても使いにくくなります。

確認したいのは、

  • 手首のストラップがずれすぎない
  • 手のひらを十分に覆える
  • バーへかけるための長さがある
  • 指の動きを邪魔しすぎない

ことです。

メーカーによってサイズ測定方法が異なるため、手の長さだけでなく、そのメーカーのSize Chartを確認します。

グリップは「手袋のようにぴったり」が正解とは限りません。
バーへ折り返して使うタイプでは、ある程度の余裕が必要な場合があります。製品ごとの推奨Fitを確認してください。


③ 指なしタイプ

Fingerlessタイプは、指穴へ指を通さずに使用します。

メリットは、WOD中に素早く切り替えやすいことです。

例えば、

Toes to Bar → Barbell

Pull-up → Dumbbell

Bar Muscle-up → Burpee

のようなWODでは、鉄棒が終わったらグリップ部分を手のひらから外し、そのまま次のMovementへ移れます。

TONYコーチPOINT|Mixed WODなら指なしが使いやすい
TONYコーチは、鉄棒とバーベルなどが組み合わさるWODでは、指なしタイプの方が切り替えやすいと説明しています。グリップ部分だけ手のひらから外せば、すぐに素手に近い状態でBarbellを握れるためです。

CrossFitではTransition Timeもスコアに影響するため、この「外しやすさ」は意外と重要です。


④ 指ありタイプ

指穴のあるタイプは、2本または3本の指を通して使います。

手とグリップが一体化しやすく、Gymnastics中心のTrainingでは安定感を好む人もいます。

TONYコーチは、指穴タイプを使う場合、グリップに少したるみを作り、その部分をバーへかけるように握る方法を紹介しています。

ただし、鉄棒からバーベルへ頻繁に切り替えるWODでは、毎回指を抜く必要があり、Transitionに時間がかかる場合があります。

指なし 指あり
着脱 速い やや時間がかかる
Mixed WOD 使いやすい 切り替えに手間がかかる場合あり
Gymnastics中心
Fit感 自由度が高い 固定感を好む人も多い

どちらが絶対に良いというものではなく、好みとWOD内容で選びます。


⑤ 正しいバーの握り方

良いグリップを買っても、握り方が悪ければ十分に活かせません。

CrossFit公式はPull-upにおけるActive Gripについて、手をただバーにかけるのではなく、ナックルがバーの上へ来るような位置を目安にし、バーをしっかり握ることを説明しています。

指だけでバーへぶら下がると、指や前腕へ負担が集中しやすくなります。

特に高レップでは、握力が先に限界になってしまいます。


TONYコーチPOINT|指だけで握らない

TONYコーチPOINT|グリップ自体をバーへかける
TONYコーチは、グリップを装着していても指先中心でバーを握ってしまうと、指や前腕への負担が大きくなりやすいと説明しています。手首を少し巻き込むようにして、手のひらの中央付近とグリップ自体をバーへしっかりかけることで、バーへぶら下がる際の保持を助けることができます。

つまり、グリップは単なる「手のひらを覆う布」ではありません。

グリップとバーの摩擦を利用し、自分の指だけにGrip Loadを集中させないように使います。

良いグリップを買うことより、正しくバーへかけることの方が重要。


WODでは切り替えやすさも重要

CrossFitでは、一つのMovementだけを続けるとは限りません。

例えば、

10 Toes to Bar

10 Deadlift

10 Burpee

のようなWODなら、鉄棒を終えた瞬間から次のMovementが始まります。

ここでグリップを外すのに10秒かかれば、それもそのままスコアに影響します。

TONYコーチPOINT|グリップ選びもTransition Strategy
TONYコーチは、指あり・指なしを選ぶとき、単純な保持力だけでなく、次のMovementへどれだけ素早く切り替えられるかも考えています。CrossFitではGearの性能だけでなく、WOD全体の流れの中で使いやすいかを見ることが重要です。

▶ WODのトランジションを速くする|道具配置と動線の作り方


鉄棒以外でも使える?

グリップは主にGymnastics Barで使われますが、Trainingでは他のMovementで使用する人もいます。

TONYコーチは例として、

  • Row Erg
  • Deadlift
  • その他Grip Fatigueが強いTraining

で使う方法も挙げています。

ただし、ここは「使えば必ず良い」という話ではありません。

Grip Strength自体を鍛えたいTrainingで常にグリップへ頼れば、握力に入る刺激が変わります。

目的で使い分ける。
「Gripを鍛える日」なのか、「脚や背中を追い込みたいのにGripだけが先に終わる日」なのかで、補助Gearを使う意味は変わります。

▶ Grip Fatigueを防ぐ方法|WODで握力を残す戦略


大会ではルールを確認する

普段のTrainingで使えるGearが、そのままCompetitionでも使えるとは限りません。

CrossFit GamesではWorkoutごとにEquipment Rulesが設定されます。

過去のOpenやQualifierでは、Gymnastics-style GripsやGlovesなどのHand Protectionを使用できる一方、Pull-up BarへTapeを巻き、さらにHand Protectionを同時使用することは禁止された例があります。

TONYコーチPOINT|普段使える=大会でも使える、ではない
TONYコーチも、Deadliftなどでグリップを使う場合、Competitionによって補助Gearが禁止されていることがあるため、Ruleを確認するよう説明しています。大会では必ず、そのEventのEquipment RulesとMovement Standardsを確認してください。

▶ Movement Standardsとは?No Repを減らす確認ポイント


手の皮を守るにはグリップだけでは足りない

グリップを使っていても、手の皮が絶対に破れなくなるわけではありません。

CrossFit公式はHand Tear予防として、

  • Callusを厚くしすぎない
  • 乾燥を防ぐ
  • Chalkを使いすぎない
  • 適切なGrip Techniqueを使う
  • 急に高Volumeへ増やさない
  • 必要に応じてGymnastics Gripを使う

ことを挙げています。

Callusが大きく盛り上がると、その部分がバーに引っかかって皮がめくれやすくなることがあります。

「グリップを買ったから手のケアは不要」ではない。
Grip、Technique、Callus Care、Volume Managementをセットで考えます。


初心者はいつからグリップを買う?

CrossFit初日から必須ではありません。

例えば、

  • Ring Row
  • Low Rep Strict Pull-up
  • Band-assisted Pull-up

が中心なら、まずMovementを覚えることが優先です。

一方で、

  • Kipping Pull-upを練習し始めた
  • Toes to Barのレップ数が増えた
  • Chest-to-Barを行う
  • Bar Muscle-upを練習する
  • WODで高レップの鉄棒種目が出る

ようになったら、グリップを検討するタイミングです。

CrossFit公式も、Toes to BarではGrip Strengthが重要な能力の一つだと説明しています。

目安は「CrossFitを始めた日」ではなく、「鉄棒のVolumeが増えた日」。


動画|TONYコーチが解説するCrossFit専用グリップの選び方と正しい使い方

動画では、CrossFit専用グリップと一般的なトレーニング用グリップの違い、バーへの正しいかけ方、指あり・指なしタイプの使い分け、さらにローイングやデッドリフトなど鉄棒以外での活用についてTONYコーチが解説しています。

動画について:
動画内の商品名、価格、耐久性、製品仕様などは制作時点の情報です。現在の製品ラインナップや大会ルールとは異なる場合があります。購入時はメーカーの最新仕様、大会出場時は最新Rulebookを確認してください。


よくある質問

CrossFit初心者にグリップは必要ですか?

最初から必須ではありません。Kipping Pull-up、Toes to Bar、Chest-to-Barなど鉄棒種目のVolumeが増えてきたら、手の保護とバー保持のために検討するとよいでしょう。

普通の筋トレ用グリップでもいいですか?

用途によります。Deadliftなどの手の保護には使えても、Kipping Movementを繰り返すCrossFitの鉄棒では、CrossFit向けに設計されたグリップの方がバーとの保持や着脱を考えた構造になっている場合があります。

指ありと指なしはどちらがおすすめですか?

どちらが絶対に良いわけではありません。Gymnastics中心ならどちらも使えますが、鉄棒とBarbellを頻繁に行き来するMixed WODでは、指なしタイプの方が素早く切り替えやすい場合があります。

グリップをつけても握力がすぐ疲れます。

指先だけでバーを握っていないか確認してください。グリップをバーへしっかりかけ、手全体で保持できるPositionを作ります。もちろんGrip Strength自体やセット分割も重要です。

グリップを使えば手の皮は破れませんか?

完全には防げません。CrossFit公式も、グリップに加えてCallus Care、Chalkの適量使用、適切なGrip Technique、Training Volumeの段階的増加を推奨しています。

Chalkはグリップの上にも使えますか?

製品素材やバーとの相性によります。Chalkが必要なグリップもあれば、メーカーがChalkなしを推奨する素材もあります。製品の使用説明を確認してください。

グリップはローイングでも使えますか?

Trainingでは使用する人もいます。ただしGrip Strengthを鍛える目的なのか、Grip Fatigueを抑えて別の筋群をTrainingしたいのかによって使い分けます。

大会でもグリップは使えますか?

Eventごとに異なります。CrossFit GamesではHand Protectionが許可されるWorkoutもありますが、Tapeとの併用など細かなルールが設定される場合があります。必ず最新のRulebookとWorkout Standardsを確認してください。

グリップは何年くらい使えますか?

Training頻度、体重、Movement、バーの表面、素材によって大きく変わるため、一律には言えません。表面が剥がれる、縫製が傷む、手首ストラップが弱くなるなどの劣化があれば交換を検討してください。


まとめ|グリップは「何を買うか」だけでなく「どう使うか」

  1. CrossFit用グリップは手の保護とバー保持のために使う
  2. 一般的な筋トレ用グリップとは目的が異なる場合がある
  3. 実際に使うPull-up Barとの相性を見る
  4. サイズと手首のFitを確認する
  5. 指なしはMixed WODで切り替えやすい
  6. 指ありは固定感を好む人に向く
  7. 指先だけでバーを握らない
  8. グリップ自体をバーへかけて使う
  9. Transitionまで含めてGearを選ぶ
  10. 鉄棒以外で使う場合もTraining目的を考える
  11. Competitionでは最新ルールを確認する
  12. 手のケアとVolume管理も必要

CrossFitのグリップは、一見すると単純なGearです。

でも実際には、

どの素材を選ぶか。

指ありか指なしか。

バーへどうかけるか。

次のMovementへどう切り替えるか。

大会で使用できるか。

まで考える必要があります。

一番高いグリップを買うことより、自分の手・バー・Movement・WODに合うグリップを正しく使うことが重要です。

CrossFit Gearを詳しく見る

▶ クロスフィット完全ガイドを見る

参考資料

※ グリップの素材、サイズ、Chalk使用可否、推奨する握り方は製品によって異なります。Competitionでの使用可否もEventごとに変わるため、メーカーの最新説明と大会Rulebookを確認してください。


本記事はSA1NT JAPAN編集部が企画・調査・執筆し、CrossFit Uninterruptedのオーナー兼ヘッドコーチである板谷友弘氏の専門監修を受けて作成しています。

専門監修

板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Gamesに2度出場しています。

2021年にはCrossFit Games Men 35–39部門で世界15位。2026年にはMasters CrossFit Games Men 40–44部門へ出場し、世界29位を記録しました。

2026年、日本人としてCrossFit Gamesへ出場したのは板谷氏ただ一人です。

世界トップレベルのCompetitionを選手として経験する一方、CrossFit Uninterruptedのオーナー兼ヘッドコーチとして、初心者から競技者まで幅広く指導しています。

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

TONYコーチポイント:

グリップはCrossFitを続けて鉄棒のVolumeが増えてきたら、かなり使うGearになります。ただ手のひらを守るだけではなく、バーにどうかけるかが大切です。指だけで握ると前腕や指が早く疲れるので、手首を少し巻き込むようにして、グリップ自体をバーにしっかりかけて使います。指ありか指なしかは好みもありますが、鉄棒とBarbellを交互にやるWODなら、僕は切り替えやすい指なしタイプを使うことがあります。普段のTrainingではRowやDeadliftで使うこともできますが、大会では使えるGearが決められていることがあるので、Ruleは必ず確認してください。

トニーコーチの情報はこちらから↓
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