フロントスクワット(Front Squat)のやり方|ラックポジションと姿勢を改善

高い肘と安定した体幹で、バーベルを肩の上に保ったまましゃがむ

カテゴリー:スクワット|Vol.12

執筆・編集:SA1NT JAPAN編集部

専門監修:板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

フロントスクワット(Front Squat)は、バーベルを身体の前側で支えて行うスクワットです。

クロスフィット(CrossFit)では、9つの基礎動作の一つに含まれ、クリーンのキャッチ、スラスター、ウォールボールなどにもつながります。

バーベルを背中に担ぐバックスクワットと比べ、上半身を起こし、高い肘と安定した体幹を保つ必要があります。肘や胸が落ちると、バーが前へ転がりやすくなります。

先に結論:
フロントスクワットでは、バーを手で持ち上げ続けるのではなく、肩と上胸部の上に乗せます。肘を前方へ高く保ち、足裏全体で床を踏み、エアスクワットと同じ基本動作でしゃがみます。

この記事では、フロントラック、手幅、肘、手首、胸、深さ、立ち上がり、よくある失敗、初心者向けの練習方法を解説します。


目次


フロントスクワットとは?

フロントスクワットは、バーベルを肩の前側に乗せた状態で行うスクワットです。

CrossFit公式では、エアスクワットの基本動作に、前側で支えるバーベルを追加した動作として説明されています。

新しく加わる主な要素は、フロントラック(Front Rack)です。

フロントラックとは

  • バーを肩と上胸部の上に乗せる
  • 肘を前へ向けて高く保つ
  • 上腕を床とできるだけ平行に近づける
  • 指でバーを軽く支える
  • 胸と体幹を保つ

バーを手首と腕だけで持ち続けないことが重要です。


TONYコーチのフロントスクワット実践映像

次の動画では、TONYコーチが実際にフロントスクワットを行っている様子を確認できます。

この動画はフォームの参考映像として掲載しています。動画内の発言を根拠にしたコメントや助言は付けていません。

映像で確認したいポイント

  • バーが肩の前側に乗っているか
  • 肘が前方へ高く向いているか
  • 胸が大きく落ちていないか
  • 膝がつま先方向へ動いているか
  • 胸と股関節が一緒に立ち上がっているか

フロントラックの作り方

  1. ラックに置いたバーの下へ入る
  2. バーを鎖骨そのものではなく、肩と上胸部の筋肉の上へ乗せる
  3. 手を肩幅より少し外側へ置く
  4. 指をバーへかける
  5. 肘を前方へ上げる
  6. 胸を保ったままラックから外す

バーはどこに乗る?

バーは、肩の前側と上胸部の上に乗ります。首を強く圧迫したり、手首だけで支えたりしないようにします。

バーを握れなくてもよい?

フロントスクワットでは、すべての指で強く握れなくても構いません。指先をバーにかけ、肩の上で支える方法が一般的です。

ただし、クリーンとのつながりを重視する場合は、握り方を段階的に練習します。


手幅と握り方

一般的な開始位置は、手を肩幅より少し外側に置く方法です。

狭すぎると手首や肩へ負担がかかり、高い肘を作りにくくなります。広すぎるとバーを安定させにくくなります。

握りは軽く

バーを強く握り込むと、手首が反り、肘が下がりやすくなる場合があります。

バーは肩の上で支え、手は位置を安定させる役割と考えます。

手首が痛い場合:
無理に全指で握らず、手幅、肘、肩、胸椎の動きを確認します。ストラップを使った練習やクロスアームもありますが、クリーンへつなげる場合は通常のフロントラックを段階的に練習します。


肘を高く保つ理由

肘が高いと、上腕が床と平行に近づき、バーが肩の上に安定します。

肘が下がると、胸も前へ倒れやすくなり、バーが肩から転がります。

肘が下がる主な原因

  • 胸と体幹が崩れている
  • 手首や肩の動きが足りない
  • 重量が重すぎる
  • ボトムで力が抜けている
  • 立ち上がりでお尻だけ先に上がる

CrossFit公式も、肘を高く保ち、胸を上げた姿勢でバーが前へ転がらないようにすることを主要ポイントとして示しています。


フロントスクワットの正しい動作手順

  1. バーをフロントラックで肩の上に乗せる
  2. 足をスクワット幅に開く
  3. 足裏全体で床を踏む
  4. 肘を前へ高く保つ
  5. 腹部へ力を入れる
  6. 股関節と膝を曲げて下へしゃがむ
  7. 膝をつま先と同じ方向へ動かす
  8. 胸と肘を保ったままボトムへ入る
  9. 足で床を押し、胸と股関節を一緒に上げる
  10. 膝と股関節を伸ばして立つ

基本的な足裏、膝、股関節、深さはエアスクワットと同じです。バーが前側へ加わるため、胸と肘を保つ要求が増えます。

関連記事:エアスクワットの正しいやり方


胸と体幹の位置

フロントスクワットでは、できるだけ上半身を起こした姿勢を保ちます。

完全に垂直である必要はありませんが、胸が大きく前へ倒れると、バーも前へ移動します。

意識する順序

  • 腹部を固める
  • 肘を高くする
  • 胸を保つ
  • 股関節を真下へ近い方向へ下ろす

腰を反りすぎない

「胸を上げる」を腰を強く反らす動きに変えないようにします。肋骨と骨盤を保ち、体幹全体でバーを支えます。


深さの基準

基本的なスクワット基準は、股関節の折れ目が膝の上端より下へ入ることです。

ただし、次の状態を保ったまま深さを作ります。

  • 足裏が床についている
  • 膝とつま先の方向がそろっている
  • 胸と肘が大きく落ちない
  • バーが肩の上に残っている
  • 腰が大きく丸まらない

深さを優先してバーが前へ落ちる場合は、重量を下げ、可動域とフロントラックを練習します。


立ち上がり方

ボトムからは、足裏全体で床を押します。

お尻だけ先に上げると、上半身が前へ倒れ、肘とバーが下がります。

立ち上がりのポイント

  • 肘を高く保つ
  • 胸と股関節を同時に上げる
  • 膝をつま先方向へ保つ
  • 足裏全体で床を押す
  • 立位で膝と股関節を伸ばす

ボトムで反動を使ってよい?

筋肉の張りを保った自然な切り返しは使えますが、下で完全に潰れ、腰や胸を崩して跳ね返る動きは避けます。


よくある間違いと修正方法

間違い 起きていること 修正方法
肘が下がる バーが前へ転がる 重量を下げ、胸と肘を高く保つ
手首が強く痛む 手でバーを支えすぎている 肩へ乗せ、握りを緩め、手幅を調整する
胸が落ちる 体幹が崩れ、バーが前へ移動する 腹部を固め、肘を高くし、重量を下げる
お尻だけ先に上がる スクワットがグッドモーニング状になる 胸と股関節を同時に上げる
かかとが浮く 重心が前へ流れている 足裏全体を保ち、足首と重量を見直す
膝が内側へ入る 足裏と膝の方向が崩れている 膝をつま先方向へ保つ
バーを手で持つ 肩へ乗らず、腕が疲れる 軽いバーでフロントラックを練習する

手首・肩・足首が硬い場合

手首が硬い

手首だけを伸ばそうとせず、手幅を広げる、握りを軽くする、指の本数を減らすなどで調整します。

肩や広背筋が硬い

肩を前へ出し、肘を上げる練習を行います。ラックに置いたバーを使い、軽い負荷で姿勢を確認します。

胸椎が硬い

上背部が丸まると、肘と胸が落ちやすくなります。ローラーや軽い伸展ドリルを使い、上背部を動かします。

足首が硬い

かかとが浮き、胸が前へ倒れる場合があります。足首の動きを練習し、必要に応じてウェイトリフティングシューズや薄いプレートを使います。

可動域の制限と痛みは別です。
伸びにくさではなく、鋭い痛み、しびれ、関節の腫れがある場合は、無理に姿勢を作らず評価を受けてください。


初心者向けの練習方法

PVCフロントスクワット

PVCパイプを肩へ乗せ、肘、胸、深さを練習します。

軽いバーベル

空のバーまたは軽いトレーニングバーで、フロントラックと立ち上がりを確認します。

ポーズフロントスクワット

ボトムで1〜3秒停止し、胸と肘を保ったまま立ちます。

テンポフロントスクワット

3秒かけて下り、姿勢が崩れる位置を確認します。

フロントラックホールド

ラックからバーを外し、立ったまま10〜20秒支えます。バーを肩で支える感覚を覚えます。

初心者向け練習例

  • PVCフロントスクワット 5回×3セット
  • フロントラックホールド 15秒×3セット
  • 軽いフロントスクワット 5回×3セット

重量より、バーの位置、肘、胸、深さを優先します。


WODで使うときの注意

フロントスクワットは、単独のストレングスだけでなく、クリーン、スラスター、複合WODの中でも使われます。

高回数では肘が下がりやすい

脚より先に上背部と体幹が疲れ、バーが前へ移動することがあります。

クリーンの後に行う場合

毎レップ床からクリーンするのか、ラックから開始するのかで負荷が大きく変わります。

WODの重量は反復できる設定にする

最初の数回だけでなく、全体を通して肘と胸を保てる重量を選びます。

落とす場所を確認する

失敗した場合にバーを前へ安全に落とせるスペースを確保します。

関連記事:WODのバーベル重量の選び方


バックスクワットとフロントスクワットの違い

どちらもスクワットですが、バーベルを置く位置が違うため、姿勢、扱いやすい重量、崩れやすいポイントが変わります。

項目 フロントスクワット バックスクワット
バーの位置 肩と上胸部の前側 背中の上部
上半身 比較的起こした姿勢 フロントスクワットより前傾しやすい
特に必要な要素 フロントラック、高い肘、胸と体幹 背中でのバー支持、股関節と脚の力
扱いやすい重量 一般的に軽くなる 一般的により高重量を扱いやすい
崩れやすい場所 肘と胸が落ち、バーが前へ転がる 上半身が倒れ、お尻だけ先に上がる
関連動作 クリーン、スラスター 高重量スクワット、筋力向上

どちらを優先すればよい?

クリーンやスラスターを上達させたい場合は、フロントスクワットのフロントラックと姿勢が重要です。脚と股関節でより高い力を発揮したい場合は、バックスクワットが使われます。

どちらか一方だけが優れているわけではなく、クロスフィットでは目的に応じて両方を使います。


よくある質問

Q.バーは鎖骨に乗せますか?

A. 鎖骨だけへ押しつけるのではなく、肩と上胸部で支えます。最初は圧迫感がありますが、鋭い痛みがある場合は位置を調整してください。

Q.手首が硬くてもできますか?

A. 手幅、指のかけ方、バーの位置を調整できます。痛みを我慢して全指で握る必要はありません。

Q.クロスアームでもよいですか?

A. フロントスクワットだけを行う場合は一つの方法です。ただし、クリーンやスラスターへつなげるなら通常のフロントラックを練習する価値があります。

Q.フロントスクワットとバックスクワットはどちらが重くできますか?

A. 一般的にはバックスクワットの方が高重量を扱いやすいですが、個人差があります。フロントスクワットは姿勢とフロントラックが制限になることがあります。

Q.肘はどのくらい高くすればよいですか?

A. 上腕が床と平行に近づく位置を目指します。手首の痛みや胸の崩れが出る場合は、重量と可動域を調整します。

Q.スクワット中にバーが前へ落ちます

A. 肘、胸、体幹、重量を確認します。お尻だけ先に上がっていないかも確認してください。


まとめ|バーは手ではなく、肩で支える

フロントスクワットの基本は次のとおりです。

  1. バーを肩と上胸部に乗せる
  2. 指を軽くかける
  3. 肘を前へ高く保つ
  4. 足裏全体で床を踏む
  5. 膝をつま先方向へ動かす
  6. 胸と体幹を保つ
  7. 股関節の折れ目を膝の上端より下へ入れる
  8. 胸と股関節を一緒に上げる

手首や腕でバーを持ち続けるのではなく、肩の上で支えることが最初のポイントです。

軽い重量でフロントラックとスクワットを安定させてから、重量、回数、WODへ進みます。


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参考資料



この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。

専門監修

板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Gamesに出場。2021年にはCrossFit GamesのMen 35–39部門で世界15位。さらに2026年には、40歳以上の世界トップ選手が競うMasters CrossFit GamesのMen 40–44部門に出場し、世界29位を記録しました。2026年、日本人として世界最高峰の舞台に立ったのは彼1人のみです。

また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、本格的なランニング競技経験がない中、HYROX大阪大会では総合3位・日本人選手2位に輝きました。

CrossFit Gamesという世界最高峰の舞台を選手として経験し、現在も現役アスリートとして挑戦を続けながら、世界レベルの競技経験と、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

本記事では、フロントラック、肘、体幹、深さ、立ち上がり、WODでの重量設定について専門監修を受けています。

掲載したYouTubeは、TONYコーチがフロントスクワットを実践している様子を確認するための参考映像です。動画内の発言として新しい助言は追加していません。

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