スラスター(Thruster)のやり方|疲れにくいフォームと呼吸・テンポ

スクワットからプレスへ力を途切れさせずにつなぐ

カテゴリー:ウェイトリフティング|Vol.20

執筆・編集:SA1NT JAPAN編集部

専門監修:板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

スラスターは、フロントスクワット(Front Squat)とプッシュプレス(Push Press)を、一つの連続した動作としてつなぐ全身運動です。

スクワットから立ち上がる勢いをそのままバーベルへ伝え、脚と股関節が伸びてバーが肩から浮いた後に、腕で頭上まで押し切ります。脚より先に腕を使うと肩と上腕が早く疲れ、WOD(Workout of the Day)の後半で止まりやすくなります。

スラスターを疲れにくくする基本:
スクワットとプレスの間で止まらないこと、脚が伸びる前に腕で押さないこと、バーを肩へ戻してから次のスクワットへ入ることです。腕で上げるのではなく、脚でバーを浮かせ、腕は最後の軌道を整えます。

目次


スラスターとは?

スラスターは、肩の前でバーを支えた状態からフロントスクワットを行い、立ち上がりの勢いを使ってバーを頭上へ運ぶ動作です。

動作の開始時はバーをフロントラックで支えます。股関節が膝より低くなる深さまでしゃがみ、立ち上がるときに膝と股関節を力強く伸ばします。脚の伸展によってバーが肩から浮いた後、腕でバーを頭上へ押し、肘、股関節、膝を伸ばした姿勢で1回が完了します。

スラスターの流れ
フロントラックを作る → フロントスクワットで深くしゃがむ → 床を押して立ち上がる → 脚と股関節を伸ばす → バーが肩から浮く → 腕で頭上へ押す → 肘・股関節・膝を伸ばす

スラスターの特徴は、スクワットとプレスを別々に行わないことです。立ち上がって一度停止してからショルダープレスを行うのではなく、下半身で生み出した上向きの力を途切れさせずバーへ伝えます。


CrossFit公式動画|スラスターを目で確かめましょう

まずはCrossFit公式の映像で、スラスター全体の動きを目で確認しましょう。フロントラックからスクワットへ入り、立ち上がりの勢いを止めずにバーを頭上へ押し上げる流れに注目してください。

映像で確認したいポイント

  • バーを肩と上胸部で支えたフロントラックから始める
  • 胸を起こしたまま、股関節が膝より低くなる深さまでしゃがむ
  • 足裏で床を押し、スクワットから力強く立ち上がる
  • 膝と股関節の伸展を止めず、その勢いをバーへ伝える
  • 脚が伸びてバーが肩から浮いた後に腕で押す
  • 頭上で肘、股関節、膝を伸ばして1回を完了する
  • スクワットとプレスを別々にせず、一つの連続動作として行う

この動きを安定して行うための土台が、次に解説するフロントスクワットとプッシュプレスです。


フロントスクワットとプッシュプレスが土台

スラスターを安定させるには、フロントスクワットとプッシュプレスの基本が必要です。

フロントスクワットで必要な要素

  • バーを手ではなく肩と上胸部で支える
  • 足裏を床に保つ
  • 膝をつま先と同じ方向へ動かす
  • 胸を起こし、バーを足の中央上に保つ
  • 股関節が膝より低くなる深さまでしゃがむ
  • 背中を丸めずに立ち上がる

プッシュプレスで必要な要素

  • 上半身を垂直に保ってディップする
  • 脚と股関節を力強く伸ばす
  • 脚が伸びる前に腕で押さない
  • バーを顔の前へ押し出さない
  • 頭上で肘を伸ばし、バーを足の中央上に置く

基礎動作を先に確認:
フロントラックやスクワット姿勢が崩れる場合は、フロントスクワットのやり方を確認してください。脚から頭上へ力を伝えるタイミングは、ショルダープレス・プッシュプレス・プッシュジャークの違いで詳しく解説しています。


フロントラックと開始姿勢

スラスターは、バーを肩の前で支えるフロントラックから始めます。バーの重さを手首と腕だけで持つと、スクワット中に肘が下がり、立ち上がりの力をバーへ伝えにくくなります。

  • 足幅は肩幅前後の安定したスクワット幅
  • つま先は自然に少し外へ向ける
  • バーは肩と上胸部で支える
  • 手幅は肩幅より少し広め
  • 親指を含めてバーを握る
  • 肘はバーより前へ出す
  • 胸を起こし、腹部を固める
  • バーを足の中央上へ置く

フロントスクワットだけを行うときのように肘を最大限高く上げると、頭上へ押す動作へ移りにくい場合があります。一方、肘が下がりすぎるとバーが肩から前へ落ち、手首への負担が増えます。バーを肩で支えながら、立ち上がり後に押しやすい肘位置を探します。

開始前の確認

  • バーが指先だけに乗っていない
  • 肘が真下を向いていない
  • 胸と骨盤が大きく前後にずれていない
  • かかとが床についている
  • しゃがむ前に息を吸い、体幹を固定できている

スラスターの正しいやり方

  1. バーをフロントラックで支え、安定したスクワット幅で立つ
  2. 息を吸い、腹部と背中を固める
  3. 膝と股関節を曲げ、腰を下へ下ろす
  4. 膝をつま先と同じ方向へ動かす
  5. 股関節が膝より低くなる深さまでしゃがむ
  6. 足裏で床を押し、胸を保ったまま立ち上がる
  7. 膝と股関節を力強く伸ばし、バーを肩から浮かせる
  8. 脚が伸びた後に腕でバーを押す
  9. バーが顔を越えたら、頭を腕の間へ戻す
  10. 肘、股関節、膝を伸ばし、バーを足の中央上で安定させる

TONYコーチ監修で重視するポイント
スクワットの立ち上がりとプレスを分断しないこと。脚と股関節が伸びる前に腕で押し始めず、下半身の力でバーを肩から浮かせてから、腕で頭上の位置を完成させます。

トップポジション

  • 肘を完全に伸ばす
  • 肩を上へ押し、バーを安定させる
  • 頭を腕の間へ自然に入れる
  • 肋骨を開きすぎない
  • 腰を反りすぎない
  • 股関節と膝を伸ばす
  • バーを足の中央上に置く

スクワットからプレスへのつなぎ方

スラスターで最も重要な部分は、スクワットの立ち上がりからプレスへ切り替わる瞬間です。

立ち上がりの途中で腕を使うと、バーを肩へ押し付けたまま上半身で持ち上げることになり、脚からバーへの力の伝達が弱くなります。まず足裏で床を押し、膝と股関節を伸ばしてバーへ上向きの速度を与えます。

正しい順番

  1. スクワットの底から脚で立ち上がる
  2. 胸とバーを一緒に上昇させる
  3. 膝と股関節を最後まで伸ばす
  4. バーが肩から浮き始める
  5. 肘を下から上へ回しながら腕で押す
  6. バーを頭上へ完成させる

これは、身体の中心に近い大きな筋群から、肩、腕、手へ力を伝えるコア・トゥ・エクストリミティ(Core-to-Extremity)の考え方です。下半身が生み出した力を体幹で受け止め、その後に腕でバーを導きます。

立ち上がってから一度止まらないでください。
完全に立って静止した後にショルダープレスを始めると、下半身の勢いが消えます。脚と股関節は伸ばし切りますが、その伸展とプレスは連続して行います。


疲れにくい呼吸方法

スラスターでは、スクワット、立ち上がり、頭上プレスを連続するため、呼吸が乱れやすくなります。呼吸方法は重量、回数、動作速度によって変わりますが、基本は体幹を保つ場面と息を吐く場面を分けることです。

軽〜中重量を連続する場合

  • バーを肩へ戻す間からスクワット下降中に息を吸う
  • スクワットの底で体幹を保つ
  • 立ち上がりから頭上へ押す間に息を吐く
  • トップで短く呼吸を整え、次の回へ入る

重い重量を少ない回数で行う場合

  • 開始前に息を吸い、腹部を固める
  • スクワットから立ち上がるまで体幹の圧を保つ
  • 頭上でバーが安定してから息を吐く
  • バーを肩へ戻し、必要なら一度立位で呼吸を作り直す

呼吸に唯一の正解はありません。
軽い重量では1回につき1呼吸で動きやすい一方、高重量では1回ごとに呼吸と体幹を作り直す方が安全です。息を吐き続けて体幹が緩む場合は、重量またはテンポを下げます。


連続回数を維持するテンポ

連続スラスターでは、最初の数回を速く行うことより、最後まで同じリズムを保つことが重要です。

速すぎるテンポで起きること

  • 呼吸が追いつかない
  • バーを肩へ戻す位置が乱れる
  • スクワットの深さが浅くなる
  • 脚が伸びる前に腕で押し始める
  • トップで肘が伸び切らない

維持しやすいリズム

  1. トップで肘を伸ばす
  2. バーを肩へ戻す
  3. バーが肩に乗った瞬間にスクワットへ入る
  4. 底で止まらず、床を押して立ち上がる
  5. 脚の伸展を使って頭上へ押す

軽い重量では、トップで長く止まるより、肩でバーを受けてスクワットへ入る方が循環的に動きやすくなります。ただし、バーが肩へ戻る前にしゃがむと、腕と手首で衝撃を受けやすくなります。

テンポが適切か確認するサイン

  • 1回目と最後の回でスクワットの深さが変わらない
  • 毎回バーが肩へ戻る
  • 立ち上がりとプレスの間に停止がない
  • トップで肘を伸ばせる
  • 予定した回数まで呼吸を維持できる

バーを肩へ戻す方法

連続スラスターでは、バーを上げる動作だけでなく、頭上から肩へ戻す動作が重要です。

  1. トップで肘を伸ばし、1回を完了する
  2. 顔を少し後ろへ引き、バーの通り道を作る
  3. 肘を曲げ、バーを身体の近くへ下ろす
  4. 膝をわずかに緩めて衝撃を吸収する
  5. バーを肩と上胸部で受ける
  6. バーが肩に乗ってから次のスクワットへ入る

バーを腕だけでゆっくり下ろすと、上腕と肩が疲れます。反対に、バーを自由落下させて鎖骨へ強く当てると、ラックが崩れます。身体の近くへ下ろし、肩と脚で衝撃を受けます。

バーがまだ落下している途中でしゃがまないでください。
バーと身体が別々に動くと、バーが指先へ落ちたり、胸が前へ倒れたりします。バーが肩へ接触したことを確認してから下降へ移ります。


腕が先に疲れる原因

スラスターで肩や上腕だけが先に疲れる場合、下半身の力を十分に使えていない可能性があります。

原因 起きていること 修正方法
腕を早く使う 脚が伸びる前にバーを押している 軽い重量で、バーが肩から浮いてから押す練習を行う
スクワットの立ち上がりが遅い バーへ十分な上向き速度を与えられない 底から床を強く押し、立ち上がりを加速する
立ち上がりで止まる 下半身の勢いが消え、ショルダープレスになる 股関節の伸展とプレスを切れ目なくつなぐ
バーを手で支えている 前腕と手首が常に緊張する バーを肩へ乗せ、手は位置を管理する
バーをゆっくり下ろす 肩と上腕で下降を制御し続ける 身体の近くへ下ろし、肩と脚で受ける
重量が重すぎる 毎回プレス部分で止まる 予定回数を同じフォームで行える重量へ下げる

よくある間違いと修正方法

間違い 問題 修正方法
かかとが早く浮く 前方へバランスが移り、脚の力を伝えにくい 膝と股関節が伸びるまで足裏を保つ
膝が内側へ入る スクワット姿勢と立ち上がりが不安定になる 膝をつま先と同じ方向へ動かす
スクワットで胸が落ちる バーが前へ流れ、手首と背中へ負担がかかる 重量を下げ、肘と胸を保ったフロントスクワットを練習する
深さが不足する 動作基準を満たさず、立ち上がりの練習にもならない 可動域を確認し、必要なら負荷や器具を調整する
立ち上がりで腕を使う 脚の伸展が弱くなり、肩が早く疲れる フロントスクワット+プッシュプレスの分解練習を行う
完全に立って停止する スクワットとプレスが分断される 脚の伸展とプレスを連続させる
バーを前へ押す 頭上でバーが足の中央より前に残る バーが顔を越えたら頭を腕の間へ戻す
腰を反って終える バーを頭上ではなく身体の前で支えている 肋骨を下げ、臀部と腹部を使って立位を保つ
肘が伸び切らない トップポジションが不安定になる 重量を下げ、毎回頭上で一瞬固定する
バーを鎖骨へ落とす ラックが崩れ、次のスクワットへ入れない 膝を緩め、肩と脚でバーを受ける
疲れてから回数を数え急ぐ 深さとロックアウト(Lockout)が不明確になる 1回ごとの開始と終了位置をそろえる

スラスター上達のための練習ドリル

フロントスクワット

軽いバーで、ラック、胸、膝、深さをそろえます。スラスターの下降と立ち上がりの土台です。

プッシュプレス

脚でバーを浮かせてから腕で押す順番を学びます。ディップは小さく、上半身を垂直に保ちます。

ポーズ・フロントスクワット+スラスター

スクワットの底で1〜2秒止まり、姿勢を確認してから力強く立ち上がり、そのまま頭上へ押します。底からの加速を練習します。

スラスター・セグメント

フロントスクワット、立ち上がり、脚の伸展、プレスを一度ゆっくり確認し、その後に連続した1回として行います。

レッグドライブ確認

PVCパイプや非常に軽いバーで、スクワットから力強く立ち上がり、腕で押す前に脚と股関節の伸展でバーを浮かせる感覚を確認します。バーが身体から離れない軽負荷で行います。

3回連続+トップホールド

3回を同じテンポで行い、最後のトップで2秒静止します。呼吸、スクワットの深さ、頭上の位置を確認します。

下降練習

頭上からバーを肩へ戻し、膝で衝撃を吸収します。肩に戻った後で次のスクワットへ入るタイミングを練習します。

初心者向けの練習順

  1. エアスクワット(Air Squat)
  2. フロントラック
  3. フロントスクワット
  4. ショルダープレス
  5. プッシュプレス
  6. PVCパイプまたは空のバーでスラスター
  7. 3〜5回の連続スラスター
  8. 軽いWODでテンポと呼吸を練習

バーベル・ダンベルなどの種類

種類 特徴 主な用途
バーベルスラスター 両手を一本のバーで固定し、左右を同時に動かす 基本フォーム、高重量、FranなどのWOD
ダンベルスラスター(Dumbbell Thruster) 左右を別々に安定させる必要があり、肩と体幹への要求が高い 左右差の確認、器具の選択、WOD
ケトルベルスラスター(Kettlebell Thruster) ラック位置と重心がバーベルと異なる 体幹と肩の安定、器具のバリエーション
シングルアームスラスター(Single-arm Thruster) 片側の負荷に対して体幹を安定させる 左右差、片側の頭上動作、回旋への抵抗
スクワットクリーン(Squat Clean)スラスター 床からクリーンし、その立ち上がりを頭上プレスへつなぐ 複合動作、競技WOD、バーベルサイクリング

ダンベルやケトルベルは、バーベルより自由なラック位置を作りやすい場合があります。ただし、左右を別々に安定させる必要があるため、軽い重量から始めます。


WODでのセット分割と休憩

WODでスラスターが止まる主な原因は、筋力不足だけではありません。序盤のテンポが速すぎる、アンブロークン(Unbroken)に固執する、バーを置いた後の休憩が長い、呼吸が戻る前に再開するといった戦略上の問題もあります。

事前に決めること

  • 最初のセットを何回で切るか
  • 各セットを同じ回数にするか、徐々に減らすか
  • バーを置く場所と足位置
  • 休憩中に何呼吸するか
  • 次の種目へ移る前にどこまで呼吸を残すか

セット分割の例

総回数 分割例 向いている状況
21回 12+9、11+10、7+7+7 前半から限界まで行かず、次の種目へ余力を残す
15回 8+7、5+5+5 呼吸と肩の疲労を管理する
12回 6+6、4+4+4 重めの重量または複数ラウンド
10回 5+5、4+3+3 後半でも同じセットを維持したい場合

分割例は目安です。最初のセットだけ大きくしすぎるより、最後のラウンドまで再現できる回数を選びます。セットを切る場合は、完全に失敗する直前ではなく、次のセットへ早く戻れる段階でバーを置きます。

関連するWOD戦略:
全体の速度配分はWODのペーシング方法、アンブロークンと分割の判断はWODのセット戦略、負荷設定はWODのバーベル重量の選び方で詳しく解説します。


Franで考える重量とペース

Franは、21-15-9回のスラスターとプルアップをFor Time(フォータイム:タイムで)行う代表的なベンチマークWOD(Benchmark WOD)です。

CrossFit公式では、Franのスラスター重量について、フレッシュな状態で少なくとも15回を連続できる負荷が一般的な目安として示されています。これは、1回だけ挙げられるかではなく、ワークアウトの意図である高い運動速度を維持できるかを基準にする考え方です。

Franで確認したいこと

  • 21回を何セットに分けるか
  • プルアップ後にすぐバーを持てるか
  • 15回のラウンドで肩が止まらないか
  • 最後の9回までスクワットの深さを保てるか
  • トップで肘、股関節、膝を伸ばし、ロックアウトできるか

15回を連続できない重量が必ず不適切という意味ではありません。経験、目標タイム、プルアップの能力によって調整します。ただし、スラスターを毎回1〜2回で落とすほど重い場合は、Fran本来の速い刺激から離れる可能性があります。


スケーリングの方法

スケーリングは、単に重量を軽くすることではありません。スラスターの目的であるスクワットから頭上への連動を保ちながら、現在の可動域、技術、筋力、体力に合わせて調整します。

重量を下げる

最も基本的な調整です。空のバー、トレーニングバー、PVCパイプまで下げても、深さとタイミングを正確に練習できます。

器具を変える

手首や肩の可動域によってバーベルのラックが難しい場合、ダンベルやケトルベルで、より自然な手の向きを作れることがあります。

スクワットの深さを調整する

安全に到達できる高さへボックスやターゲットを置き、コントロールできる可動域で行います。可動域は、コーチの指導のもとで段階的に広げます。

動作を分ける

フロントスクワットとプッシュプレスを別々に練習し、両方が安定してからスラスターへ戻します。

回数を減らす

動作の質を保てる回数へ調整し、WOD全体の時間と刺激を合わせます。重量を下げてもフォームが崩れる場合は、回数やラウンド数も見直します。

スケーリングが必要なサイン

  • スクワットの深さが毎回変わる
  • 膝が内側へ大きく入る
  • 胸が落ち、バーが手首へ移る
  • 脚が伸びる前に毎回腕で押す
  • トップで肘を伸ばせない
  • 1〜2回ごとに長時間停止する
  • 肩、手首、腰、膝に鋭い痛みが出る

重量と回数の考え方

  • 技術練習:3〜5回、深さとタイミングを崩さず行える軽い重量
  • 筋力練習:1〜5回、体幹と頭上の固定を保てる重量
  • サイクリング練習:5〜10回、同じ呼吸とテンポを維持できる重量
  • 高回数WOD:予定セットをフォームを崩さず反復できる軽〜中重量
  • 重いWOD:疲労時にも安全に頭上まで完成できる重量

重量を選ぶときは、1回の最大重量だけで判断しません。総回数、制限時間、他の種目、必要なセット分割、疲労時の技術を考えます。

バーを肩から浮かせられず腕で押し続ける、スクワットの深さが不足する、トップで肘が曲がる場合は、重量を下げます。


TONYコーチ動画|CrossFit Games Open頻出種目・スラスター攻略法

スラスターは、CrossFit Games Open(クロスフィット・ゲームズ・オープン)で頻繁に登場する代表的な種目です。高回数や他種目との組み合わせでは、正しいフォームだけでなく、最後まで動き続けるためのテンポ、呼吸、セット分割も結果を大きく左右します。

TONYコーチの動画で、オープンや高回数WODを想定したスラスターの攻略法を確認しましょう。

動画とあわせて確認したい攻略ポイント

  • 腕だけで押し続けず、脚と股関節の伸展をバーへ伝える
  • 最初から飛ばしすぎず、最後まで再現できるテンポを選ぶ
  • 総回数と他の種目を見て、セット分割を事前に決める
  • バーを置く前に限界まで追い込まず、短い休憩で再開できる段階で切る
  • バーを肩で支え、呼吸とフロントラックを毎回作り直す
  • 疲労時もスクワットの深さとトップのロックアウトを明確にする

安全上の注意

  • 頭上に十分な空間があることを確認する
  • 周囲に人や器具がないことを確認する
  • バンパープレートと適切な床を使用する
  • カラーを装着し、プレートが動かないようにする
  • フロントラックでバーを指先だけに乗せない
  • 疲労時もスクワットの深さとトップのロックアウトを確認する
  • バーを肩へ落とさず、脚で衝撃を吸収する
  • 高重量ではコーチの監督下で行う
  • 肩、肘、手首、腰、股関節、膝に鋭い痛みがある場合は中止する

失敗したバーを無理に保持しないでください。
頭上でバーが前へ外れた場合は、自分が後方へ離れながらバーを前へ落とします。後方へ外れた場合は、自分が前方へ離れます。軽い重量で安全な離し方を練習し、周囲の空間を確保してください。


よくある質問

スラスターとプッシュプレスの違いは何ですか?

プッシュプレスは立位から浅くディップし、脚でバーを浮かせて頭上へ押します。スラスターは、深いフロントスクワットから立ち上がる勢いを使って頭上へ押します。

スラスターとクラスターの違いは何ですか?

スラスターは通常、バーをフロントラックに保持した立位から始めます。クラスター(Cluster)は、床からクリーンしてスクワットで受け、その立ち上がりを頭上プレスへつなぐ複合動作として使われる名称です。大会やジムによって動作基準を確認してください。

肘は高く上げた方がよいですか?

バーを肩で支えられる程度に肘を前へ出します。ただし、頭上へ押せないほど高く固定する必要はありません。バーを肩に乗せながら、手全体で握れる位置を探します。

スラスターでかかとは浮いてもよいですか?

スクワット中と立ち上がりの早い段階では、足裏を床に保ちます。膝と股関節が伸び、バーを加速させる終盤でかかとが自然に浮くことはありますが、早くつま先へ移動しないようにします。

トップで止まるべきですか?

1回として完了するには、肘、股関節、膝を伸ばし、バーを頭上でコントロールします。連続回数では長く止まる必要はありませんが、ロックアウトが不明確なままバーを下ろさないようにします。

呼吸はどこで行いますか?

軽〜中重量では、バーを肩へ戻す間から下降中に吸い、立ち上がりからプレスで吐く方法が一般的です。重い重量では、1回ごとに息を吸って体幹を固定し、頭上で安定してから吐きます。

腕が疲れたときはどうすればよいですか?

重量を下げ、脚が伸びる前に腕で押していないか確認します。バーを肩で支え、立ち上がりの勢いを使い、セットを早めに分割します。

初心者は何キロから始めればよいですか?

体重や性別だけで一律には決められません。PVCパイプ、トレーニングバー、空のバーなど、深さ、立ち上がり、トップポジションを毎回再現できる負荷から始めます。

ダンベルスラスターの方が簡単ですか?

手首や肩に合わせてラック位置を作りやすい場合がありますが、左右を別々に安定させる必要があるため、必ずしも簡単ではありません。軽い重量で左右差と頭上の位置を確認します。


まとめ|脚でバーを浮かせ、腕は最後に使う

  1. スラスターはフロントスクワットとプッシュプレスを連続させる動作
  2. バーは手ではなく肩と上胸部で支える
  3. スクワットでは膝、胸、足裏、深さをそろえる
  4. 底から床を押し、立ち上がりを加速する
  5. 脚と股関節が伸びる前に腕で押さない
  6. 立ち上がりとプレスの間で止まらない
  7. バーが顔を越えたら頭を腕の間へ戻す
  8. トップで肘、股関節、膝を伸ばす
  9. バーを肩へ戻してから次のスクワットへ入る
  10. WODでは維持できるテンポ、重量、セット分割を選ぶ

スラスターは、腕力だけで頭上へ押す種目ではありません。スクワットの立ち上がりで生み出した力をバーへ伝え、脚が伸びた後に腕で頭上の位置を完成させます。

フォームが整っていても、序盤のテンポが速すぎれば後半に止まります。呼吸、バーを戻す位置、セット分割まで含めて、最後の1回まで同じ動作を再現できるペースを選びましょう。

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参考動画・参考資料



この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。

専門監修

板谷友弘(UFIT Tony Coach/CrossFit Uninterrupted オーナー兼ヘッドコーチ)

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Gamesに出場。2021年にはCrossFit GamesのMen 35–39部門で世界15位。さらに2026年には、40歳以上の世界トップ選手が競うMasters CrossFit GamesのMen 40–44部門に出場し、世界29位を記録しました。2026年、日本人として世界最高峰の舞台に立ったのは彼1人のみです。

また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、本格的なランニング競技経験がない中、HYROX大阪大会では総合3位・日本人選手2位に輝きました。

CrossFit Gamesという世界最高峰の舞台を選手として経験し、現在も現役アスリートとして挑戦を続けながら、世界レベルの競技経験と、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

本記事では、フロントラック、スクワットの深さ、立ち上がりとプレスの接続、バー軌道、呼吸、テンポ、WODでの重量選択とセット分割、CrossFit Games Openを想定した攻略について専門監修を受けています。

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