ハイロックスタイプ別:これからやるべきトレーニング方法

カテゴリー:トレーニング|Vol.06

HYROXに出てみたい、または次の大会でタイムを縮めたい。

そう思った時に、多くの人が最初に迷うのが「何を練習すればいいのか」です。

ランを増やせばいいのか。

スレッドをたくさん押せばいいのか。

ウォールボールを毎日やればいいのか。

それとも、CrossFitのような高強度トレーニングを増やせばいいのか。

結論から言うと、HYROXのトレーニングは、全員が同じメニューをやればいいわけではありません。

ランナー、CrossFit経験者、筋トレ中心の人、初心者では、最初にやるべきことが違います。

トニーコーチも、HYROXに取り組む中で「ランとファンクショナルを一度分けて考えること」「自分のボトルネックを見つけること」が大切だと話しています。

この記事では、HYROXに向けてタイプ別にどんなトレーニングをすべきかを、トニーコーチの実体験を交えながら解説します。


目次


HYROXの練習は「全部混ぜる」だけでは足りない

HYROXは、1kmランと8つのファンクショナル種目を組み合わせたレースです。

そのため、どうしても「ランをして、スレッドを押して、またランをして、ウォールボールをする」というように、最初から全部を混ぜた練習をしたくなります。

もちろん、レースに近い練習は必要です。

しかし、トニーコーチは、HYROXの練習について「毎回ただ混ぜればいいわけではない」と考えています。

理由はシンプルです。

全部を混ぜてしまうと、自分が本当に遅れている原因が分かりにくくなるからです。

ランが遅いのか。

スレッドが弱いのか。

ウォールボールのフォームが悪いのか。

心拍が上がった後に走れなくなるのか。

これを見極めるには、まずランとファンクショナルを一度分けて考える必要があります。

たとえば、CrossFit経験者はローイング、スキー、ウォールボール、ランジなどには慣れていることが多いです。

しかし、HYROXでは1kmランを8回繰り返します。

トニーコーチ自身も、CrossFitで長時間のワークアウトを経験してきたにもかかわらず、HYROXに本格的に取り組む中で「ジムの中での体力」と「ランニングの体力」は別物だと感じています。

つまり、HYROXでは、まず自分の弱点を分けて見つけることが重要です。

関連記事:HYROXとはどんなスポーツ?


まず自分のタイプを知る

HYROXに向けたトレーニングを考える時、最初にやるべきことは「自分がどのタイプか」を知ることです。

大きく分けると、次のようなタイプがあります。

  • CrossFit経験者
  • ランナー
  • 筋トレ・ジムトレーニング中心の人
  • 運動はしているがHYROXは初めての人
  • ダブルス・リレーで出る人

同じHYROXに出るとしても、課題はそれぞれ違います。

CrossFit経験者は、ファンクショナル種目は得意でも、ランが課題になりやすいです。

ランナーは、ランは強みになりますが、スレッドプッシュ、スレッドプル、ウォールボールなどの重さで苦戦しやすいです。

筋トレ中心の人は、重いものを扱う力はあっても、1kmランを8回繰り返す持久力が課題になりやすいです。

初心者は、まず種目に慣れながら、無理なく走れる体を作ることが必要です。

自分のタイプを間違えると、練習の方向もずれます。

ランが課題なのに、さらにウォールボールばかりやっても、レースタイムは大きく変わりません。

逆に、スレッドが動かないのに、ランだけを増やしても、本番で止まってしまいます。

まずは「自分は何で止まりそうか」を考えるところから始めましょう。


タイプ① CrossFit経験者がやるべきトレーニング

CrossFit経験者は、HYROXと非常に相性が良いタイプです。

ローイング、スキーエルゴ、ウォールボール、ランジ、重いものを扱う動作に慣れている人が多いからです。

トニーコーチ自身も、CrossFitで培ったストレングスやファンクショナル種目への対応力は、HYROXで大きな武器になっています。

ただし、CrossFit経験者ほど注意したいのが、ランニングを軽く見ないことです。

HYROXは、ファンクショナル種目の大会に見えて、実際には8kmのランニングが入ります。

しかも、ただ8km走るだけではありません。

スレッドを押した後に走る。

バーピーブロードジャンプの後に走る。

サンドバッグランジの後に走る。

この「疲れた状態で走れるか」が勝負になります。

トニーコーチも、HYROX大阪の振り返りで、上位選手との差が最も出たのはランだったと話しています。1kmあたり15〜20秒の差でも、8本積み重なると2〜3分の差になります。

CrossFit経験者におすすめなのは、次のようなランニング練習です。

  • 週1回:ゆっくり長めのジョグ
  • 週1回:1kmインターバル
  • 週1回:20〜30分のテンポ走
  • 余裕があれば:バーピーやスクワット後のラン

トニーコーチは、ゆっくりしたジョグも大切にしつつ、それだけではレースで必要なペース維持能力はつきにくいと感じています。

特に、HYROXでは1kmごとに走るため、1kmインターバルは相性の良い練習です。

ただし、いきなり全力でやる必要はありません。

「きついけれど、ギリギリ維持できるペース」で走ることが大切です。

関連記事:HYROX向けラントレーニング|CrossFit経験者が走力を上げる方法


タイプ② ランナーがやるべきトレーニング

ランナーは、HYROXで大きな強みを持っています。

合計8kmのランがあるため、走力があることは非常に有利です。

しかし、ランナーがHYROXで苦戦しやすいのは、重さを扱う種目です。

特に、スレッドプッシュ、スレッドプル、ウォールボール、サンドバッグランジは、普段のランニングではあまり使わない力が必要になります。

トニーコーチも、ランナータイプの人には、いきなりHYROXクラスだけを増やすのではなく、まずベースとなるストレングスを作ることが大事だと考えています。

ランナーに必要なのは、次のようなトレーニングです。

  • スクワット
  • デッドリフト
  • ランジ
  • ファーマーズキャリー
  • ウォールボールの基本フォーム
  • スレッドプッシュ・スレッドプルの練習

ランナーの場合、心肺は強くても、重いものを押す・引く・担ぐ動作に慣れていないことがあります。

本番で初めて重いスレッドに触るのは避けたいところです。

スレッドは、見た目よりもかなり脚に来ます。

そして、スレッドで脚を使いすぎると、その後のランが一気に重くなります。

ランナーは、走力を維持しながら、週1〜2回は筋力とファンクショナル種目に時間を使うのがおすすめです。

また、長距離をゆっくり走るだけでなく、300m〜400mの少し速めのインターバルを入れるのも有効です。

HYROXのランは、マラソンのように一定ペースで長く走り続けるだけではありません。1kmごとに種目を挟むため、再加速する力も必要になります。


タイプ③ 筋トレ・ジムトレーニング中心の人がやるべきトレーニング

普段からジムで筋トレをしている人は、スレッドやキャリー、ランジなどに強みを出せる可能性があります。

脚力、体幹、握力、上半身の安定性がある人は、HYROXのファンクショナル種目で有利です。

ただし、筋トレ中心の人が最も苦戦しやすいのは、やはりランです。

HYROXでは、どれだけスレッドを強く押せても、その後に走れなければタイムは伸びません。

トニーコーチも、HYROXは「ジムの中だけの体力では足りない」と感じています。

筋トレ中心の人におすすめなのは、まず週2回のランニング習慣を作ることです。

  • 1回目:会話できるくらいのゆっくりジョグ 20〜40分
  • 2回目:1kmランを数本、休みを入れながら行う

最初から速く走る必要はありません。

まずは、走ることに体を慣らすことが大切です。

そして、慣れてきたら、軽いファンクショナル種目とランを組み合わせていきます。

たとえば、

  • 1分スクワット → 800mラン
  • 10回バーピー → 1kmラン
  • 軽めのランジ → 1kmラン

このように、脚や心拍に少し負荷をかけた状態で走る練習を入れると、HYROXに近づきます。

ただし、いきなり強度を上げすぎると怪我につながります。

筋トレで体が強い人ほど、心肺や腱・関節がランニング量に慣れていないことがあります。

最初の数週間は、走る距離と回数を急に増やしすぎないようにしましょう。


タイプ④ 初心者が最初にやるべきトレーニング

HYROX初心者は、最初から全部を完璧にやろうとしなくて大丈夫です。

まず大切なのは、運動習慣を作ることです。

最初からスレッドを重くしたり、ウォールボールを100回やったり、1kmランを何本も繰り返す必要はありません。

初心者は、まず次の3つを作りましょう。

  • 20〜30分動き続ける体力
  • 基本的なスクワット・ランジのフォーム
  • ゆっくりでも走れる習慣

具体的には、週2〜3回の運動から始めます。

初心者向けの最初のメニュー例

  • 10〜20分のウォーキングまたは軽いジョグ
  • スクワット 10回 × 3セット
  • ランジ 左右10回 × 2セット
  • 軽いローイングまたはバイク 5〜10分
  • 体幹トレーニング 5分

これだけでも、最初の準備としては十分です。

慣れてきたら、少しずつHYROX種目に近づけます。

スキーエルゴ、ローイング、ウォールボール、サンドバッグ、スレッドなどを触れるジムがあれば、フォームを覚えるところから始めましょう。

初心者におすすめなのは、いきなりシングルではなく、ダブルスやリレーから挑戦することです。

レースの雰囲気を知り、種目の流れを体験するだけでも、次の目標が見えやすくなります。

関連記事:HYROXのカテゴリー(シングル/ダブルス/リレー)の違いと選び方


タイプ⑤ ダブルス・リレーで出る人の練習

HYROXは、シングルだけでなく、ダブルスやリレーでも参加できます。

ダブルスやリレーでは、個人の能力だけでなく、作戦が重要になります。

特にダブルスでは、ランは一緒に走り、ファンクショナル種目は分担します。

トニーコーチは、ダブルスの戦略について、単に半分ずつ分ければいいわけではないと話しています。

大切なのは、ランを一緒に走れるようにファンクショナルを分担することです。

たとえば、片方がランに弱い場合、ファンクショナル種目ではその人を少し休ませるために、もう一人が多めに担当することがあります。

逆に、片方がウォールボールやランジが得意なら、そこを多めに担当する作戦もあります。

ダブルスで練習したいポイントは、次の通りです。

  • どちらが先に種目へ入るか
  • どこで交代するか
  • ランでどちらのペースに合わせるか
  • 疲れた時に作戦を変えられるか
  • 本番前に一度はシミュレーションをするか

トニーコーチも、ダブルスではスキーを250mずつ分ける、バーピーを5回ずつ交代する、ローイングは交代ロスを減らすために少し長めに担当するなど、種目ごとに作戦を変えています。

つまり、ダブルスは「仲良く半分」ではなく、「チームとして最も速く進む分担」を考える必要があります。

リレーの場合は、1人あたりの負担が少なくなりますが、担当区間の流れを理解しておくことが大切です。

特に、リレーゾーンでの交代や、誰がどの種目を担当するかは事前に確認しておきましょう。


トニーコーチが重視する「段階的な練習」

HYROXで伸びるために、トニーコーチが大切にしている考え方があります。

それが、段階的に練習することです。

これはCrossFitにも共通する考え方です。

たとえば、マッスルアップができない人が、いきなりワークアウトの中でマッスルアップを成功させるのは難しいです。

まずは動きを分解して練習します。

次に、単体でできるようにします。

その後、少し疲れた状態でできるようにします。

最後に、他の種目と組み合わせた中で使えるようにします。

HYROXも同じです。

ランが苦手なら、いきなりスレッド後のランばかりやるのではなく、まず普通に走れるフォームとペースを作る。

スレッドが苦手なら、いきなりレース形式でやるのではなく、押し方、体の角度、足の置き方を作る。

ウォールボールが苦手なら、まずスクワットと投げ上げのフォームを作る。

その後で、ランと組み合わせます。

この段階を飛ばすと、きつい練習をしているのに、なかなかタイムが伸びないことがあります。


大会まで3〜4ヶ月ある場合の考え方

大会まで3〜4ヶ月ある場合は、焦って毎回レース形式をやる必要はありません。

むしろ、最初の時期は弱点を底上げする時間に使った方が効果的です。

最初の1〜2ヶ月

この時期は、基礎作りです。

  • ランのベースを作る
  • スクワットやデッドリフトで筋力を作る
  • スキーエルゴやローイングのフォームを覚える
  • ウォールボールやランジの基本を作る

トニーコーチも、大会が少し先にある時期は、ランとファンクショナルを分けて、それぞれを底上げすることを重視しています。

大会1〜2ヶ月前

この時期から、少しずつHYROXらしい組み合わせを増やします。

  • 1kmラン → スレッドプッシュ
  • 1kmラン → ローイング
  • バーピーブロードジャンプ → 1kmラン
  • ランジ → 1kmラン

重要なのは、疲れた状態でもフォームとペースを崩さないことです。

大会2〜3週間前

この時期は、レースの流れを確認します。

ただし、毎回フルシミュレーションをする必要はありません。

疲労を溜めすぎず、苦手なポイントを確認しながら、実戦感覚を高めていきます。


直前期にやってはいけないこと

大会直前になると、不安になります。

「もっと走らなきゃ」

「ウォールボールを増やさなきゃ」

「スレッドをもっと重くしなきゃ」

そう思う人も多いはずです。

しかし、トニーコーチは直前期に練習量を急に増やすことはおすすめしていません。

理由は、疲労が溜まって本番で動けなくなるからです。

直前期に大切なのは、量を増やすことではなく、スキルを見直すことです。

  • ウォールボールのフォームを確認する
  • スキーエルゴのストロークを整える
  • ローイングのリズムを確認する
  • スレッドプルのロープ処理を練習する
  • レース当日の流れを確認する

がむしゃらに追い込むより、無駄な動きを減らす方が、直前期には効果的です。

また、スタート時間、チェックイン、ルール、会場マップも必ず確認しておきましょう。

小さな確認不足でペナルティを受けたり、余計なストレスを抱えたりするのは避けたいところです。

関連記事:HYROX当日の流れ|ウォームアップ・ペース配分・種目別戦略


HYROX向けウェアと補給の準備

HYROXでは、走る、しゃがむ、跳ぶ、押す、担ぐという動きが続きます。

そのため、ウェアは動きやすさと擦れにくさが重要です。

特にショーツは、ランニング中にずれにくく、バーピーやランジでも邪魔にならないものを選びたいところです。

トニーコーチのおすすめとして、SA1NTのP1 Elite Compression ShortsはHYROXと相性の良いアイテムです。

コンプレッションによって脚をサポートしながら、ランニング、スレッド、ランジ、ウォールボールのような動きにも対応しやすい設計です。

また、P1 Elite Compression Shortsにはポケットがあります。

HYROXは1時間以上かかる人も多いレースです。レース中盤で補給ジェルを1個〜2個取りたい人にとって、ポケットにジェルを入れておけるのは大きなメリットです。

手に持って走る必要がなく、必要なタイミングで補給しやすいため、特にシングルや長めのレースになる人には便利です。

▶ トニーコーチおすすめ:P1 Elite Compression Shortsを見る

補給については、練習の時から一度試しておくことが大切です。

本番で初めてジェルを取ると、胃に合わなかったり、タイミングが分からなかったりすることがあります。

レース中盤、たとえばローイング前後やファーマーズキャリー前後など、自分が取りやすいタイミングを事前に決めておくと安心です。


まとめ|HYROXの練習は、自分の弱点から逆算する

HYROXのトレーニングは、全員が同じことをすればいいわけではありません。

CrossFit経験者は、ファンクショナル種目の強みを活かしながら、ランを底上げする必要があります。

ランナーは、走力を活かしながら、スレッドやウォールボールに必要な筋力を作る必要があります。

筋トレ中心の人は、重さを扱う力を活かしながら、1kmランを繰り返せる体を作る必要があります。

初心者は、まず無理なく動き続ける体力と基本フォームを作ることが大切です。

トニーコーチが大切にしているのは、段階的に練習することです。

まず単体でできるようにする。

次に、疲れた状態でもできるようにする。

最後に、ランとファンクショナルを組み合わせてレースに近づける。

この順番で準備すると、ただきついだけの練習ではなく、結果につながる練習になります。

HYROXは、走れるだけでも、強いだけでも足りません。

自分の弱点を見つけて、そこから逆算して練習することが、次のレースで結果を出す一番の近道です。


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この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。

監修

板谷友弘(UFIT Tony Coach / CrossFit Uninterrupted Head Coach)

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Games Finalsの出場経験を持つ世界レベルの競技者です。

CrossFitはランニング、持久力、筋力、体操競技、ウェイトリフティングなど、あらゆる身体能力が求められる競技であり、その中で世界トップレベルに到達した日本人選手の一人です。

現在は、自身がオーナー兼ヘッドコーチを務めるCrossFit Uninterrupted(UFIT)を運営し、競技者から一般の方まで幅広く指導しています。また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして活動しています。HYROXはランニングの経験がない中も大阪大会で3位、日本人選手2位に輝きました。

選手として世界レベルを経験し、コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。

トニーコーチから一言:

「HYROXの練習は、ただランとファンクショナルを混ぜればいいわけではありません。まず自分の弱点を見つけて、ランはランで作る、ファンクショナルはファンクショナルで作る。その上で、最後に組み合わせていくことが大切です。自分のタイプに合った準備をすれば、HYROXは必ず成長を感じられる競技です。」

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