ハイロックス当日の流れ|ウォームアップ・ペース配分・種目別戦略
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カテゴリー:大会攻略|Vol.18
HYROX当日は、ただ「頑張る日」ではありません。
受付、会場入り、ウォームアップ、スタート前の心拍の作り方、最初のランの入り方、各種目での力の使い方、最後のウォールボールまで、全体の流れをどう作るかが重要です。
HYROXは、8kmのランと8つのファンクショナル種目を交互に行うレースです。
最初から全力で飛ばせば、前半のスレッドで脚が削られます。
慎重になりすぎれば、全体のリズムを作れません。
ウォームアップが少なすぎれば、最初のランとスキーエルゴで心拍が急に跳ね上がります。
逆にウォームアップをやりすぎれば、スタート前に脚を使ってしまいます。
トニーコーチも、HYROXで大切なのは「全部できること」「穴がないこと」だと話しています。
これは、ランやスレッドだけの話ではありません。
当日の準備、ウォームアップ、ペース配分、休み方、ノーレップやペナルティを避ける判断まで含めて、穴を作らないことが重要です。
この記事では、HYROX当日の大きな流れを、ウォームアップ・ペース配分・種目別戦略の3つに分けて解説します。
目次
- HYROX当日は「流れ」で決まる
- 当日のタイムライン全体像
- ウォームアップは多すぎても少なすぎてもNG
- 心拍をゾーン4まで上げてから落とす
- スタート前に決めておくこと
- 最初のランは飛ばしすぎない
- 前半の山場はスレッドプッシュとスレッドプル
- 中盤はバーピーとローイングで流れを崩さない
- 後半はキャリー・ランジ・ウォールボールで止まりすぎない
- 休むなら早めに短く休む
- ノーレップとペナルティを避ける
- トニーコーチの考え方:得意種目で勝つより、穴を作らない
- まとめ
HYROX当日は「流れ」で決まる
HYROXは、1つの種目だけで勝負が決まるレースではありません。
1km走って、種目を行う。
また1km走って、次の種目を行う。
これを最後まで繰り返します。
だから、レース当日は「今の種目をどう終えるか」だけでなく、「次のランにどう入るか」「次の種目にどれだけ余裕を残すか」を考える必要があります。
スキーエルゴで少し頑張りすぎると、次のランで呼吸が乱れます。
スレッドプッシュで脚を使い切ると、スレッドプルやバーピーブロードジャンプに響きます。
ファーマーズキャリーで握力を使い切ると、その後のランで腕振りが固くなります。
サンドバッグランジで脚を削りすぎると、最後のランとウォールボールがきつくなります。
HYROX当日の基本は、全部を全力で押し切ることではありません。
最後まで動き続けるために、どこで抑え、どこで短く休み、どこで確実に進めるかを決めることです。
当日のタイムライン全体像
HYROX当日は、スタート時間から逆算して動くと焦りにくくなります。
大まかな流れは、次のように考えると分かりやすいです。
スタート3時間前
- 食事を済ませる
- 水分を少しずつ取る
- 補給ジェル、シューズ、ウェアを確認する
- 会場までの移動時間を確認する
スタート90〜120分前
- 会場入り
- 受付
- トイレ、荷物置き場、スタートエリアを確認する
- ランコースと各ステーションの位置を大まかに見る
スタート45〜60分前
- 軽いジョグ
- 股関節、足首、肩まわりの動的ストレッチ
- 軽いスクワット、軽いランジ
- 体を温める
スタート20〜30分前
- 短い刺激を入れる
- 心拍を一度ゾーン4まで上げる
- その後、呼吸を落ち着かせる
- 最初のランのペースを確認する
スタート5〜10分前
- 動きすぎない
- 呼吸を整える
- 最初から飛ばさないと決める
- レース全体の流れを思い出す
細かく完璧に守る必要はありません。
大切なのは、当日に慌てないための大きな流れを持っておくことです。
ウォームアップは多すぎても少なすぎてもNG
HYROXのウォームアップは、多すぎても少なすぎても良くありません。
少なすぎると、スタート直後のランやスキーエルゴで体が急に高強度へ引き上げられます。
その結果、心拍が一気に上がり、最初から呼吸が苦しくなります。
一方で、ウォームアップをやりすぎると、スタート前から脚や心肺を使ってしまいます。
HYROXは長いレースです。
スタート前に疲れてしまっては意味がありません。
ウォームアップの目的は、体を疲れさせることではありません。
体温を上げる。
関節を動かす。
呼吸を整える。
心拍を一度上げる。
そして、スタート時に落ち着いて動ける状態にすることです。
トニーコーチが話す「次につなげる」という考え方は、ウォームアップにも当てはまります。
ウォームアップは、レースで出し切るための準備であって、ウォームアップで出し切るものではありません。
心拍をゾーン4まで上げてから落とす
HYROX当日のウォームアップでは、心拍を一度ゾーン4まで上げてから落とすのがおすすめです。
ゾーン4とは、かなりきついけれど短時間なら維持できる強度です。
ここまで一度上げておくと、体が高強度の運動に入りやすくなります。
ただし、ゾーン4で長く頑張る必要はありません。
目的は追い込むことではなく、体に「これから高強度が来る」と知らせることです。
たとえば、20〜30秒の少し速いランを数本入れる。
軽いバーピーやスクワットを数回入れる。
呼吸が少し上がるところまで持っていく。
その後、歩く、軽く動く、深く呼吸するなどして、心拍を少し落とします。
この「上げて、落とす」流れが大切です。
高すぎる心拍のままスタートすると、最初の1kmで苦しくなります。
逆に、心拍が低すぎるままだと、スタート後に急に上がって苦しくなります。
一度ゾーン4まで上げてから、落ち着いた状態でスタートラインに入る。
これが、HYROX当日のウォームアップでは使いやすい考え方です。
スタート前に決めておくこと
HYROX本番では、疲れている状態で判断する場面が何度も出てきます。
その場で考えると、焦って判断を間違えやすくなります。
だからこそ、スタート前に大まかな基準を決めておきます。
- 最初の1kmはどのくらい抑えるか
- スレッドプッシュで脚を使い切らない
- スレッドプルは腕ではなく足で引く
- ファーマーズキャリーは握力が終わる前に置く
- サンドバッグランジは下で止まらず立って休む
- ウォールボールは何回ずつ分けるか
- 補給ジェルをどこで取るか
完璧な計画でなくても構いません。
本番中に迷わないための「自分のルール」を持っておくことが重要です。
最初のランは飛ばしすぎない
HYROX本番でよくある失敗が、最初の1kmランで飛ばしすぎることです。
スタート直後は、会場の雰囲気もあり、周りの選手も速く見えます。
自分もついていきたくなります。
しかし、HYROXは最初の1kmで決まる競技ではありません。
むしろ、最初の1kmで心拍を上げすぎると、その後のスキーエルゴ、スレッドプッシュ、スレッドプルが重くなります。
最初のランは、「気持ちよく速く走る」より、「余裕を残して入る」ことが大切です。
呼吸に少し余裕がある。
脚が軽く動いている。
次のスキーエルゴに落ち着いて入れる。
この状態を作ることを優先しましょう。
前半の山場はスレッドプッシュとスレッドプル
HYROX前半で最初に大きな山場になるのが、スレッドプッシュとスレッドプルです。
トニーコーチも、スレッド系は前半の山場であり、疲労がかなり大きい種目だと話しています。
スレッドプッシュでは、脚で地面を強く押しながら重いスレッドを前に進めます。
スレッドプルでは、2mのステーション内で足を使って体を後ろへ移動させ、その力でロープを引きます。
どちらも、力任せに行うと大きく消耗します。
前半のスレッド系では、次のポイントを意識しましょう。
- 最初から全力で押し切ろうとしない
- スレッドプッシュは体の角度と足のグリップを意識する
- スレッドプルは腕ではなく足で引く
- ロープ処理で焦らない
- 終わった後のランに入れる余力を残す
関連記事:HYROX種目②スレッドプッシュ攻略法
関連記事:HYROX種目③スレッドプル攻略法
中盤はバーピーとローイングで流れを崩さない
中盤の大きなポイントは、バーピーブロードジャンプとローイングです。
バーピーブロードジャンプは、HYROXの中でも心拍がかなり上がる種目です。
ここで大きく跳びすぎると、脚が削られます。
逆に、小さすぎると回数が増えて時間がかかります。
大切なのは、自分が続けられる幅とリズムを見つけることです。
その後のローイングは、バーピーブロードジャンプ後に呼吸を整えながら進める区間として使えます。
ただし、ローイングで完全に休むわけではありません。
脚で押し、体幹で力を伝え、最後に腕で引く。
フォームを崩さず、次のランとファーマーズキャリーへつなげます。
関連記事:HYROX種目⑤ローイング攻略法
後半はキャリー・ランジ・ウォールボールで止まりすぎない
HYROX後半は、ファーマーズキャリー、サンドバッグランジ、ウォールボールが大きなポイントになります。
ファーマーズキャリーでは、限界まで握り続けないことが大切です。
握力が完全に終わる前に短く置き、少し回復してから進む方が安定します。
サンドバッグランジでは、ルールとペナルティが重要です。
片足ずつ交互に出し、膝をしっかりつき、毎回立ち上がります。
サンドバッグは肩の上、頭の後ろに乗せて進みます。
落とすと、1回目は5m戻り、2回目は10m戻り、3回目は失格になる可能性があります。
きつくなった時は、下で止まらず、立った状態で休みます。
ウォールボールは、最後の最後に100回です。
ここでは、疲れがたまる前に少なめで休むことが重要です。
5回ずつでも構いません。
短く休みながら、ノーレップを出さずに100回を積み上げる方が、結果的に早く終わることがあります。
関連記事:HYROX種目⑦サンドバッグランジ攻略法
関連記事:HYROX種目⑧ウォールボール攻略法
休むなら早めに短く休む
HYROXで重要なのは、休まないことではありません。
休み方を間違えないことです。
限界まで我慢してから止まると、再スタートに時間がかかります。
握力が完全に終わる。
脚が完全に止まる。
呼吸が戻らない。
ノーレップが増える。
こうなると、休んでいる時間が長くなり、結果的に遅くなります。
一方で、早めに短く休めば、動きの質を保ちやすくなります。
ファーマーズキャリーなら、握力が完全に終わる前に短く置く。
ウォールボールなら、疲れがたまる前に5回や10回で区切る。
サンドバッグランジなら、下で止まらず、立って呼吸を整える。
このように、休み方を事前に決めておくと、本番で焦りにくくなります。
ノーレップとペナルティを避ける
HYROXでは、ノーレップやペナルティを避けることが非常に重要です。
疲れている時ほど、動作が浅くなったり、ルール確認が甘くなったりします。
スレッドプルでは、2mのステーションから出ないことが重要です。
サンドバッグランジでは、サンドバッグを落とすとペナルティがあります。
ウォールボールでは、フルスクワットとターゲットへのヒットが必要です。
ノーレップやペナルティは、タイムだけでなくメンタルにも影響します。
「やったのにカウントされない」
「戻らなければいけない」
「失格になるかもしれない」
こうした状況は、レース後半ではかなり大きな負担になります。
本番で慌てないために、練習の段階からルールに合わせて動きましょう。
トニーコーチの考え方:得意種目で勝つより、穴を作らない
トニーコーチのHYROX解説で一貫しているのは、得意種目だけで勝負しようとしないことです。
HYROXでは、ランが速いだけでも、CrossFitの種目が得意なだけでも不十分です。
ランナーは、スレッド、キャリー、ランジ、ウォールボールで止まりすぎないことが必要です。
CrossFit経験者は、得意なファンクショナル種目で攻めすぎず、8本の1kmランを落としすぎないことが必要です。
大切なのは、すべてを完璧にすることではありません。
大きな穴を作らないことです。
苦手種目で大きく止まらない。
得意種目で無理に出し切らない。
次のランに入れる状態で種目を終える。
この考え方が、HYROX当日の全体戦略になります。
まとめ|HYROX当日は大きな流れを決めておく
HYROX当日は、細かいテクニックだけではなく、レース全体の流れをどう作るかが重要です。
ウォームアップは多すぎても少なすぎても良くありません。
心拍を一度ゾーン4まで上げてから落とし、体が高強度に入りやすい状態を作ります。
最初のランでは飛ばしすぎない。
前半のスレッドで脚を使い切らない。
中盤のバーピーとローイングで流れを崩さない。
後半のキャリー、ランジ、ウォールボールでは、早めに短く休み、ノーレップやペナルティを避ける。
トニーコーチが話すように、HYROXでは「全部できること」「穴がないこと」が大切です。
それは、当日の準備にも当てはまります。
大きく崩れないレースをするために、当日の流れを事前に決めておきましょう。
HYROX関連記事一覧
HYROXの入門記事、8種目攻略、トレーニング方法、大会戦略をまとめて読みたい方は、こちらのHYROX特集ページをご覧ください。
- これを読めばバッチリ。HYROX完全版Q&A:種目・カテゴリー・攻略・ギア選び
- HYROXとはどんなスポーツ?
- HYROX大会:全8種目解説とタイムを縮めるポイント
- HYROX大会:ソロ・シングル部門攻略法
- HYROX大会:ダブルス・ペア部門攻略法
- HYROX大会:チーム・リレー部門攻略法
- HYROX大会:アスリートタイプ別攻略法
- HYROX種目①スキーエルゴ攻略法
- HYROX種目②スレッドプッシュ攻略法
- HYROX種目③スレッドプル攻略法
- HYROX種目④バーピーブロードジャンプ攻略法
- HYROX種目⑤ローイング攻略法
- HYROX種目⑥ファーマーズキャリー攻略法
- HYROX種目⑦サンドバッグランジ攻略法
- HYROX種目⑧ウォールボール攻略法
この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。
監修
板谷友弘(UFIT Tony Coach / CrossFit Uninterrupted Head Coach)

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Games Finalsの出場経験を持つ世界レベルの競技者です。
CrossFitはランニング、持久力、筋力、体操競技、ウェイトリフティングなど、あらゆる身体能力が求められる競技であり、その中で世界トップレベルに到達した日本人選手の一人です。
現在は、自身がオーナー兼ヘッドコーチを務めるCrossFit Uninterrupted(UFIT)を運営し、競技者から一般の方まで幅広く指導しています。また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして活動しています。HYROXはランニングの経験がない中も大阪大会で3位、日本人選手2位に輝きました。
選手として世界レベルを経験し、コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。
トニーコーチから一言:
「HYROXは、スタートしてから頑張るだけではなく、当日の流れを作っておくことが大切です。ウォームアップは少なすぎると体が動かないし、多すぎると疲れてしまいます。一度心拍を上げてから落として、最初のランに落ち着いて入る。そこから各種目で出し切りすぎず、次のランや次の種目につなげることが、最後まで崩れないために大事だと思います。」
トニーコーチの情報はこちらから↓
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