ハイロックス種目⑤ローイングマシン攻略法

カテゴリー:8種目攻略|Vol.14

HYROXの5つ目のファンクショナル種目が、ローイングです。

スキーエルゴ、スレッドプッシュ、スレッドプル、バーピーブロードジャンプを終えた後に登場する、1,000mのマシン種目です。

ローイングは、CrossFit経験者にとっては慣れている人も多い種目です。

一方で、ランナーやジムトレーニング中心の人にとっては、フォーム次第でかなり疲れ方が変わる種目でもあります。

ローイングは、腕で引く種目ではありません。

脚で押し、体幹で力を伝え、最後に腕で引く。

この順番が崩れると、1,000mの中で無駄に消耗してしまいます。

トニーコーチも、HYROXのレースではローイングを「ただ攻める種目」ではなく、バーピーブロードジャンプ後に呼吸を整え、次のファーマーズキャリーへつなげるための重要な区間として捉えています。

この記事では、HYROX種目⑤ローイングの基本、よくある失敗、効率の良い漕ぎ方、ペース配分、ランとのつなぎ方を、トニーコーチの視点を交えて解説します。


目次


HYROXのローイングとは?

HYROXのローイングは、ローイングマシンで1,000mを漕ぐ種目です。

種目の順番としては、バーピーブロードジャンプの後に登場します。

つまり、心拍がかなり上がり、脚にも疲労が入った状態でローイングに入ることになります。

この時点で、レースはすでに中盤です。

前半のスレッド系種目とバーピーブロードジャンプで、脚、前腕、背中、心肺はかなり使われています。

ローイングは、ここでさらに出し切る種目ではありません。

もちろん速く進めることは大切です。

しかし、HYROX全体で考えると、ローイングは呼吸を整えながら、次の後半戦へつなぐ種目でもあります。

トニーコーチも、レースではローイングを自分にとって比較的楽なペースで進め、ここで少し回復する意識を持っていました。

ローイングは、ただ1,000mを速く漕ぐだけではありません。

その後のラン、ファーマーズキャリー、サンドバッグランジ、ウォールボールまで見据えて進めることが重要です。

関連記事:HYROX種目④バーピーブロードジャンプ攻略法


ローイングは「腕で引く種目」ではない

ローイングで最も多い失敗は、腕で引いてしまうことです。

ハンドルを手で持つため、どうしても腕で引きたくなります。

しかし、ローイングは腕の種目ではありません。

基本は、脚で押し、体幹で支え、最後に腕で引く種目です。

腕だけで1,000mを漕ぐと、前腕、肩、背中が早い段階で疲れます。

HYROXでは、この後にファーマーズキャリーがあります。

ファーマーズキャリーでは握力と肩まわりを使います。

その前のローイングで腕や前腕を使いすぎると、次の種目に響きます。

効率の良いローイングでは、腕は最後に使います。

脚で強く押し、体を少し開き、最後に腕でハンドルを引く。

戻る時は、腕、体、脚の順番で戻します。

この順番を守るだけで、同じペースでも疲れ方が大きく変わります。


バーピーブロードジャンプ後だからこそ冷静に入る

HYROXのローイングは、バーピーブロードジャンプの後にあります。

ここが大きなポイントです。

バーピーブロードジャンプでは、上下動とジャンプを繰り返すため、心拍が一気に上がります。

その状態でローイングに入ると、最初の数百メートルで焦ってしまう人がいます。

「早く落ち着きたい」

「ここで取り返したい」

そう思って、いきなり強く漕ぎすぎると、逆に呼吸が乱れます。

トニーコーチは、ローイングをバーピーブロードジャンプ後に少し落ち着く区間として使っています。

もちろん、完全に休むわけではありません。

ただし、無理にストロークを上げすぎず、自分がコントロールできるペースで進めることが大切です。

HYROXでは、得意種目だから全力で攻めるのではなく、レース全体の中でどう使うかが重要です。


ローイングでよくある失敗

失敗① 腕だけで引く

腕だけで引くと、前腕、肩、背中が早く疲れます。

ローイングの主役は脚です。

腕は最後に引き切るために使いましょう。

失敗② 最初から飛ばしすぎる

バーピーブロードジャンプ後は、心拍が上がっています。

ここで焦って飛ばしすぎると、1,000mの後半で失速しやすくなります。

最初の200mは、呼吸とリズムを整える意識が大切です。

失敗③ ストロークレートだけを上げる

細かく速く漕げば速く進むわけではありません。

ストロークレートが高すぎると、心拍が上がり、動きも雑になりやすくなります。

1回1回のストロークでしっかり進むことが大切です。

失敗④ 戻りが雑になる

引いた後の戻りが雑だと、次のストロークにうまくつながりません。

戻りで呼吸を整え、次の一漕ぎに入る準備をしましょう。

失敗⑤ 足のストラップ調整に手間取る

ローイングでは、足を固定するストラップがあります。

本番で調整に手間取ると、余計なタイムロスになります。

練習の段階から、自分に合う位置や締め具合を確認しておきましょう。


効率の良いローイングフォーム

ローイングで効率よく進むためには、フォームが重要です。

ポイントは、脚の力をハンドルに正しく伝えることです。

① キャッチ

前に出たポジションで、膝を曲げ、腕を伸ばします。

背中を丸めすぎず、体幹を軽く固めます。

ここで力みすぎず、次のドライブに備えます。

② ドライブ

最初に脚で押します。

ハンドルを腕で引く前に、脚でマシンを押すように力を出します。

ローイングで最も大きな力を出すのは、この脚の部分です。

③ 体を開く

脚で押した後、体を少し後ろに開きます。

この時、腰だけで反らないように注意します。

体幹で力を受け止めながら、ハンドルに力を伝えます。

④ 腕で引く

最後に腕でハンドルを体に引き寄せます。

腕は最初から使うのではなく、最後の仕上げとして使います。

⑤ リカバリー

戻る時は、腕を伸ばし、体を戻し、最後に膝を曲げます。

引く時と戻る時の順番が崩れると、動きが詰まりやすくなります。

戻りは、次のストロークの準備です。

 


脚・体幹・腕の順番

ローイングの基本は、脚、体幹、腕の順番です。

この順番が崩れると、同じ1,000mでも疲れ方が大きく変わります。

最初に腕で引くと、脚の力を使えません。

最初に体を倒しすぎると、腰に負担がかかります。

脚で押す前に腕が曲がると、前腕や肩が早く疲れます。

HYROXでは、ローイングの後にファーマーズキャリーがあります。

ファーマーズキャリーでは、握力と肩まわりが必要です。

そのため、ローイングで腕を使いすぎないことが後半のために重要になります。

脚で押す。

体幹で力を伝える。

最後に腕で引く。

戻る時は、腕、体、脚。

この順番を練習で体に覚えさせておきましょう。


HYROXでのローイングのペース配分

HYROXのローイングでは、1,000m単体のベストタイムを狙う必要はありません。

大切なのは、レース全体の中で適切なペースを選ぶことです。

トニーコーチも、ローイングでは自分にとって楽に維持できるペースを意識し、バーピーブロードジャンプ後に呼吸を整えるように進めています。

初心者

初心者は、まず最後まで止まらず漕げるペースを選びましょう。

ストロークレートを上げすぎず、呼吸を整えながら進めます。

ローイングで無理をして、次のランやファーマーズキャリーで止まるより、安定したペースで進める方が良い場合があります。

中級者

中級者は、1,000mを一定ペースで漕ぐ練習をしておきましょう。

500mまでは楽でも、後半でフォームが崩れる人は多いです。

最後まで脚で押せているか、腕で引きすぎていないかを確認します。

上級者

上級者は、ここで少しタイムを取りに行くこともできます。

ただし、次のファーマーズキャリーとその後のランを考える必要があります。

ローイングで数秒を取りに行った結果、次のランで大きく落ちるなら、全体としては損になることがあります。

HYROXでは、単体の速さより、つなぎの安定が重要です。


ランナーが注意すべきポイント

ランナータイプの人は、心肺が強く、一定のペースで動くことに慣れている場合が多いです。

そのため、ローイングでも持久力を活かせます。

ただし、ローイングの技術に慣れていないと、腕や腰を使いすぎることがあります。

ランニングでは、脚をリズムよく使って前に進みます。

ローイングでは、脚でマシンを押し、その力をハンドルに伝える必要があります。

ランナーが意識したいのは、次のポイントです。

  • 腕だけで引かない
  • 脚で押す感覚を覚える
  • 腰を丸めすぎない
  • ストロークを細かくしすぎない
  • ローイング後のランへ余裕を残す

ランナーは、ローイングのフォームを覚えるだけで、かなり楽に1,000mを進められるようになります。

ランの強みを活かすためにも、ローイングで無駄な消耗をしないことが大切です。


CrossFit経験者が注意すべきポイント

CrossFit経験者は、ローイングに慣れている人が多いです。

そのため、HYROXでも得意種目になりやすいです。

しかし、得意だからこそ注意が必要です。

CrossFitのワークアウトでは、短い時間で強く漕ぐ場面があります。

その感覚でHYROXのローイングに入ると、攻めすぎることがあります。

HYROXのローイングは、バーピーブロードジャンプの後にあり、その後にはファーマーズキャリー、サンドバッグランジ、ウォールボールが残っています。

トニーコーチも、ローイングを「得意だから全力で攻める」というより、呼吸を整え、後半へつなげる区間として考えています。

CrossFit経験者は、次の点を意識しましょう。

  • 得意だからといって飛ばしすぎない
  • ストロークレートを上げすぎない
  • 腕や前腕を使いすぎない
  • ファーマーズキャリーに握力を残す
  • 全体のペース配分の中で考える

HYROXでは、得意種目で勝つより、得意種目で無駄に消耗しないことが重要な場面もあります。

関連記事:HYROXで結果を出せる人の特徴


ダブルスでのローイング戦略

ダブルスでは、ローイングを2人で分担できます。

ただし、ローイングは交代に少し時間がかかる種目です。

足のストラップを外す。

立ち上がる。

次の人が座る。

ストラップを締める。

この一連の動作に時間がかかるため、交代を細かくしすぎるとタイムロスが増えます。

トニーコーチは、ダブルスのローイングでは交代回数を少なめにする戦略を紹介しています。

たとえば、1人目が250m、2人目が500m、最後に1人目が250mという分け方です。

  • 1人目:250m
  • 2人目:500m
  • 1人目:250m

この方法では、交代回数を減らしながら、負担も分けられます。

ただし、これはチームの得意不得意によって変えて良い部分です。

ローイングが得意な人が多めに漕ぐ。

ランを残したい人は短めにする。

その日の状態を見て調整することも大切です。

ダブルスでは、ローイング単体ではなく、その後のランを一緒に走れる状態にすることが重要です。

関連記事:HYROXのカテゴリー(シングル/ダブルス/リレー)の違いと選び方


ローイング練習メニュー

ローイングを上達させるには、ただ1,000mを全力で漕ぐだけでは不十分です。

フォーム、ペース、ランとのつながりを分けて練習しましょう。

メニュー① フォーム確認

  • 250m × 4本
  • レスト:60〜90秒
  • 目的:脚、体幹、腕の順番を確認する

このメニューでは、速さよりフォームを優先します。

腕で引きすぎていないか、脚で押せているかを確認します。

メニュー② HYROXペース練習

  • 500m × 3本
  • レスト:2分
  • 目的:本番で使うペースを確認する

3本とも同じくらいのペースで漕ぐことを目指します。

1本目だけ速く、3本目で大きく落ちるようなら、ペース設定を見直しましょう。

メニュー③ 1,000m安定走

  • 1,000m × 1〜2本
  • 目的:本番の距離に慣れる

全力ではなく、HYROX本番で使う予定のペースで行います。

終わった後に立てないほど追い込むのではなく、次のランへ行ける余裕を残す感覚を作ります。

メニュー④ ランとの組み合わせ

  • 1kmラン
  • ローイング500m
  • 1kmラン
  • ローイング500m

これはHYROXに近い練習です。

ラン後にローイングへ入り、ローイング後にまた走る感覚を作ります。

最初から1,000mをすべて入れる必要はありません。

目的は、ランとローイングの切り替えに慣れることです。


ローイング後のランとファーマーズキャリーへどうつなぐか

HYROXでは、ローイングが終わったら、また1kmランへ向かいます。

その後には、ファーマーズキャリーが待っています。

つまり、ローイングで上半身や前腕を使いすぎると、次のキャリーに響きます。

また、ローイングで心拍を上げすぎると、次のランが重くなります。

ローイング後のランは、最初の100〜200mを落ち着いて入りましょう。

脚の感覚と呼吸を戻しながら、徐々にペースを作ります。

ローイングで完全に出し切るのではなく、次のランとキャリーまで含めて考えることが重要です。

トニーコーチも、HYROXでは一つの種目だけを切り離して考えるのではなく、次の種目へどうつなげるかを大切にしています。

ローイングは、後半戦へ入るための橋渡しです。

ここを冷静に進められると、ファーマーズキャリー以降の流れが安定します。


ウェアと補給の準備

ローイングでは、脚、体幹、背中、腕を使います。

さらに、その前後にはランニングがあります。

そのため、ウェアは走りやすく、座った状態でも動きを妨げず、汗を含んでも重くなりにくいものを選ぶことが大切です。

トニーコーチもおすすめしているSA1NTのP1 Elite Compression Shortsは、HYROXのようにランとファンクショナル種目が混ざる競技と相性が良いアイテムです。

適度なコンプレッションで脚をサポートしながら、ラン、ローイング、バーピー、ランジ、ウォールボールのような動きにも対応しやすい設計です。

また、P1 Eliteにはポケットがあるため、補給ジェルを1〜2個入れておくのにも便利です。

HYROXは1時間以上かかる選手も多いため、レース中盤でジェルを取れるようにしておくと、後半のランやウォールボールに向けたエネルギー補給として使いやすくなります。

本番で使うウェアや補給は、必ず練習で試しておきましょう。

▶ トニーコーチおすすめ:SA1NT P1 Elite Compression Shortsを見る

関連記事:HYROXレース向けシューズ・ウェア・ギアの選び方


まとめ|ローイングは後半戦へつなぐ重要な種目

HYROXのローイングは、バーピーブロードジャンプの後に登場します。

心拍が上がり、脚も重くなった状態で1,000mを漕ぐため、冷静さが必要です。

ローイングは、腕で引く種目ではありません。

脚で押し、体幹で力を伝え、最後に腕で引く。

この順番を守ることで、同じペースでも疲れ方が変わります。

HYROXでは、ローイング単体のタイムだけを考えるのではなく、次のランとファーマーズキャリーまで含めて考えることが大切です。

トニーコーチも、ローイングをただ攻める種目ではなく、呼吸を整えながら後半へつなげる区間として捉えています。

焦らず、崩れず、無駄に消耗しない。

この意識が、ローイング以降のレースを安定させます。

トニーコーチのローイングテクニークユーチューブ動画

 


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この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。

監修

板谷友弘(UFIT Tony Coach / CrossFit Uninterrupted Head Coach)

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Games Finalsの出場経験を持つ世界レベルの競技者です。

CrossFitはランニング、持久力、筋力、体操競技、ウェイトリフティングなど、あらゆる身体能力が求められる競技であり、その中で世界トップレベルに到達した日本人選手の一人です。

現在は、自身がオーナー兼ヘッドコーチを務めるCrossFit Uninterrupted(UFIT)を運営し、競技者から一般の方まで幅広く指導しています。また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして活動しています。HYROXはランニングの経験がない中も大阪大会で3位、日本人選手2位に輝きました。

選手として世界レベルを経験し、コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。

トニーコーチから一言:

「ローイングは得意な人ほど攻めたくなる種目ですが、HYROXではその後にランとファーマーズキャリーが続きます。腕だけで引かず、脚で押して、体幹で力を伝えて、最後に腕を使う。バーピーブロードジャンプの後に呼吸を整えながら、次の後半戦へつなげる意識が大切です。」

トニーコーチの情報はこちらから↓
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