ハイロックスクラスでは何をやるの?トレーニングの内容を細かく解説

カテゴリー:トレーニング|Vol.09

HYROXの人気が高まる中、UFitのHYROXクラスにも多くの参加者が集まるようになりました。

ランナー、CrossFit経験者、ジムで筋トレをしている人、初めてHYROXに挑戦する人。参加者のバックグラウンドはさまざまです。

ただ、クラスで多くの人を見ていると、HYROXで伸びる人と、なかなか伸び悩む人には共通点があります。

それは、単に「きつい練習をたくさんやっているか」ではありません。

むしろ、毎回レース形式のような練習ばかりしていると、疲れるだけで終わってしまうことがあります。

トニーコーチは、日本では過去に横浜大会、大阪大会と2回大会がありましたが、選手の伸び具合を観察して、今後の日本の大会に向けた、HYROXクラスの考え方を工夫しています。

最初は、ランとファンクショナルを混ぜて、HYROXそのものに慣れることが大切でした。

しかし、次の段階では、ランはランで底上げする。ファンクショナルはファンクショナルで技術と筋力を作る。その上で、大会が近づいたら実戦形式に戻していく。

この記事では、HYROXクラスで見えてきた参加者の課題と、伸びるためのトレーニングの考え方を、トニーコーチの視点から整理します。


目次


HYROXクラスが満員になる理由

HYROXは、日本でも一気に注目されるようになってきました。

ランニングだけではない。

筋トレだけでもない。

CrossFitだけでもない。

走って、押して、引いて、跳んで、漕いで、担いで、ランジして、最後にウォールボールを行う。

この「全部やる」競技性が、多くの人にとって新鮮で、挑戦しがいのあるものになっています。

UFitのHYROXクラスにも、さまざまなタイプの参加者が集まっています。

  • ランニングは得意だけれど、スレッドやウォールボールが不安な人
  • CrossFitは得意だけれど、ランニングに苦手意識がある人
  • ジムトレーニングはしているけれど、レース形式の運動は初めての人
  • 仲間とHYROXに出てみたい人
  • 横浜大会や大阪大会に向けて本格的に準備したい人

HYROXクラスが人気になる理由は、単に「きついから」ではありません。

自分の弱点がはっきり見えるからです。

ランだけでは足りない。

筋力だけでも足りない。

スキルだけでも足りない。

HYROXクラスでは、自分に何が足りないのかが分かりやすく出ます。

そこが、面白さでもあり、難しさでもあります。

関連記事:HYROXとはどんなスポーツ?


クラスで見えてきた参加者の共通課題

HYROXクラスで多くの参加者を見ていると、よく出てくる課題があります。

それは、体力がないという単純な話ではありません。

むしろ、走れる人もいます。

筋力がある人もいます。

CrossFitの動きに慣れている人もいます。

それでも、HYROXになると崩れることがあります。

理由は、HYROXが「単体の能力」ではなく、「組み合わせの競技」だからです。

1kmランだけなら走れる。

スレッドプッシュだけなら押せる。

ウォールボールだけならできる。

でも、ランの後にスレッドを押し、スレッドの後にまた走り、最後に脚が疲れた状態でウォールボールを100回行うと、まったく別の難しさになります。

トニーコーチがHYROXクラスで見ているのは、単に「速いか遅いか」ではありません。

どこで崩れているのか。

どこで止まっているのか。

どこで無駄に消耗しているのか。

そこを見つけて、練習の中で修正していくことが重要です。


課題① いきなり全部を混ぜすぎる

HYROXに出るとなると、多くの人がすぐに「HYROXっぽい練習」をやりたくなります。

1km走って、スレッドを押して、また走って、バーピーをして、また走る。

もちろん、これは本番に近い練習です。

しかし、最初から毎回この形だけをやると、ただ疲れる練習になりやすいです。

トニーコーチは、HYROXの練習でも段階が大切だと考えています。

まずは、ランはランで作る。

スレッドはスレッドで作る。

ウォールボールはウォールボールで作る。

ローイングやスキーエルゴも、それぞれ正しい使い方を身につける。

その上で、ランとファンクショナルを組み合わせていく。

この順番が重要です。

CrossFitでマッスルアップを覚える時も、いきなり疲れた状態のワークアウトの中で成功させようとはしません。

まず単体で動きを作り、回数を増やし、少し疲れた状態で行い、最後にワークアウトの中で使えるようにします。

HYROXも同じです。

いきなり全部を混ぜるのではなく、一つ一つの能力を作ってから組み合わせる方が、長期的には伸びやすくなります。

関連記事:HYROXタイプ別:これからやるべきトレーニング方法


課題② スレッドやウォールボールを気合いで乗り切ろうとする

HYROXの種目は、見た目だけならシンプルです。

スレッドを押す。

ロープを引く。

ボールを投げる。

サンドバッグを担いでランジする。

ただ、そのシンプルさが落とし穴になることがあります。

「とにかく頑張ればできる」と思ってしまうからです。

しかし、HYROXでは、気合いだけで進めると後半に大きく失速します。

スレッドプッシュでは、体の角度、足の置き方、押すリズムが重要です。

スレッドプルでは、腕だけで引くのではなく、足で踏ん張り、体重移動を使う必要があります。

ウォールボールでは、スクワットの深さ、ボールの投げ方、呼吸、セットの分け方が重要です。

トニーコーチも、直前期には練習量を増やすより、スキルを見直すことが大事だと話しています。

大会前に焦って練習量を増やすより、動きの効率を上げる方が、結果につながる場合があります。

HYROXでは、気合いで押し切るより、無駄なく進む技術が大切です。

関連記事:HYROX種目②スレッドプッシュ攻略法


課題③ ランナーは筋力、CrossFit経験者はランが足りない

HYROXクラスには、いろいろなタイプの参加者がいます。

その中で、よく見えるのがバックグラウンドごとの課題です。

ランナーの課題

ランナーは、1kmランを8回行うHYROXで大きな強みを持っています。

走ることへの抵抗が少なく、ペース感覚もあります。

しかし、スレッドプッシュ、スレッドプル、ウォールボール、サンドバッグランジで止まりやすい場合があります。

特に、普段のランニングでは使わない「重さを扱う力」が課題になりやすいです。

ランナーは、ただ走るだけでなく、スクワット、ランジ、デッドリフト、キャリーなど、ベースとなる筋力を作ることが必要です。

CrossFit経験者の課題

CrossFit経験者は、ローイング、スキーエルゴ、ウォールボール、ランジ、重いものを扱う動きに慣れていることが多いです。

一方で、HYROXではランが課題になりやすいです。

トニーコーチ自身も、CrossFitを約10年続けてきた中で、ランニングはほとんどやってこなかったと話しています。

ジムの中で40分、60分動ける体力があっても、1kmランを8回、種目の後に走り続ける力は別物です。

CrossFit経験者は、ファンクショナルの強さを活かしながら、ランを計画的に入れていく必要があります。

関連記事:HYROX向けラントレーニング|CrossFit経験者が走力を上げる方法


課題④ 毎回レース形式をやりたがる

HYROXの練習で多いのが、毎回レース形式に近いことをやりたくなるパターンです。

もちろん、本番を想定した練習は必要です。

ただし、毎回そればかりでは、弱点を改善しにくくなります。

レース形式の練習は、全体の流れを確認するには有効です。

しかし、どこが弱いのかを細かく修正するには、少し大きすぎる練習になります。

たとえば、スレッドプルが苦手な人が、毎回通し練習の中でスレッドプルをやっても、疲れた状態でなんとなく引くだけになりやすいです。

ウォールボールが苦手な人も、最後に疲れた状態で100回やるだけでは、フォームの改善がしにくくなります。

トニーコーチが大切にしているのは、まず一つ一つを見直すことです。

ランはラン。

スレッドはスレッド。

ウォールボールはウォールボール。

それぞれを一度分けて練習し、その後に組み合わせる。

この方が、ただ疲れる練習ではなく、伸びる練習になります。


トニーコーチがクラスを分けて考える理由

トニーコーチは、HYROXクラスの内容を時期によって変えています。

横浜大会に向けた時期は、参加者の多くがHYROXに慣れていない段階でした。

そのため、ランとファンクショナルを混ぜて、まずHYROXという競技そのものに慣れる練習が多くなりました。

しかし、大会を一度経験した人が増え、次の大阪大会に向けて時間がある段階では、考え方が変わります。

もう一度、ランとファンクショナルを分けて、それぞれの能力を底上げする。

ラン中心の日を作る。

ファンクショナル中心の日を作る。

そして、大会が近づいたら実戦形式に戻していく。

これは、ただクラスのバリエーションを増やすためではありません。

HYROXで必要な能力を、段階的に伸ばすためです。

最初から最後まで毎回同じような高強度のクラスでは、弱点が見えにくくなります。

時期によって目的を分けることで、レースに向けた準備がしやすくなります。


ラン中心の日にやるべきこと

HYROXのラン中心の日は、ただ長く走るだけではありません。

目的は、HYROXで必要なランニング能力を作ることです。

HYROXでは、1kmランを8回行います。

そのため、長くゆっくり走るベースも必要ですし、1kmを一定ペースで走る力も必要です。

ベース作りのジョグ

まず必要なのは、ゆっくり長く走る力です。

会話ができるくらいのペースで、30〜60分程度走ります。

これは心肺の土台を作るだけでなく、脚をランニングの反復衝撃に慣らす意味もあります。

1kmインターバル

HYROXと相性が良いのが、1kmインターバルです。

1km走って、1〜2分ジョグでつなぎ、また1km走る。

本番の1kmランに近いリズムを作りやすい練習です。

テンポ走

20〜30分、ややきついけれど維持できるペースで走る練習も有効です。

トニーコーチも、HYROXでは乳酸閾値に近いペースで走る能力が重要だと話しています。

ラン中心の日は、「ただ距離を稼ぐ日」ではありません。

ベース、1kmのリズム、きつい中で維持する力を、目的別に作る日です。


ファンクショナル中心の日にやるべきこと

ファンクショナル中心の日は、ただ全身を疲れさせる日ではありません。

HYROXの種目を、効率よく、安定して、レース後半でも崩れにくくするための日です。

スレッドプッシュ・スレッドプル

スレッドは、力だけでなく技術が必要です。

押す時の体の角度、足の置き方、地面を押す感覚。

引く時のロープ処理、足の踏ん張り、体重移動。

これらを丁寧に練習することで、レース中の無駄な消耗を減らせます。

ウォールボール

ウォールボールは、最後に出てくる種目です。

元気な状態でできるだけでは不十分です。

ただし、最初から毎回疲れ切った状態で100回やる必要もありません。

まずはフォームを作り、ターゲットに正確に当てる技術、呼吸、セットの分け方を練習します。

ローイング・スキーエルゴ

ローイングやスキーエルゴは、得意な人ほど飛ばしすぎることがあります。

しかしHYROXでは、ここで無駄に消耗すると次のランに響きます。

1回1回のストロークを効率よく行い、同じペースでも少ない力で進めるようにすることが大切です。

関連記事:HYROX種目①スキーエルゴ攻略法

関連記事:HYROX種目⑤ローイング攻略法


大会が近づいたら実戦形式へ移行する

ランとファンクショナルを分けて底上げしたら、大会が近づくにつれて実戦形式に移行します。

ここで大切なのは、いきなり毎回フルレースのような練習をすることではありません。

まずは部分的に組み合わせます。

  • 1kmラン + スレッドプッシュ
  • 1kmラン + スレッドプル
  • 1kmラン + バーピーブロードジャンプ
  • 1kmラン + サンドバッグランジ
  • 1kmラン + ウォールボール

特に重要なのは、種目の後のランです。

HYROXでは、種目を終えた瞬間に安心してはいけません。

そこからまた走れるかが、タイムに大きく影響します。

大会が近づいたら、トランジション、補給、シューズ、ウェア、ペース配分も含めて確認していきます。

本番に近い練習は、能力を作るというより、本番で失敗しないための確認でもあります。


少人数クラスがHYROXに向いている理由

HYROXクラスでは、人数設定も重要です。

スレッド、ローイングマシン、スキーエルゴ、ウォールボール、サンドバッグなど、使う機材が多いからです。

人数が多すぎると、一人ひとりが十分に動けないことがあります。

また、スレッドの順番待ちが長くなったり、コーチがフォームを細かく見られなくなったりします。

トニーコーチは、クラスの強度や質を上げるために、人数を絞ることも考えています。

これは、単に少人数の方が快適だからではありません。

HYROXでは、動きの質がタイムに直結します。

スレッドの押し方、ロープの扱い方、ウォールボールのフォーム、ローイングのストローク。

こうした細かい部分を見直すには、コーチが見られる人数で行うことが重要です。

きついだけの大人数クラスより、目的が明確で、動きを修正できるクラスの方が、HYROXには向いています。


伸びる人は「きつい練習」より「目的のある練習」をしている

HYROXはきつい競技です。

だから、練習もきつくなりやすいです。

しかし、きつい練習をしたからといって、必ず伸びるわけではありません。

伸びる人は、練習の目的がはっきりしています。

今日はランのベースを作る日。

今日はスレッドの技術を見直す日。

今日はウォールボールのセットの分け方を試す日。

今日はレースペースで1kmを維持する日。

今日はラン後にファンクショナルへ入る感覚を確認する日。

このように、目的を分けて練習しています。

逆に、毎回「とにかく全部きつくやる」だけでは、どこが改善したのか分かりにくくなります。

HYROXで伸びるためには、追い込む日も必要です。

しかし、それ以上に、何のためにその練習をしているのかを理解することが大切です。


ウェアと補給もクラス練習で試しておく

HYROXでは、ウェアや補給も本番前に試しておくべきです。

レース当日に初めて使うシューズ、初めて着るウェア、初めて飲むジェルは避けた方が安全です。

クラス練習の中で、実際に走り、しゃがみ、跳び、押し、担いだ時に問題がないか確認しておきましょう。

トニーコーチもおすすめしているSA1NTのP1 Elite Compression Shortsは、HYROXのようにランとファンクショナル種目が混ざる競技と相性が良いアイテムです。

適度なコンプレッションで脚をサポートしながら、動きやすさも確保しやすく、レース中の摩擦対策にもつながります。

また、P1 Eliteにはポケットがあるため、補給ジェルを1〜2個入れておくのにも便利です。

HYROXは1時間以上かかる選手も多いため、レース中盤でジェルを取れるようにしておくと、後半のランやウォールボールに向けたエネルギー補給として使いやすくなります。

本番で使う予定のウェアやジェルは、クラス練習の段階で試しておくことが大切です。

▶ トニーコーチおすすめ:SA1NT P1 Elite Compression Shortsを見る

関連記事:HYROXレース向けシューズ・ウェア・ギアの選び方


まとめ|HYROXクラスは、ただ追い込む場所ではない

HYROXクラスは、ただきつい練習をする場所ではありません。

自分の弱点を見つける場所です。

ランが足りないのか。

スレッドで止まるのか。

ウォールボールで崩れるのか。

トランジションで迷うのか。

疲れた後のランでフォームが崩れるのか。

そうした課題を一つずつ見つけて、改善していくための場所です。

トニーコーチがHYROXクラスで大切にしているのは、時期に合わせて練習の目的を変えることです。

最初はHYROXに慣れる。

次に、ランとファンクショナルを分けて底上げする。

大会が近づいたら、実戦形式でつなげる。

この流れで準備することで、ただ疲れるだけではなく、レースで使える力がついていきます。

HYROXで伸びる人は、毎回全力で追い込む人ではありません。

自分の課題を理解し、目的を持って練習できる人です。


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この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。

監修

板谷友弘(UFIT Tony Coach / CrossFit Uninterrupted Head Coach)

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Games Finalsの出場経験を持つ世界レベルの競技者です。

CrossFitはランニング、持久力、筋力、体操競技、ウェイトリフティングなど、あらゆる身体能力が求められる競技であり、その中で世界トップレベルに到達した日本人選手の一人です。

現在は、自身がオーナー兼ヘッドコーチを務めるCrossFit Uninterrupted(UFIT)を運営し、競技者から一般の方まで幅広く指導しています。また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして活動しています。HYROXはランニングの経験がない中も大阪大会で3位、日本人選手2位に輝きました。

選手として世界レベルを経験し、コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。

トニーコーチから一言:

「HYROXの練習は、ただ毎回きつく追い込めばいいわけではありません。最初はランとファンクショナルを混ぜて慣れることも大切ですが、次の段階ではランはラン、ファンクショナルはファンクショナルで一度分けて底上げすることが必要です。その上で大会が近づいたら、実戦形式に戻していく。目的を持って練習できる人ほど、レースで大きく変わると思います。」

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