ハイロックス種目②スレッドプッシュ攻略法

カテゴリー:8種目攻略|Vol.12

HYROXの3つ目のファンクショナル種目が、スレッドプルです。

スキーエルゴ、スレッドプッシュを終えた後に登場する、ロープを使って重いスレッドを引く種目です。

見た目は単純です。ロープを持って、スレッドを50m引くだけ。

しかし、実際にはかなり難しい種目です。

腕だけで引こうとすると、前腕がすぐに疲れます。

背中だけで引こうとすると、腰に負担がかかります。

足で踏ん張れないと、体が後ろに流れるだけでスレッドが動きません。

さらに、ロープのたるみ、ロープ処理、床の滑り方によって、同じ重さでも本番の感覚が大きく変わります。

トニーコーチも、HYROX大阪の振り返りで、スレッドプルは想定より重く感じ、前腕、グリップ、腰まわりにかなり負担が来たと話しています。

この記事では、HYROX種目③スレッドプルの基本、よくある失敗、効率の良い引き方、ロープ処理、練習方法、レースでの戦略を、トニーコーチの視点を交えて解説します。


目次


HYROXのスレッドプルとは?

HYROXのスレッドプルは、ロープを使って重いスレッドを引く種目です。

スレッドプッシュの次に登場し、50mを進めます。

前の種目であるスレッドプッシュですでに脚と心肺を使っているため、スレッドプルに入る時点で体はかなり重くなっています。

ここで重要なのは、ただ腕で引くことではありません。

足で踏ん張り、体幹を固め、体重移動を使って、ロープを引きます。

HYROXのスレッドプルは、筋力だけでなく技術の差が出やすい種目です。

ロープをどう持つか。

どの位置に足を置くか。

どのタイミングで引くか。

引いたロープをどう処理するか。

この一つ一つで、疲れ方とタイムが大きく変わります。

関連記事:HYROX種目②スレッドプッシュ攻略法


スレッドプルが難しい理由

スレッドプルが難しい理由は、単に重いからではありません。

力を出す方向と、体を安定させる方向が難しいからです。

スレッドプッシュでは、自分の体をスレッドに預けながら、前に押すことができます。

一方、スレッドプルでは、ロープを引いた時に自分の体も前に引っ張られます。

そのため、足で地面をしっかりつかみ、体が流れないように踏ん張る必要があります。

さらに、ロープはたるみます。

引いたつもりでも、最初はロープのたるみを取っているだけで、スレッドに力が伝わっていないことがあります。

トニーコーチも、レースの振り返りで、ロープのたるみや伸びのような感覚により、力がすぐに伝わりにくかったと話しています。

つまり、スレッドプルでは、ただ強く引くのではなく、力がスレッドに伝わる状態を作ることが重要です。


腕だけで引くと失速する

スレッドプルで最も多い失敗は、腕だけで引くことです。

ロープを手で持つため、どうしても腕で引きたくなります。

しかし、腕だけで引くと前腕、上腕、背中がすぐに疲れます。

HYROXでは、この後にバーピーブロードジャンプ、ローイング、ファーマーズキャリー、サンドバッグランジ、ウォールボールが残っています。

前腕や背中をここで使い切ると、後半の種目にも影響します。

スレッドプルでは、腕はロープをつかむために使います。

実際に大きな力を出すのは、足、体幹、背中、体重移動です。

腕だけで引いている感覚が強い人は、体の使い方を見直す必要があります。

引く前に足を決める。

体幹を固める。

ロープのたるみを取る。

そこから体全体で引く。

この順番が大切です。


足で踏ん張ることが最重要

スレッドプルでは、足の位置と踏ん張りが非常に重要です。

足元が安定していなければ、どれだけ上半身が強くても力が逃げます。

ロープを引いた時に、体が前に持っていかれるだけで、スレッドがあまり動かない。

これは、足で地面を押せていない状態です。

足は、ただ立っているだけではなく、地面をつかむように使います。

膝を軽く曲げ、腰を落としすぎず、体幹を固めます。

そこから、ロープを引く動きと同時に、足で地面を押します。

足で踏ん張る力があると、ロープを引いた時に体が安定し、力がスレッドに伝わりやすくなります。

特にランナータイプの人は、走る脚は強くても、重いものを引くための踏ん張りに慣れていないことがあります。

スレッドプルでは、走る力とは違う脚の使い方が必要です。


ロープのたるみとロープ処理

スレッドプルでタイムロスが出やすいのが、ロープの扱いです。

トニーコーチも、レースの振り返りで、ロープのたるみやロープ処理の難しさについて話しています。

ロープにたるみがある状態で引くと、最初の力がスレッドに伝わりません。

引いたつもりでも、ロープが伸びるような感覚になり、スレッドが思ったほど動かないことがあります。

まずは、引く前にロープのたるみをできるだけ取ることが大切です。

そして、引いた後のロープを自分の足元にためすぎないことも重要です。

ロープを踏むと、次の動作が止まります。

ロープが絡まると、修正に時間がかかります。

トニーコーチも、レース中にロープを踏んでしまい、ロープワークはもっと練習しておくべきだったと振り返っています。

スレッドプルは、筋力種目であると同時に、ロープワークの種目です。

ロープを引く練習だけでなく、引いたロープをどう処理するかまで練習しておきましょう。


スレッドプルでよくある失敗

失敗① 腕だけで引く

腕だけで引くと、前腕と背中がすぐに疲れます。

最初は動いても、後半で引けなくなります。

足、体幹、体重移動を使うことが必要です。

失敗② ロープのたるみを取らずに引く

ロープがたるんだ状態で引くと、力がスレッドに伝わりません。

まずはロープを張り、力が伝わる状態を作ってから引きましょう。

失敗③ 足元が不安定

足が滑ったり、体が前に流れたりすると、スレッドは進みません。

シューズのグリップと、足の置き方が重要です。

失敗④ 腰だけで引く

腰を反らせたり、背中だけで引こうとすると、腰まわりに負担がかかります。

体幹を固め、足と体全体で引くことが大切です。

失敗⑤ ロープを踏む

引いたロープを足元にためすぎると、ロープを踏んでしまいます。

ロープを踏むと動きが止まり、転倒のリスクもあります。

ロープをどこに流すかまで意識しましょう。


効率の良いスレッドプルのフォーム

スレッドプルで効率よく引くためには、フォームとリズムが大切です。

① ロープのたるみを取る

いきなり強く引くのではなく、まずロープを張ります。

力がスレッドに伝わる状態を作ってから引き始めます。

② 足を安定させる

足は肩幅からやや広めに置き、地面をしっかり押せる位置を作ります。

膝を軽く曲げ、体が前に持っていかれないようにします。

③ 体幹を固める

腰や背中だけで引かないように、腹部を固めます。

体幹が抜けると、ロープを引いた時に姿勢が崩れます。

④ 足と体重移動で引く

腕だけでロープを引くのではなく、足で踏ん張りながら体全体で引きます。

体重を後ろに使いながら、スレッドを少しずつ動かします。

⑤ 引いたロープを処理する

引いたロープは、足元に無造作に置かないようにします。

踏まない位置に流し、次の引き動作に入れるようにします。

このロープ処理を練習しておくと、本番で余計なタイムロスを減らせます。


床や人工芝の違いに注意する

スレッドプルでは、床や人工芝の違いが大きく影響します。

同じ重さでも、床の摩擦が違うと、スレッドの重さの感じ方が変わります。

普段のジムでは引ける重さでも、本番会場では重く感じることがあります。

逆に、本番の方が軽く感じることもあります。

トニーコーチも、スレッドプッシュやスレッドプルでは、普段のジムと大会会場で感覚が違うことに触れています。

これは、HYROXでは避けられない要素です。

そのため、練習では本番より少し重めに設定したり、違う床の感覚を想定したりすることも有効です。

また、シューズのグリップも重要です。

足が滑ると、ロープを引いても力がスレッドに伝わりません。

本番で使うシューズは、ランだけでなく、スレッドプルでも必ず試しておきましょう。

関連記事:HYROXレース向けシューズ・ウェア・ギアの選び方


ランナーが注意すべきポイント

ランナータイプの人は、1kmランを安定して走れる一方で、スレッドプルに苦戦することがあります。

特に、上半身、握力、背中、体幹、踏ん張る力が課題になりやすいです。

ランニングでは、前に進むために脚をリズムよく使います。

スレッドプルでは、その脚で地面を固定し、重いものを引く必要があります。

同じ脚を使っていても、運動の性質が違います。

ランナーが意識したいのは、次のポイントです。

  • 腕だけで引かない
  • 足で踏ん張る
  • 体幹を固める
  • ロープ処理を練習する
  • スレッド後のランで焦らない

ランナーは、スレッドプルで大きく止まらないだけでも、レース全体がかなり安定します。

ランの強みを活かすためにも、スレッドプルで大きな穴を作らないことが大切です。


CrossFit経験者が注意すべきポイント

CrossFit経験者は、ロープを引く動きや高強度の全身運動に慣れている人も多いです。

そのため、スレッドプルは比較的得意になりやすい種目です。

しかし、HYROXでは注意が必要です。

CrossFitの感覚で一気に強く引こうとすると、前腕や背中を使いすぎることがあります。

スレッドプルの後には、バーピーブロードジャンプ、ローイング、ファーマーズキャリー、サンドバッグランジ、ウォールボールが残っています。

握力や背中をここで使い切ると、後半の種目に影響します。

トニーコーチも、HYROX大阪ではスレッドプルで前腕、グリップ、腰まわりに負担が来たと振り返っています。

CrossFit経験者は、力があるからこそ、力任せに引かないことが重要です。

ロープを張る。

足で踏ん張る。

体全体で引く。

ロープを処理する。

この基本を丁寧に行うことで、無駄な消耗を減らせます。

関連記事:HYROXで結果を出せる人の特徴


ダブルスでのスレッドプル戦略

ダブルスでは、スレッドプルを2人で分担できます。

ただし、分担できるから楽というわけではありません。

ロープ処理、交代のタイミング、引く距離の配分を決めておかないと、逆にタイムロスが出ることがあります。

トニーコーチは、ダブルスではスレッドプッシュと同じように、片道ごとに役割を決める戦略を取ることがあります。

ただし、スレッドプルはロープを扱うため、交代時にロープが乱れるとスムーズに引けません。

ペアで出る場合は、次の点を確認しておきましょう。

  • どちらが先に引くか
  • どの距離で交代するか
  • ロープをどこに置くか
  • 片方がきつい場合に、もう片方がどれくらい多く引けるか
  • 次のランに入る時、どちらがどれくらい疲れているか

ダブルスでは、ランは一緒に走る必要があります。

そのため、スレッドプルで片方が消耗しすぎると、次のランでチーム全体のペースが落ちます。

ファンクショナル種目を分担する目的は、次のランを一緒に走れる状態を作ることです。

関連記事:HYROXのカテゴリー(シングル/ダブルス/リレー)の違いと選び方


スレッドプル練習メニュー

スレッドプルを上達させるには、重いスレッドを引くだけでなく、ロープ処理や踏ん張りの練習も必要です。

メニュー① ロープ処理練習

  • 軽めのスレッドプル 10〜15m × 6本
  • レスト:60〜90秒
  • 目的:ロープを踏まずに処理する

このメニューでは、重さよりもロープの扱いを優先します。

引いたロープをどこに流すか、足元に絡まないかを確認します。

メニュー② 踏ん張り強化

  • 重めのスレッドプル 5〜10m × 5本
  • レスト:2〜3分
  • 目的:最初にスレッドを動かす力を作る

短い距離で、足で踏ん張って引く感覚を作ります。

腰だけで引かないように注意しましょう。

メニュー③ HYROXペース練習

  • 12.5m × 4本
  • 本番の区切りを意識する
  • レストは短め

本番の距離感に近づける練習です。

どこで休むか、どのリズムで引くかを確認します。

メニュー④ ランとの組み合わせ

  • 1kmラン
  • スレッドプル 25〜50m
  • 1kmラン

これはHYROXに近い練習です。

スレッドプル後にランへ入った時、脚、腰、前腕、呼吸がどう変わるかを確認します。

最初から毎回フルの距離で行う必要はありません。

目的は、スレッドプル後に走れる状態を作ることです。


スレッドプル後のランをどう走るか

HYROXでは、スレッドプルが終わったら、また1kmランへ向かいます。

ここで焦ると、次のバーピーブロードジャンプに大きく響きます。

スレッドプル後は、前腕や背中だけでなく、足や腰まわりにも疲労が出ます。

その状態でいきなり元のペースに戻そうとすると、フォームが崩れやすくなります。

最初の100〜200mは、リズムを戻す区間と考えましょう。

呼吸を整え、脚の動きを確認しながら、少しずつペースを戻します。

トニーコーチも、HYROXではファンクショナル種目そのものだけでなく、その後のランをどう走るかが大切だと話しています。

スレッドプルで出し切るのではなく、次のランに入れる状態で終える。

この考え方が、レース全体を安定させます。


ウェアと補給の準備

スレッドプルでは、足元の安定、体幹の固定、ロープを引く上半身の動きが必要です。

さらに、その前後にはランニングがあります。

そのため、ウェアは走りやすく、動きやすく、ずれにくいものを選ぶことが大切です。

トニーコーチもおすすめしているSA1NTのP1 Elite Compression Shortsは、HYROXのようにランとファンクショナル種目が混ざる競技と相性が良いアイテムです。

適度なコンプレッションで脚をサポートしながら、スレッド、バーピー、ランジ、ウォールボールのような動きにも対応しやすい設計です。

また、P1 Eliteにはポケットがあるため、補給ジェルを1〜2個入れておくのにも便利です。

HYROXは1時間以上かかる選手も多いため、レース中盤でジェルを取れるようにしておくと、後半のランやウォールボールに向けたエネルギー補給として使いやすくなります。

本番で使うウェアや補給は、必ず練習で試しておきましょう。

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まとめ|スレッドプルは力だけでなくロープワークが勝負

HYROXのスレッドプルは、力だけで攻略できる種目ではありません。

腕だけで引くと、前腕と背中がすぐに疲れます。

足で踏ん張れないと、力がスレッドに伝わりません。

ロープのたるみを取らないと、最初の力が無駄になります。

ロープを踏むと、タイムロスや転倒につながります。

スレッドプルで大切なのは、ロープを張り、足で踏ん張り、体幹を固め、体全体で引くことです。

そして、引いたロープをきれいに処理すること。

さらに、終わった後に次のランへつなげること。

トニーコーチも、実際のレースでスレッドプルの重さ、グリップ、腰まわりへの負担、ロープ処理の難しさを感じています。

だからこそ、練習では力任せに引くだけでなく、ロープワークと足元の安定まで確認しておくことが大切です。

スレッドプルを冷静に処理できれば、HYROX中盤の流れがかなり安定します。


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この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。

監修

板谷友弘(UFIT Tony Coach / CrossFit Uninterrupted Head Coach)

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Games Finalsの出場経験を持つ世界レベルの競技者です。

CrossFitはランニング、持久力、筋力、体操競技、ウェイトリフティングなど、あらゆる身体能力が求められる競技であり、その中で世界トップレベルに到達した日本人選手の一人です。

現在は、自身がオーナー兼ヘッドコーチを務めるCrossFit Uninterrupted(UFIT)を運営し、競技者から一般の方まで幅広く指導しています。また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして活動しています。HYROXはランニングの経験がない中も大阪大会で3位、日本人選手2位に輝きました。

選手として世界レベルを経験し、コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。

トニーコーチから一言:

「スレッドプルは、腕だけで引こうとするとすぐに前腕や腰まわりに来ます。ロープのたるみを取って、足でしっかり踏ん張って、体全体で引くことが大切です。僕自身もレースでロープ処理の難しさを感じたので、練習ではロープを踏まないこと、絡ませないことまで確認しておくと、本番でかなり落ち着いて対応できると思います。」

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