ハイロックスとはどんなスポーツ?

カテゴリー:入門|Vol.02

最近、日本でも一気に名前を聞くようになった「HYROX(ハイロックス)」。

ただ、初めて聞いた人にとっては、少し分かりにくいスポーツでもあります。

「HYROXってランニングの大会なの?」

「筋トレの大会なの?」

「CrossFitと何が違うの?」

「初心者でも出られるの?」

そんな疑問を持つ方も多いはずです。

HYROXは、簡単に言うと、1kmのランニングと、8つのファンクショナル種目を交互に行うフィットネスレースです。

マラソンほど長く走るわけではありません。しかし、ただ筋力が強いだけでも完走できません。

走る力、押す力、引く力、担ぐ力、跳ぶ力、そして最後まで動き続ける持久力が必要になります。

この記事では、HYROXとはどんなスポーツなのか、レースの流れ、8種目の内容、CrossFitやジム筋トレとの違い、初心者が最初に準備すべきことまで、トニーコーチの視点を交えて分かりやすく解説します。


目次


HYROXとはどんなスポーツ?

HYROXは、ランニングとファンクショナルムーブメントを組み合わせた、国際的なフィットネスレースです。

競技の中心にあるのは、8kmのランニング8つのファンクショナル種目です。

ファンクショナルムーブメントとは、日常動作やスポーツ動作に近い、全身を使う運動のことです。たとえば、押す、引く、担ぐ、しゃがむ、立ち上がる、跳ぶ、歩く、走るといった動きです。

HYROXでは、1km走るたびに1つの種目を行います。それを8回繰り返します。

つまり、合計すると、

  • ランニング:1km × 8回 = 合計8km
  • ファンクショナル種目:8種目

この2つを組み合わせたレースになります。

普通のランニング大会なら、走力が高い人が有利です。普通の筋トレなら、筋力が高い人が有利です。

しかし、HYROXはその中間です。

走れるだけでも足りません。重いスレッドを押す力や、サンドバッグを担いでランジを続ける力も必要です。

逆に、筋力があるだけでも足りません。種目が終わるたびに、また1km走らなければいけないからです。

トニーコーチも、CrossFitで世界レベルの経験を持ちながらHYROXに本格的に取り組んだ中で、最も強く感じたのは「HYROXは思っている以上にランのレース」だということでした。

CrossFitで培った筋力やパワーは大きな武器になります。しかし、HYROXでは、その力を発揮した後に、また走れるかどうかが大きな差になります。

大阪大会の振り返りでも、トニーコーチは上位選手との差について、ファンクショナル種目だけではなく、1kmごとのランで15〜20秒ずつ差が出ることの大きさを話しています。1本では小さな差に見えても、8本積み重なると2〜3分の差になります。

HYROXでは、この「少しずつ落ちるラン」が、最終タイムに大きく響きます。

関連記事:これを読めばバッチリ。HYROX完全版Q&A:種目・カテゴリー・攻略・ギア選び


基本ルールは「1kmラン × 8回」+「8種目」

HYROXの基本構成はとてもシンプルです。

まず1km走ります。その後、1つ目の種目を行います。

また1km走ります。その後、2つ目の種目を行います。

これを8回繰り返します。

  1. 1kmラン
  2. スキーエルゴ
  3. 1kmラン
  4. スレッドプッシュ
  5. 1kmラン
  6. スレッドプル
  7. 1kmラン
  8. バーピーブロードジャンプ
  9. 1kmラン
  10. ローイング
  11. 1kmラン
  12. ファーマーズキャリー
  13. 1kmラン
  14. サンドバッグランジ
  15. 1kmラン
  16. ウォールボール

最後のウォールボールを終えたら、フィニッシュです。

この「順番が固定されている」という点が、HYROXの大きな特徴です。

CrossFitのように、毎回違うワークアウトが出るわけではありません。世界中の大会で基本的に同じ流れで行われるため、事前に準備しやすく、自分の成長もタイムで比較しやすい競技です。

初めての人でも、やるべきことが明確です。

「どの種目が苦手なのか」

「ランでどれくらい落ちているのか」

「どこで休みすぎているのか」

レース後に結果を見れば、次に何を練習すべきかが見えやすいのも、HYROXの面白いところです。


HYROXの8種目一覧

HYROXには、8つのファンクショナル種目があります。

どれも見た目はシンプルです。しかし、8kmのランニングと組み合わさることで、難易度が一気に上がります。

トニーコーチも、HYROXについて「動き自体はシンプルでも、ランと組み合わさることで全然違う」と話しています。普通にローイングをする、普通にウォールボールをする、普通にランジをする。それだけならできる人も多いです。

しかし、HYROXではその前後に必ずランがあります。

ここが、ただの筋トレや、ただのランニングとは違うところです。

① スキーエルゴ 1,000m

スキーエルゴは、スキーのポール動作に近いマシン種目です。

腕だけで引くと、すぐに肩や腕が疲れます。大切なのは、脚、体幹、腕を連動させて、全身で引くことです。

最初の種目なので、ここで飛ばしすぎると後半のランやスレッドに響きます。トニーコーチも、レースではスキーを落ち着いたストロークで入り、呼吸を乱しすぎないことを意識していました。

関連記事:HYROX種目①スキーエルゴ(Concept2)徹底解説

② スレッドプッシュ 50m

スレッドプッシュは、重いソリのような器具を押して進む種目です。

脚力だけでなく、体幹の固定、上半身の安定、地面を押す力が必要になります。

HYROX初心者が最初に驚きやすい種目の一つです。普段ランニングをしている人でも、スレッドの重さに慣れていないと、ここで一気に脚を使ってしまいます。

また、ジムによって床の材質や人工芝の滑り方が違うため、普段の練習より本番が重く感じることもあります。トニーコーチも、実際の大会では「普段のジムとスレッドの感覚が違う」ことを振り返っています。

関連記事:HYROX種目②スレッドプッシュ攻略法

③ スレッドプル 50m

スレッドプルは、ロープを使ってスレッドを引く種目です。

腕だけで引くと前腕や背中がすぐに疲れます。大切なのは、足で踏ん張り、体重移動を使って引くことです。

また、ロープの処理も重要です。ロープを踏んだり、絡ませたりすると、余計なタイムロスになります。

トニーコーチも、レースの振り返りで、ロープのたるみやロープ処理の難しさについて話しています。力があっても、ロープの扱いに慣れていないとスムーズに引けません。

関連記事:HYROX種目③スレッドプル攻略法

④ バーピーブロードジャンプ 80m

バーピーブロードジャンプは、バーピーをして前方へジャンプしながら進む種目です。

一発一発を大きく跳ぼうとすると、脚と心肺が一気に削られます。

トニーコーチの考え方では、ここは「大きく跳ぶ」よりも「リズムを崩さず進む」ことが大切です。

特に中盤以降は、呼吸が乱れすぎると次のランに大きく影響します。

また、本番ではラインや手を置く位置など、細かいルールがあります。動作そのものだけでなく、ルールを理解しておくこともタイムロスを防ぐポイントです。

関連記事:HYROX種目④バーピーブロードジャンプ攻略法

⑤ ローイング 1,000m

ローイングは、ローイングマシンを使う種目です。

ここも腕だけで引く種目ではありません。脚で押し、体幹を使い、最後に腕で引くという順番が大切です。

バーピーブロードジャンプの後なので、心拍がかなり上がった状態で入る人も多い種目です。

ここで焦って漕ぎすぎるよりも、ストロークを丁寧にして、呼吸を整えながら進めることが後半につながります。

トニーコーチも、レースではローイングを「回復しながら進める種目」として使う意識を持っていました。得意種目だから全力で攻めるのではなく、全体の流れを考えてペースを決めることが重要です。

関連記事:HYROX種目⑤ローイングマシン(Concept2)攻略法

⑥ ファーマーズキャリー 200m

ファーマーズキャリーは、両手に重りを持って歩く種目です。

見た目はシンプルですが、実際には握力、肩、体幹、姿勢保持がかなり消耗します。

限界まで我慢してから置くより、計画的に短く休む方が結果的に速く進めることもあります。

また、走れる人はここで少しでもテンポよく進むことで、タイム短縮につながります。トニーコーチも、ここは「歩いて終わらせるだけ」ではなく、速い人にとっては短く終わらせたい区間だと考えています。

関連記事:HYROX種目⑥ファーマーキャリー攻略法

⑦ サンドバッグランジ 100m

サンドバッグランジは、サンドバッグを担いだ状態でランジをしながら進む種目です。

ここまでにラン、スキー、スレッド、バーピー、ロー、キャリーを終えています。

つまり、脚はすでにかなり疲れています。

その状態でフォームを崩さず、膝をつき、立ち上がり、前に進む必要があります。

上半身を安定させること、サンドバッグを落とさないこと、無理に大股にしすぎないことがポイントです。

トニーコーチも、ランジでは脚だけでなく上半身の使い方や姿勢の安定が重要だと感じています。疲れている時ほど、フォームが崩れやすい種目です。

関連記事:HYROX種目⑦サンドバッグランジ攻略法

⑧ ウォールボール 100回

最後の種目がウォールボールです。

スクワットをして、ボールをターゲットに投げ上げる動作を100回行います。

元気な状態ならできる動作でも、HYROXでは最後に出てきます。

ここで脚が止まる人は少なくありません。

最初から大きなセットでやり切ろうとするより、10回ずつ、または5回ずつなど、自分に合った分け方で進める方が安定します。

トニーコーチも、大阪大会では本来もっと連続で行きたかったものの、脚にかなり来ていたため、途中から10回ずつ刻む戦略に変えています。最後の種目は、理想の作戦よりも、その日の状態に合わせて崩れない方法を選ぶことが大切です。

関連記事:HYROX種目⑧ウォールボール攻略法


HYROXが人気になっている理由

HYROXが人気になっている理由は、いくつかあります。

理由① やることが分かりやすい

HYROXは、種目と順番が決まっています。

これは初心者にとって大きな安心材料です。

何を練習すればいいか分からない競技ではなく、最初から「この8種目と8kmランを準備すればいい」と分かっています。

理由② ランナーもジム好きも挑戦できる

ランナーは、8kmのランニング能力を活かせます。

ジムで筋トレをしている人は、スレッド、キャリー、ランジ、ウォールボールなどで強みを活かせます。

CrossFit経験者は、ファンクショナルムーブメントへの対応力を活かせます。

つまり、いろいろなバックグラウンドの人が挑戦しやすい競技です。

理由③ 自分の成長がタイムで見える

HYROXは、毎回の形式が決まっています。

そのため、1回目より2回目、2回目より3回目と、自分の成長をタイムで確認しやすいです。

「ランが速くなった」

「スレッドで止まらなくなった」

「ウォールボールを細かく刻まずできた」

こうした変化が、レース結果にそのまま表れます。

理由④ 仲間と出やすい

HYROXには、シングルだけでなく、ダブルスやリレーもあります。

いきなり1人で全部やるのが不安な人でも、仲間と一緒に挑戦できます。

ダブルスでは、ランは一緒に走りながら、ファンクショナル種目は2人で分担できます。トニーコーチも、ダブルスでは「誰が先に種目へ入るか」「ランが得意な人をどう休ませるか」「交代を細かくするか少なくするか」といった戦略が重要だと話しています。

ただ運動するだけでなく、仲間と作戦を立てる面白さがあるのも、HYROXの魅力です。


普通のジム筋トレとHYROXの違い

ジムでの筋トレとHYROXは、どちらも体を鍛えるものですが、目的が違います。

一般的なジム筋トレは、特定の筋肉を鍛えることが中心になります。

胸を鍛える、背中を鍛える、脚を鍛える、肩を鍛える。

もちろん、それはとても大切です。

しかし、HYROXでは、筋肉を単独で使うというよりも、全身を連動させて動く力が求められます。

たとえば、スレッドプッシュでは脚だけではなく、体幹と上半身の固定が必要です。

スレッドプルでは、腕だけではなく、足で踏ん張る力と体重移動が必要です。

サンドバッグランジでは、脚の筋力だけでなく、バランス、姿勢、呼吸のコントロールが必要です。

つまり、ジム筋トレが「体を作る」要素が強いとすれば、HYROXは「作った体をどう動かすか」が問われる競技です。

トニーコーチの言葉に近い形で言うなら、HYROXはジムの中だけで完結するトレーニングではありません。走って、戻ってきて、重いものを押して、また走る。その繰り返しです。

筋肉をつけるだけではなく、その筋肉を使って、走り、押し、引き、担ぎ、跳び、最後まで動き続ける。

そこがHYROXの面白さです。


CrossFitとHYROXの違い

CrossFitとHYROXは、どちらも高強度で、全身を使うトレーニングです。

しかし、競技として見ると大きな違いがあります。

違い① レース時間

CrossFitのワークアウトは、短時間で高強度のものが多くあります。

一方、HYROXは1時間以上動き続ける人が多い、持久系のフィットネスレースです。

この時間の長さが、体の使い方を大きく変えます。

HYROXでは、序盤から全力で攻めすぎると、後半のランが一気に崩れます。

違い② 内容が固定されているか

CrossFitは、ワークアウトの内容が毎回変わります。

それに対して、HYROXは種目と順番が決まっています。

そのため、HYROXは事前に準備しやすい競技です。

違い③ 動作の難易度

CrossFitには、マッスルアップ、逆立ち歩き、スナッチ、クリーン&ジャークなど、高い技術を必要とする動作が含まれます。

HYROXの動作は、それに比べるとシンプルです。

走る、押す、引く、担ぐ、ランジする、ボールを投げる。

ただし、シンプルだから簡単という意味ではありません。

動作はシンプルでも、疲れた状態で繰り返すから難しいのです。

違い④ CrossFit経験者ほどランが課題になりやすい

トニーコーチ自身も、CrossFitを長くやってきた中で、ローイング、スキー、ウォールボール、ランジ、重いものを扱う動作には強みがありました。

しかし、HYROXに本格的に取り組む中で、最も課題として見えてきたのがランニングでした。

CrossFitでは、40分や60分の長いワークアウトを行うこともあります。しかし、トニーコーチは、ジムの中での長時間ワークアウトの体力と、HYROXで必要なランニングの体力は別物だと感じています。

つまり、CrossFitが強いからといって、HYROXのランが自動的に速くなるわけではありません。

ファンクショナル種目が得意でも、1kmランを8回、落とさず走るには、別の準備が必要です。

違い⑤ 体型への影響

トニーコーチは、CrossFitとHYROXの両方を経験した中で、体型の変化も感じています。

CrossFitは、筋肉量を増やしながら強い体を作る方向に向きやすいです。

一方、HYROXはランニング量が多くなるため、よりスマートに絞れていく人もいます。

もちろん、どちらが良い悪いではありません。

筋肉をしっかりつけたいのか、走れる体にしたいのか、強くて動ける体にしたいのか。

自分の目的に合わせて選ぶことが大切です。

関連記事:HYROXとCrossFitの違い8つ&どっちが痩せる?体型の変化を徹底比較


HYROXに向いている人

HYROXは、特別なアスリートだけの競技ではありません。

もちろん、上位を狙うならかなり高い能力が必要です。

しかし、完走を目指す、仲間と挑戦する、自分のフィットネスレベルを試すという意味では、多くの人に向いています。

ランニングが好きな人

HYROXでは合計8km走ります。

ランニングが好きな人、または走る習慣がある人にとっては、大きな強みになります。

ただし、ランだけでは足りません。スレッドやウォールボールなど、筋力系の種目も準備する必要があります。

ジムトレーニングが好きな人

筋トレをしている人にとって、スレッド、キャリー、ランジ、ウォールボールは挑戦しがいのある種目です。

ただし、普段あまり走っていない人は、ランニングが最大の課題になります。

CrossFit経験者

CrossFit経験者は、ファンクショナルムーブメントに慣れていることが多いです。

ローイング、スキー、ウォールボール、ランジなどは、比較的取り組みやすいはずです。

一方で、トニーコーチ自身も感じたように、HYROXではランニング能力が非常に重要になります。

CrossFitで強い人ほど、「ファンクショナルはできるけど、ランで落ちる」という課題が出ることがあります。

仲間とイベントに出たい人

HYROXは、会場の雰囲気も大きな魅力です。

1人で黙々と走るレースとは少し違い、会場内では多くの選手が同時に動き、応援もあります。

仲間と一緒に出るダブルスやリレーは、初めての人にもおすすめです。


初心者はどのカテゴリーから出ればいい?

HYROXには、主にシングル、ダブルス、リレーがあります。

どれを選ぶかで、レースの負担は大きく変わります。

シングル

シングルは、1人で全部行うカテゴリーです。

8kmランも、8種目も、すべて自分で行います。

HYROXを本格的に体験したい人には一番分かりやすいカテゴリーです。

ただし、初めてで不安が大きい場合は、無理にシングルから始める必要はありません。

ダブルス

ダブルスは、2人で参加するカテゴリーです。

ランは基本的に一緒に走り、ファンクショナル種目は2人で分担できます。

ランはある程度走れるけれど、スレッドやウォールボールが不安という人には、ダブルスが向いています。

また、仲間と一緒に作戦を立てる楽しさもあります。

トニーコーチも、ダブルスでは「ランを一緒に走れるように、ファンクショナルをどう分担するか」が大事だと話しています。ランが苦手な人を少し休ませるために、ランが得意な人が先に種目に入る、最後の種目を担当するなど、細かい作戦でレース全体が変わります。

リレー

リレーは、4人で分担するカテゴリーです。

1人あたりの負担がかなり少なくなるため、初心者やチームで楽しみたい人に向いています。

まずはHYROXの雰囲気を体験したい人には、リレーも良い選択です。

選び方の目安

  • 1人で全部やってみたい:シングル
  • 仲間と出たいが、しっかりレースも味わいたい:ダブルス
  • 初心者でまず雰囲気を楽しみたい:リレー
  • ランが得意で、筋力種目が不安:ダブルス
  • 筋力はあるが、ランがかなり不安:リレーからスタートもおすすめ

関連記事:HYROXのカテゴリー(シングル/ダブルス/リレー)の違いと選び方


HYROXに必要なトレーニング

HYROXのトレーニングで大切なのは、ただ「HYROXっぽい練習」をたくさんやることではありません。

トニーコーチが強調しているのは、ランとファンクショナルを一度分けて、それぞれの能力を底上げすることです。

いきなり毎回、ランとスレッド、ランとバーピー、ランとウォールボールを組み合わせるだけでは、弱点が分かりにくくなります。

まずは、自分がどこで遅れているのかを見極めることが大切です。

トニーコーチは、CrossFitのマッスルアップを例に出して説明しています。いきなりワークアウトの中でできるようになるのではなく、まず単体で動きを練習し、次に疲れた状態で行い、最後に複数の種目と組み合わせる。

HYROXも同じです。

ランはランで作る。スレッドやウォールボールも単体で作る。その後に、ランとファンクショナルを組み合わせていく。

この段階を飛ばすと、ただ疲れる練習になってしまいます。

CrossFit経験者の場合

CrossFit経験者は、ファンクショナル種目には慣れている人が多いです。

ローイング、スキー、ウォールボール、ランジなどは、普段のトレーニング経験が活きます。

ただし、課題になりやすいのはランです。

トニーコーチも、HYROX大阪の振り返りで、上位選手との差が最も出たのはランだったと分析しています。

1kmあたり15〜20秒の差でも、8回積み重なると2〜3分の差になります。

HYROXでは、この差が大きいです。

CrossFit経験者は、週2〜3回のランニングを入れ、ゆっくりしたジョグだけでなく、1kmインターバルやレースペースに近いテンポ走も取り入れると効果的です。

トニーコーチ自身も、最初はゆっくり距離を稼ぐジョグを大切にしつつ、それだけでは足りないと感じ、レースペースに近い1kmインターバルや20〜30分のテンポ走を取り入れています。

関連記事:HYROX向けラントレーニング|CrossFit経験者が走力を上げる方法

ランナーの場合

ランナーは、8kmのランニング部分で強みを発揮できます。

しかし、スレッドプッシュ、スレッドプル、ウォールボール、サンドバッグランジなどで苦戦することがあります。

特にスレッドは、普段のランニングではあまり使わない力が必要です。

ランナーの場合は、スクワット、デッドリフト、ランジ、キャリーなど、ベースとなる筋力を高めることが重要です。

トニーコーチも、ランナータイプの人は、HYROXクラスで種目に慣れるだけでなく、その前段階としてベースのストレングスを作ることが大切だと話しています。

初心者の場合

初心者は、まず週2〜3回の運動習慣を作ることから始めましょう。

最初から完璧なHYROX練習をする必要はありません。

まずは、

  • 20〜30分のジョグ
  • スクワット
  • ランジ
  • ローイングやスキーエルゴの基本動作
  • 軽いウォールボール

このあたりから始めると、体が少しずつHYROX向けに変わっていきます。

関連記事:HYROXタイプ別:これからやるべきトレーニング方法


HYROXジムの選び方

HYROXを本格的に練習したいなら、ジム選びも重要です。

普通のジムでも筋力トレーニングはできますが、HYROX特有の種目は、専用の機材やスペースが必要になる場合があります。

ポイント① 必要な機材があるか

スキーエルゴ、ローイングマシン、スレッド、サンドバッグ、ウォールボールなど、HYROXに近い練習ができる機材があるか確認しましょう。

特にスレッドプッシュとスレッドプルは、動画を見ただけでは感覚が分かりにくい種目です。実際に重さを押す、引く、止まる、また動かすという経験が必要です。

ポイント② ジム内にスレッドを押せるスペースがあるか、外に出て走れる環境があるか

HYROXでは、スレッドプッシュ、スレッドプル、バーピーブロードジャンプ、サンドバッグランジなど、ジム内である程度のスペースを使う種目があります。

そのため、ジム内にスレッドなどを安全に押せるスペースがあるかは重要です。

さらに、HYROXはランニングの競技でもあります。ジムの中だけで完結するのではなく、外に出て十分に走れる環境があるかも確認したいポイントです。

トニーコーチも、HYROXではランとファンクショナルを両方鍛える必要があると話しています。スレッドやウォールボールだけ練習できても、ランニング環境がなければ、レースに必要な準備としては不十分です。

ポイント③ コーチがいるか

見よう見まねで始めることもできますが、効率よく上達するには、動作を見てくれるコーチがいる方が安心です。

特にスレッドプルのロープ処理、ウォールボールのフォーム、スキーエルゴやローイングの使い方は、少しの違いで疲れ方が変わります。

トニーコーチも、直前期には練習量を増やすより、スキルを見直すことが重要だと話しています。がむしゃらに量を増やすより、動きを整える方が、レース直前にはタイム短縮につながる場合があります。

ポイント④ 段階的なプログラムがあるか

単発でHYROX練習をするだけでなく、基礎、スキル、強度、実戦形式へと段階的に進めるプログラムがあるジムは、成長しやすいです。

最初から毎回レース形式だけを行うと、疲れるだけで終わってしまうこともあります。

まずは一つ一つの動きを作り、その後にランと組み合わせていくことが大切です。

トニーコーチも、横浜大会後のクラス設計について、最初はランとファンクショナルを混ぜて慣れる時期があったものの、次の大会に向けてはもう一度ランとファンクショナルを分け、それぞれを底上げしていく方針を話しています。


シューズ・ウェア・ギアの選び方

HYROXでは、シューズ選びも重要です。

基本的には、ランニングシューズをベースに考えるのがおすすめです。

なぜなら、HYROXは合計8km走るレースだからです。

ただし、柔らかすぎる厚底シューズは、スレッドプッシュやランジで不安定になることがあります。

シューズ選びのポイント

  • 8kmを走れるクッション性がある
  • スレッドで滑りにくいグリップがある
  • ランジやスクワット動作で横ブレしにくい
  • 重すぎない
  • 本番前に必ず練習で試している

CrossFitシューズは安定性がありますが、長いランには向かない場合があります。

逆に、ランニングシューズでも柔らかすぎるものは、スレッドで力が逃げる場合があります。

HYROXでは、走れること押せることのバランスが重要です。

ウェア選びのポイント

ウェアは、動きやすさ、汗処理、摩擦対策が重要です。

HYROXでは、ランニング、バーピー、ランジ、キャリー、ウォールボールなど、上下左右に大きく動きます。

そのため、ずれにくく、擦れにくく、汗を含んでも重くなりにくいウェアが向いています。

関連記事:HYROXレース向けシューズ・ウェア・ギアの選び方


HYROXとコンプレッションウェア

HYROXは、下半身への負担が大きい競技です。

8kmのランニングに加えて、スレッドプッシュ、バーピーブロードジャンプ、ファーマーズキャリー、サンドバッグランジ、ウォールボールが入ります。

つまり、走る、跳ぶ、しゃがむ、押す、担ぐという動作が何度も繰り返されます。

このような競技では、筋肉の揺れ、つまり筋振動が起こりやすくなります。

コンプレッションウェアは、筋肉に適度な圧をかけることで、ランニング中やジャンプの着地時に起こる筋肉の揺れを抑えることが期待されます。

トニーコーチも、SA1NTのコンプレッションショーツについて、主によく走る人向けに作られたものでありながら、HYROXやCrossFitのようなハイブリッドスポーツにも使いやすいと紹介しています。

HYROXでは、単に「締め付けが強い」だけでは不十分です。

走れること、動けること、擦れにくいこと、長時間快適であることが大切です。

SA1NTのコンプレッションショーツは、ランニングをベースにしながら、HYROXやCrossFitのような全身運動にも対応しやすい設計です。

特に、バーベルや床との摩擦が起こりやすいトレーニング環境でも使いやすい耐久性は、HYROXやCrossFit系のトレーニングと相性が良いポイントです。

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まとめ|HYROXは「走れる強い体」を作るスポーツ

HYROXは、1kmランと8つのファンクショナル種目を組み合わせたフィットネスレースです。

ただ走るだけではありません。

ただ筋トレが強いだけでもありません。

走った後に押せるか。

押した後にまた走れるか。

疲れた状態でもランジできるか。

最後のウォールボールまで、フォームと呼吸を崩さず動き続けられるか。

そこがHYROXの面白さです。

トニーコーチがHYROXに取り組む中で感じた大きなポイントは、ファンクショナル種目だけではなく、ランニング能力が結果を大きく左右するということです。

CrossFit経験者なら、ファンクショナルの強さを活かしながら、ランを底上げする。

ランナーなら、走力を活かしながら、スレッドやウォールボールに必要な筋力を作る。

初心者なら、まずはリレーやダブルスから、仲間と一緒に挑戦してみる。

HYROXは、それぞれのバックグラウンドから挑戦できるスポーツです。

まずは、自分に合ったカテゴリーを選び、1kmランと基本種目から少しずつ準備していきましょう。


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HYROXの入門記事、8種目攻略、トレーニング方法、大会戦略をまとめて読みたい方は、こちらのHYROX特集ページをご覧ください。

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この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。

監修

板谷友弘(UFITトニーコーチ Tony Coach / CrossFit Uninterrupted Head Coach)

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Games Finalsの出場経験を持つ世界レベルの競技者です。

CrossFitはランニング、持久力、筋力、体操競技、ウェイトリフティングなど、あらゆる身体能力が求められる競技であり、その中で世界トップレベルに到達した日本人選手の一人です。

現在は、自身がオーナー兼ヘッドコーチを務めるCrossFit Uninterrupted(UFIT)を運営し、競技者から一般の方まで幅広く指導しています。また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして活動しています。HYROXはランニングの経験がない中も大阪大会で3位、日本人選手2位に輝きました。

選手として世界レベルを経験し、コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。

トニーコーチから一言:

「HYROXは、単に走れるだけでも、単に筋力が強いだけでも足りない競技です。ランニング、筋力、持久力、そしてレース戦略のすべてが必要になります。だからこそ、ランナーにも、CrossFit経験者にも、ジムでトレーニングしている人にも、新しい挑戦として面白いスポーツだと思います。この記事が、これからHYROXに挑戦する皆さんの第一歩になれば嬉しいです。」

トニーコーチの情報はこちらから↓
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