ハイロックス種目⑧ウォールボール攻略法

カテゴリー:8種目攻略|Vol.17

HYROXの最後のファンクショナル種目が、ウォールボールです。

8kmすべてのランを走り終え、スキーエルゴ、スレッドプッシュ、スレッドプル、バーピーブロードジャンプ、ローイング、ファーマーズキャリー、サンドバッグランジまで終えた後に、最後に出てくる100回の種目です。

つまり、ウォールボールに入る時点で、体はほぼ限界に近い状態です。

息は上がっている。

脚はかなり疲れている。

体幹も肩も使っている。

その状態で、ボールを持ってフルスクワットをし、約3mのターゲットに投げ続けなければいけません。

トニーコーチ自身も、CrossFitでウォールボールをかなりやり込んできたにもかかわらず、HYROXの最後に出てくるウォールボールは「めちゃくちゃしんどかった」と話しています。

攻略の鍵は、無理に連続でやり切ろうとしないことです。

疲れがたまり切る前に少なめの回数で区切り、短く休みながら進める。

これが、結果的に一番早く100回を終わらせるための現実的な戦略です。

この記事では、HYROX種目⑧ウォールボールの基本ルール、ノーレップを避けるポイント、早めに休む戦略、足の力をボールに伝えるテクニックを、トニーコーチの解説をもとに整理します。

▶ トニーコーチのウォールボール攻略動画を見る


目次


HYROXのウォールボールとは?

HYROXのウォールボールは、最後のファンクショナル種目です。

ボールを体の前で持ち、フルスクワットをして、立ち上がる勢いを使って高いターゲットへボールを当てます。

これを100回行います。

ウォールボール単体で見れば、CrossFit経験者には馴染みのある動きです。

しかし、HYROXのウォールボールは、通常のトレーニングとは条件が違います。

最後の最後に出てくるからです。

ここまでに8kmを走り終え、7つのファンクショナル種目を終えています。

その状態で100回。

トニーコーチも、CrossFitでウォールボールをかなりやってきたにもかかわらず、HYROX本番では脚に力が残っておらず、連続では全然できなかったと話しています。

つまり、HYROXのウォールボールは、技術だけでなく、最後に残っている脚力と心肺、そして休み方が重要になる種目です。

関連記事:HYROX種目⑦サンドバッグランジ攻略法


ウォールボールは最後の最後に出てくる

ウォールボールの難しさは、種目そのものだけではありません。

出てくる順番がきついのです。

ランで言えば、8kmすべて走り終わっています。

ファンクショナル種目も、すでに7つ終えています。

スレッドで脚を使い、バーピーブロードジャンプで心肺を上げ、ローイングで全身を使い、ファーマーズキャリーで握力と体幹を使い、サンドバッグランジで脚をさらに削っています。

その後にウォールボール100回です。

元気な状態でのウォールボール100回と、HYROXの最後に出てくる100回はまったく違います。

だからこそ、ウォールボールは最初から気合いだけで突っ込む種目ではありません。

最後の種目だからこそ、冷静に割る。

ノーレップを避ける。

足の力を使って、腕に頼りすぎない。

この3つが重要です。


ウォールボールの重さと基本ルール

トニーコーチの解説では、ウォールボールの重さはカテゴリーによって変わります。

  • 男性Pro:9kg
  • 男性Open:6kg
  • 女性Pro:6kg
  • 女性Open:4kg

CrossFit経験者なら、この重さをイメージしやすいかもしれません。

しかし、ウォールボールをやったことがない人にとって、9kg、6kg、4kgのボールはかなり重く感じます。

しかも、それを約3mの高さにあるターゲットへ当てる必要があります。

基本動作は次の通りです。

  1. ボールを体の前で持つ
  2. フルスクワットをする
  3. 立ち上がる力を使ってボールを投げる
  4. ターゲットにしっかり当てる
  5. ボールを受けて、次のスクワットへ入る

1回としてカウントされるには、スクワットの深さとターゲットへのヒットが重要です。

疲れてくると、この2つが崩れやすくなります。


疲れがたまる前に、少なめで休む

トニーコーチが最初に挙げている攻略ポイントは、無理せず早めに休むことです。

ウォールボールは最後の最後に出てくるため、すでに一番疲れている状態です。

ここで無理に連続でやろうとすると、脚がさらに疲れて、しゃがめなくなったり、ボールがターゲットまで届かなくなったりします。

その結果、ノーレップが増えます。

100回やらなければいけない中でノーレップを取られると、体力的にも精神的にもかなりきつくなります。

だから、疲れがたまってから休むのではなく、疲れがたまる前に休みます。

少なめの回数で区切る。

短く休む。

またすぐ再開する。

この繰り返しが、結果的に一番早く100回を終わらせる方法になります。

限界まで我慢して大きく止まるより、早めに割って、小さく休んで、止まっている時間を短くする。

これがHYROXのウォールボールでは重要です。


初心者は5回×20セットでもいい

初心者の場合は、5回ずつに分ける方法もあります。

たとえば、5回 × 20セットです。

5回やったらボールを落とす。

1呼吸、2呼吸だけ置く。

すぐにボールを持って、また5回行う。

このように、疲労が溜まりきる前に早めに割り、短い休みで進める方が、結果的に早く終わる場合があります。

「100回をなるべく少ないセットで終える」ことが正解とは限りません。

大事なのは、ノーレップを出さず、長く止まらず、最後まで確実に積み上げることです。

中級者なら10回ずつ、上級者なら15〜25回ずつなど、自分の脚と心肺に合わせて分け方を決めます。

ただし、どのレベルでも共通するのは、疲れが完全に溜まる前に休むことです。


ノーレップを避けるための2つのポイント

ウォールボールで特に避けたいのが、ノーレップです。

トニーコーチは、ノーレップを取らないために、次の2つを意識する必要があると説明しています。

① フルスクワットをする

1つ目は、スクワットの深さです。

股関節が膝の高さよりも下に行く必要があります。

疲れてくると、少しずつしゃがみが浅くなります。

自分ではしゃがんでいるつもりでも、基準を満たしていなければノーレップになる可能性があります。

最後の種目でノーレップを取られると、精神的にもかなりきついです。

練習の段階から、疲れた状態でもしっかり深くしゃがむ感覚を作っておきましょう。

② ターゲットにしっかり当てる

2つ目は、ボールをターゲットにしっかり当てることです。

高さが足りない。

ターゲットに当たっていない。

この場合もノーレップになります。

ウォールボールは、ただボールを上に投げれば良いわけではありません。

決められた高さのターゲットに当てる必要があります。

疲れてくるとボールが飛ばなくなりやすいので、足の力をしっかり使って投げることが大切です。


足の力をボールに伝える

ウォールボールのテクニックで大切なのは、足の力をボールに伝えることです。

ボールを手で持っているため、腕で投げたくなります。

しかし、ウォールボールは腕だけで投げる種目ではありません。

トニーコーチは、足で床を押して、その勢いで最後に腕を伸ばすぐらいの感覚が大切だと説明しています。

特にHYROXの最後では、腕も肩も疲れています。

腕に頼ると、すぐにボールが飛ばなくなります。

足で床を押す。

立ち上がる力をボールに伝える。

最後に腕を伸ばしてターゲットへ当てる。

この流れが重要です。

足の力をボールに伝えるためには、姿勢も大切です。

ボールは体の前、顔の高さくらいでしっかり持ちます。

上半身は起こしておきます。

腕が落ちたり、上半身が倒れたりすると、足の力がボールに伝わりにくくなります。


腕で投げようとしない

ウォールボールでよくある失敗が、腕で頑張ってボールを上げようとすることです。

特に疲れてくると、脚が使えなくなり、腕だけで投げようとしがちです。

しかし、腕の力だけで100回をこなすのはかなり難しいです。

しかも、HYROXの最後では、肩や腕もすでに疲れています。

腕で投げようとすると、ボールがターゲットに届かなくなり、ノーレップにつながります。

腕は主役ではなく、最後にボールを押し出す補助です。

主役は足です。

スクワットから立ち上がる力を、ボールに乗せる。

腕はその勢いを最後にターゲットへ向ける。

このイメージで動くと、余計な消耗を減らしやすくなります。


手首を使いすぎない

トニーコーチは、手首の使い方にも触れています。

バスケットボールやバレーボール経験者は、手首でボールを押そうとすることがあります。

しかし、手首の力は強くありません。

ウォールボールでは、手首を強く返してボールを投げるより、手首をまっすぐ保って押し切る方が楽に飛ばしやすくなります。

疲れている状態で手首に頼ると、ボールの方向も不安定になります。

手首で細かく操作するより、足の力、上半身の姿勢、腕の伸ばしでボールをターゲットへ運ぶ意識を持ちましょう。


ウォールボールでよくある失敗

失敗① 最初に頑張りすぎる

最後の種目なので、早く終わらせたくなります。

しかし、最初に大きなセットで入りすぎると、脚が一気に終わります。

疲れがたまる前に、少なめで休む方が結果的に早いことがあります。

失敗② 休むのが遅い

限界まで続けてから休むと、次のセットに入るまで時間がかかります。

早めに区切り、休みを短くする方が安定します。

失敗③ スクワットが浅くなる

疲れてくると、しゃがみが浅くなります。

股関節が膝の高さより下に入っているかを練習から確認しておきましょう。

失敗④ ターゲットに届かない

脚が使えなくなると、ボールがターゲットに届きにくくなります。

腕だけで投げようとせず、足の力を使いましょう。

失敗⑤ 手首で投げようとする

手首に頼ると、ボールの飛び方が不安定になります。

手首はまっすぐ保ち、体全体で押し出す意識が大切です。


ランナーが注意すべきポイント

ランナータイプの人は、ウォールボールで苦戦することがあります。

走力はあっても、ボールを持ってフルスクワットを100回行う動きには慣れていない場合が多いからです。

特に、脚の筋持久力、スクワットの深さ、ボールを高く投げる力が課題になりやすいです。

ランナーが意識したいのは、次のポイントです。

  • スクワットの深さを練習しておく
  • 腕ではなく脚でボールを飛ばす
  • 最初から大きなセットで入らない
  • 5回ずつなど、少なめで確実に積む
  • ノーレップを避ける

ランナーは、最後のウォールボールで止まりすぎなければ、ランで作った強みを最後まで活かしやすくなります。


CrossFit経験者が注意すべきポイント

CrossFit経験者は、ウォールボールに慣れている人が多いです。

そのため、HYROXでも得意種目だと感じるかもしれません。

しかし、トニーコーチ自身も、CrossFitでウォールボールをやり込んでいたにもかかわらず、HYROX本番ではかなりきつかったと話しています。

理由は、最後に出てくるからです。

普段のトレーニングでできる100回と、8km走って7種目を終えた後の100回は別物です。

CrossFit経験者は、次の点を意識しましょう。

  • 得意だからといって最初から大きく行きすぎない
  • 早めに割って短く休む
  • スクワットの深さを雑にしない
  • ターゲットへのヒットを確実にする
  • 腕ではなく脚の力を使う

関連記事:HYROXで結果を出せる人の特徴


ダブルスでのウォールボール戦略

ダブルスでは、ウォールボールを2人で分担できます。

ただし、最後の種目なので、どちらもかなり疲れています。

得意な人が大きくまとめて行く戦略もありますが、無理をしすぎるとノーレップが増えたり、次の交代までに大きく止まったりします。

安定させるなら、短めに交代する方法もあります。

  • 5回ずつ交代
  • 10回ずつ交代
  • 得意な人が少し多めに担当
  • ノーレップが出始めたら早めに交代

ダブルスでも大切なのは、疲れがたまり切る前に休むことです。

1人が限界までやるより、短く交代して、ノーレップを減らしながら100回を積み上げる方が速い場合があります。

関連記事:HYROXのカテゴリー(シングル/ダブルス/リレー)の違いと選び方


ウォールボール練習メニュー

メニュー① フォーム確認

  • ウォールボール 5回 × 5セット
  • レスト:短め
  • 目的:スクワットの深さとターゲットへのヒットを確認する

メニュー② 5回刻み練習

  • 5回 × 10〜20セット
  • 1〜2呼吸だけ休む
  • 目的:疲れがたまる前に区切る感覚を作る

メニュー③ HYROX後半想定

  • 1kmラン
  • サンドバッグランジ 25〜50m
  • ウォールボール 30〜50回

最後に疲れた状態でウォールボールへ入る感覚を作る練習です。

最初から100回すべてを毎回行う必要はありません。

メニュー④ 100回分割練習

  • 5回 × 20セット
  • 10回 × 10セット
  • 20回 × 5セット

いろいろな分け方を試し、自分にとって一番止まらず進める回数を見つけておきましょう。


ウェアと補給の準備

ウォールボールでは、フルスクワットと投げる動作を100回繰り返します。

ウェアがずれたり、脚の動きを妨げたりすると、最後の最後でかなりストレスになります。

HYROXでは、ラン、ランジ、ウォールボールと下半身を使う動きが続くため、ウェアは走りやすく、動きやすく、擦れにくいものを選ぶことが大切です。

トニーコーチもおすすめしているSA1NTのP1 Elite Compression Shortsは、HYROXのようにランとファンクショナル種目が混ざる競技と相性が良いアイテムです。

適度なコンプレッションで脚をサポートしながら、ラン、ランジ、ウォールボールのような大きな動きにも対応しやすい設計です。

また、P1 Eliteにはポケットがあるため、補給ジェルを1〜2個入れておくのにも便利です。

HYROXは1時間以上かかる選手も多いため、レース中盤でジェルを取れるようにしておくと、後半のランやウォールボールに向けたエネルギー補給として使いやすくなります。

▶ トニーコーチおすすめ:SA1NT P1 Elite Compression Shortsを見る

関連記事:HYROXレース向けシューズ・ウェア・ギアの選び方


まとめ|ウォールボールは早めに割る方が速い

HYROXのウォールボールは、最後の最後に出てくる100回です。

元気な状態での100回ではありません。

8km走り、7つのファンクショナル種目を終えた後の100回です。

だからこそ、無理に大きなセットで入る必要はありません。

疲れがたまる前に少なめで休む。

短く休んで、すぐ再開する。

ノーレップを出さずに、確実に積み上げる。

これが、結果的に一番早く終わらせるための大切な考え方です。

フルスクワットを守る。

ターゲットにしっかり当てる。

腕ではなく足の力をボールに伝える。

手首に頼りすぎない。

トニーコーチの解説にもあるように、ウォールボールは最後に脚が残っていない状態で行う種目です。

だからこそ、練習の段階から、疲れた状態でも深くしゃがみ、ターゲットに当て、早めに割る戦略を作っておきましょう。


HYROX関連記事一覧

HYROXの入門記事、8種目攻略、トレーニング方法、大会戦略をまとめて読みたい方は、こちらのHYROX特集ページをご覧ください。

▶ HYROX完全攻略ガイドを見る


この記事はSA1NT JAPAN編集部が作成し、CrossFit Uninterruptedヘッドコーチであり、HYROX競技にも挑戦している板谷友弘氏の監修を受けています。

監修

板谷友弘(UFIT Tony Coach / CrossFit Uninterrupted Head Coach)

板谷友弘コーチ UFIT Tony Coach

板谷友弘(いたや ともひろ)氏は、日本を代表するクロスフィットアスリートであり、世界最高峰の舞台であるCrossFit Games Finalsの出場経験を持つ世界レベルの競技者です。

CrossFitはランニング、持久力、筋力、体操競技、ウェイトリフティングなど、あらゆる身体能力が求められる競技であり、その中で世界トップレベルに到達した日本人選手の一人です。

現在は、自身がオーナー兼ヘッドコーチを務めるCrossFit Uninterrupted(UFIT)を運営し、競技者から一般の方まで幅広く指導しています。また近年はHYROX競技にも積極的に取り組み、CrossFitとHYROXの両方を深く理解する数少ない日本人コーチとして活動しています。HYROXはランニングの経験がない中も大阪大会で3位、日本人選手2位に輝きました。

選手として世界レベルを経験し、コーチとして数多くのアスリートを指導してきた経験を活かし、本記事の監修を担当しています。

トニーコーチから一言:

「ウォールボールは本当に最後の最後なので、かなり疲れている状態で100回やることになります。僕もCrossFitでウォールボールはやってきましたが、HYROXの最後のウォールボールはめちゃくちゃきつかったです。無理に大きなセットで行くより、疲れがたまる前に少なめで休んで、短い休みでどんどん進める方が結果的に早いと思います。フルスクワットとターゲットへのヒットを守って、ノーレップを出さないことも大切です。」

トニーコーチの情報はこちらから↓
🌐 CrossFit Uninterrupted

Instagram トニーコーチInstagram Instagram Ufitジム Instagram YouTube トニーコーチのYouTube

← メディア一覧に戻る